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『共謀罪』法案 今週審議入りか (東京新聞)
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投稿者 彗星 日時 2006 年 10 月 22 日 08:01:56: HZN1pv7x5vK0M
 

特報
2006.10.22

『共謀罪』法案 今週審議入りか

 国民の猛反発を買い、二〇〇三年三月の国会提出以来、成立が見送られ続けてきた「共謀罪」法案。来年七月の参院選を見据え、現在の臨時国会で成立させたいはずの与党だが、なぜか「重要五法案」からはずしている。野党は「死んだふり」と断定するが、早期審議入りはあるのか。外務・法務両省が反対派の日本弁護士連合会に激しく反論しているのも「アリバイづくり」なのか。 (市川隆太)

 今月五日に開かれた自民・公明両党の幹事長、政調会長、国対委員長会談で、共謀罪は臨時国会の「重要五法案」からもれた。

 ちなみに重要五法案に入ったのは▽教育基本法改正案▽テロ対策特別措置法改正案▽防衛省昇格法案▽国民投票法案▽北海道道州制特区推進法案−だ。政界関係者らは「重要法案入りしなかった以上、今国会成立の目は少ないとみるのが永田町の常識」と解説する。

 ただ、不人気な共謀罪の審議が次の通常国会にずれ込めば、与党にとっては次期参院選で苦戦する要因にもなりかねない。

 それだけに野党側は、重要法案からはずしたのはあくまで“死んだふり”で、実は間もなく審議入りし、一気に強行採決してくる可能性もあるとみている。

 今月十三日の参院予算委。「共謀罪は撤回したらいかがか」と迫る社民党の福島瑞穂党首に対し、安倍晋三首相は「この法案は必要であると考える」と突っぱねた。長勢甚遠法相も「与党と相談しながら早期成立を図りたい」としている。

 「(重要)五法案からはずしたのは、安倍首相が重要視する教育基本法改正案の邪魔をしないように、という程度の意味では。“ナンバー6”法案かもしれない。次期国会まで引きずると参院選が苦しくなる」と話す自民党議員もいる。

 こうした空気を察知してか、反対派には緊張感が漂う。十七日には国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」日本支部などが中心となり、国会付近でパフォーマンスと集会。口を布で覆われた人々が並び「共謀罪ができたらしゃべれなくなる」と訴えた。

■『補選の直後攻めてくる』

 日弁連も十八日、大規模な集会を開き、野党議員が次々と危機感を訴えた。

 衆院法務委員会の野党筆頭理事である平岡秀夫議員(民主)は「与党は委員会の理事懇談会でも、法案審議の順序すら明かさない。異常事態だ」と話す。

 「政府与党は(二十二日投開票の)衆議院の補欠選挙までは(法案が不人気ゆえに)触れず、直後から一気に共謀罪を国会審議に持ち出してくるだろう。週明けから攻めてくると思う」

 別の衆院議員も「与党は二十三日夜に委員会の理事懇談会をやりたがっている。その席上、翌日からの共謀罪審議入りを決めるつもりでは」と推測する。

 この集会では、共謀罪法案と国連条約との関係なども取り上げられた。

 政府与党は、国連の国際組織犯罪防止条約を批准するには共謀罪を導入しなければならない、と力説してきた。現在の日本に共謀罪を導入しなければならない事情はないが、条約批准のために、導入せざるを得ない−という主張だ。

 この政府与党の主張について、パネリストの桐山孝信・大阪市大教授(国際法学)は国際法の常識に反していると指摘。「あれを聞いて、いすから転げ落ちそうになった」と述べた。

 桐山氏は「日本は二〇〇三年に国会で条約を承認している。あとは内閣が国連事務総長に批准書を送るだけで(条約に)入ったことになる」と、批准手続きのイロハを説明。「国内法が整備されていようと、されていまいと、条約は批准できる。日本に不必要なところが抜けていても(立法しなくても)まったく問題なく(共謀罪が書かれている)条約五条は適用しませんよ、ということで留保を付けて国連事務総長に批准書を送ればよい。それで国連から何か言われるということはない」と解説した。

 条約が共謀罪の導入を義務づけているか否かには議論があるが、政府与党は「義務づけられている」との立場だ。その点について、桐山氏はこう説明した。

 「何も宣言しないで条約に入った(批准した)場合は、日本も共謀罪を作らなければならない。しかし、『日本は共謀罪を作りません』と宣言した上で条約に入るのは構わない」

 さらに桐山氏は日本政府が批准していない人権関係の国連条約が積み残されていることを指摘し、「つまみ食い」とも批判した。

 パネリストとして同席したジャーナリスト・大谷昭宏氏は「政府に『なぜ、国民をだますのか。どんな下心があるのか』と問わなくてはいけない」と、怒りをかみ殺すように話した。

 「だました」という例がある。日弁連と民主党の調査で最近、米国が国際組織犯罪防止条約のうち、条約五条を留保して批准していたこと分かった。米国では州法で、ごく一部の犯罪にしか共謀罪を設けていない州があるため、共謀罪導入をうたった五条を留保したとみられている。

 集会では、保坂展人衆院議員(社民)が、この問題に触れ、「外務省に『米国の留保の事実に、いつ気付いたのか』と質問したら、米国が批准した昨年十一月から知っていた、ということだった」と説明。米国の留保を知っていながら、日本が共謀罪を留保して条約批准することは「できない」と主張し続けた政府の態度に疑義を呈した。

■『テロ対策となおも主張』

 一方、本来の条約の趣旨と法案との乖離(かいり)も疑問の一つだ。国際組織犯罪防止条約は越境犯罪組織によるカネとモノを目的とした犯罪を対象とした「マフィア対策条約」だが、共謀罪導入論者からは「テロ対策条約」と誤解させるような発言も続いている。前述の参院予算委(十三日)でも、安倍首相は「国際社会がテロとの戦いを続けている。国際社会が連携して封じ込めていくことが大切であり、この法案は必要である」と強調。質問者の福島氏から「共謀罪はテロ対策が立法目的なのか」と反論された。

 この問題では、大谷氏が「テロ対策という言葉を水戸黄門の印籠(いんろう)のように使っている」と批判。日弁連も「テロ対策条約ではないじゃないかと、いくら指摘しても、ああいう言い方をやめない。今回の安倍首相の答弁もそうだ」と、いら立ちを隠さなかった。

 集会参加者からは「政府与党は、北朝鮮の核実験を共謀罪導入の追い風に使うのではないか」という懸念や「条約批准にあたり、共謀罪を新たに導入した国はノルウェー、ニュージーランドしか見当たらないという事実も無視されている」といった声も上がった。

 一方、法務、外務両省は日弁連や野党の主張に対抗し、ホームページで反論を展開。これに対し、日弁連もホームページで再反論を行うなど、国会外でのバトルも激化している。

 役所側の反論が「すでに国民の疑問はぬぐい去った」という強行採決の建前づくりを狙ったものではないのか−反対派からは、そんな懸念も漏れている。

<デスクメモ> 加藤紘一氏の実家への放火はテロだが、政府与党はだんまり。イラク戦争とその後の犠牲者は数十万人に上るが、ブッシュ政権は無視。都合のいい風にテロだの脅威だの。「〇×詐欺」の源流は、このへんにないのか。今週は後々、「暗い時代への転換点」と語られる一週間になるかも。もう十分、暗いけど。 (牧)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20061022/mng_____tokuho__000.shtml

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