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公立校に市場原理 教育基本法改正 (東京新聞)
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投稿者 彗星 日時 2006 年 10 月 18 日 13:32:24: HZN1pv7x5vK0M
 

特報
2006.10.18

公立校に市場原理
教育基本法改正

 教育基本法「改正」を最重要課題として船出した安倍政権。その第一歩となる首相の私的諮問機関「教育再生会議」の初会合が今日開かれる。改正の柱は「愛国心」と「市場原理」の導入だが、そのモデルは一九八〇年代後半の英国でのサッチャー流改革だ。「チーム安倍」はこの英国の教育改革を絶賛するが、当の英国では「教育を荒廃させた」という酷評もある。英国での試みから考えてみた。

 安倍首相は著書「美しい国へ」の中で「教育の再生」に二十七ページを割いている。特筆すべきはサッチャー英元首相の教育改革への絶賛ぶり。「誇りを回復させたサッチャーの教育改革」という見出しもある。

 安倍氏が最優先課題と位置付ける教育基本法改正案では「愛国心」問題が注目を浴びてきた。しかし、日本版・サッチャー改革の導入で、教育システムが劇的に変わることも、実は愛国心問題に劣らぬ大問題だ。

 安倍氏は著書などで「ゆとり教育の弊害で落ちた学力を取り戻す。国語・算数・理科の基礎学力を徹底させる。全国的な学力調査を実施し、結果を公表するべきだ」とし、「サッチャー改革のような国の監査官による学校評価制度」の導入を唱えている。

 さらに「公立学校の再生のため」には、父母が学校を選べる学校選択制が必要だとし、自治体が配布するクーポン券で学校を選択できる「教育バウチャー制」導入も主張している。

 来年の通常国会には教員免許を十年に一度見直し、能力や実績のない教師の免許更新を認めない「教育再生法案」も提出する方針。いずれをみても、サッチャー氏の改革そっくりだ。

■学力の底上げ実現のはずが

 では、英国でのサッチャー流教育改革とは何だったのか。サッチャー保守党政権は「英国病」とまで言われた経済停滞を国民の教育水準アップで回復しようと決意。その決め手が従来、教員たちの自由裁量が強かった教育に「市場原理を持ち込む」手法だった。

 具体的には、一九八八年の教育改革法で設けた全国共通カリキュラムと統一学力テスト(学テ)が二本柱で、九二年には実施の進ちょくを現場の教室で査察する独立行政機関・教育水準局が設置された。

 英国の義務教育は五歳から十六歳までで小学校が六年と中等学校が五年。この計十一年を四つの「キーステージ」(段階)に分け、各ステージの最後(七、十一、十四、十六歳)に統一学力テストを受けさせる。

 この流れは、九七年からのブレア労働党政権で強化され、全国規模の成績到達目標まで定められた。この結果、全国の小中学校は学テの成績で輪切りされ、各校ごとに「水準」に達した生徒の割合も公表される。メディアも各校の「実力」を実名で書き立てた。

 親たちはこうしたデータを参考にして、わが子を少しでも上位の学校に入れようと必死になる。学校は文字どおりの自由競争にさらされ、全体の実力が底上げされる“はず”だった。ところが実態は違った。

 むしろ、教育改革は失敗だったとの反省が強まり、導入を始めた保守党内からも「(現行の)教育体制に終止符を打つ」といった声まで上がっている。一体、何が弊害となったのか。

 二〇〇二年に五歳の息子をロンドン市内の公立小学校に入学させた経験のある日本人の元駐在員(47)は当時をこう振り返る。

 「好きな公立小学校に入るのは難しい。単に近所に住んでいればよいわけでなく、何年前から住んでいるか、まで問われた。だから生後すぐ、上位校の近所に引っ越し時折、校長に顔を売って『将来、うちの子を入学させてほしい』と予約しておかねばならない。露骨ではなかったとはいえ、できる子優先で入学させている雰囲気も感じた」

■小学生らにもストレス増大

 統一学力テストの際、学校の平均点を落とさない対策にも直面した。「日本人生徒は英語力がないから受験させない方が得だと思ったのでしょう。うちの子は『受けなくていいですから』と言われた」という。

 「イギリスの教育改革と日本」などの著書のある法政大学の佐貫浩教授(教育行政)は、サッチャー改革について「ある意味、基礎学力が向上した。これは英語が母国語ではない子どもの基礎学力を上げるという目的もあったため。ただ、日本はこの点をすでに達成している」と指摘する。

 むしろ、英国では「(テストで測れるものが)本当の学力か」「読み書き、計算などの基礎は上がっても思考能力は上がっているのか」という論争が起きているという。また、学校間で競争させ、学校選択制を導入したことで「成績が良く生徒の人数が多いところに予算が優先配分され、学校間格差が広がった」。

 それは地域格差にも広がる。入学希望者が上位校の近所に引っ越すようになったため、周辺の地価が上がってしまう。その結果、上位校に入学できるのは富裕層の子どもだけになる。全体を底上げするどころか、格差社会を象徴する現象が生み出されたという。

 子どもへのマイナスの影響も表れた。佐貫教授は「ストレスが高まった」点を挙げる。ロンドン在住のジャーナリストで、小学生の子息を抱える阿部菜穂子さんもことし二月の講演で「テストのある七歳児と十一歳児の約三分の一がストレスを感じ、十一歳児の四分の一が自信が無いと答えたというデータがある。夜眠れない子や心身症の子も増えている」と話した。

■丸のみすれば『公立校解体』

 こうした弊害が表面化する中、英国四地域の中でも教育改革への抵抗が元来、強かったスコットランドに加え、ウェールズ、北アイルランドでも改革を否定する動きが強まっている。

 北アイルランドやウェールズはすでに学テの結果公表を取りやめており、来年度までに学テ自体を廃止する。ことし五月には「全英校長会」が年次総会で、学テ結果の公表を取りやめるよう決議したという。

 英国教育事情に詳しい首都大学東京の大田直子教授(教育政策論)は「そもそもサッチャー元首相が目指したのは(当時の)日本の公立学校制度だった」と語る。さらにブレア政権下では市場原理導入だけではなく、底辺校の学力向上のための救済措置を加えるなどの修正も施されたと解説する。「そうした内容や制度を細かく吟味することを抜きに、市場原理導入だけを優先すれば、日本の公立学校は解体してしまう」

 ジャーナリストの斎藤貴男氏も「日本も人気校近くに越したり、送り迎えできる富裕層と貧しい層の格差が絶対に広がる。本当はリーダーになるべき人だけが教育に恵まれればよいと思っているのではないか。学校は『いい材料(入学者)を仕入れて、いい製品(卒業生)を出荷する』場所になるだろう」と警告する。

 佐貫教授も日本版サッチャー流改革にこう警鐘を鳴らす。「英国と違って、学校の自主性を抜きに国が学校を一律に評価すれば、学校や教師の自主性は消え、政治権力で教育を統制するシステムができあがる。こんな恐ろしい改革はない」

<デスクメモ> 記憶に残る恩師たちがいる。理科の時間に水俣の公害映画を見せてくれた人、国語に文庫本を使った人、世界史の教材はたしか全部ガリ版刷りのお手製だった。「そんな偏向教育がオマエのような人間を育てたのだ」と言われそうだが、感謝している。もし、サッチャー流の教育体制だったら出会えなかった。(牧)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20061018/mng_____tokuho__000.shtml

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