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激しい情報操作が横行する時期には、一次情報に近いものが欲しい。「工作員」とすら揶揄される人物の発言のほうが、マスコミ情報よりも参考になる面があると思います。
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http://www3.ocn.ne.jp/~yy-dprk/
吉田康彦のホームページ
北朝鮮核実験の狙いと背景
北朝鮮は10月9日午前、核実験を実施しました。実験の成否、規模など詳細は不明で、今後の精査の結果を待たざるを得ませんが、日本でも地震波を感知しており、小規模ながら地下爆発実験が行われたことは事実です。
米国政府の13日の発表によると、微量の放射能が検知した模様で、北朝鮮が名実ともに「核兵器保有国」になったと見ていいでしょう。ただし周辺諸国で感知した地震波が微弱だったことから、きわめて小規模の実験だったことは間違いなく、やはり実験は「失敗」で、所期の効果を収めずに終わったのではないかと推測されます。
北朝鮮がこの時期に核実験に踏み切ったのは、朝鮮労働党創建記念日の10月10日を翌日に控えて盛り上げたかったからではありません。(その証拠に、核実験は”成功”と発表しているにもかかわらず、報告もされていません。) 今回の核実験の最大の理由は、ブッシュ米政権が強硬路線一点張りで、米朝直接交渉に応じず、金融制裁も解除せず、北朝鮮「封じ込め」政策を変えなかった点にあります。
安倍首相の訪中・訪韓など無関係です。実験の結果、日中韓3国の結束が強化され、北朝鮮には不利に働いたわけですから、安倍の訪中・訪韓を狙ったとすれば、逆効果になったことになります。北朝鮮はそんな愚かな行為はしません。単なる偶然です。
金正日総書記には米国しか念頭にないのです。当面は、11月7日の中間選挙で、米朝直接対話を提唱している野党・民主党に追い風を送ることを狙っています。民主党は「米朝直接交渉」を主張しており、議会で多数派となれば、ブッシュ大統領も民主党の声に耳を傾けざるを得ないと計算しています。
国連安保理は、日本時間15日未明、「憲章第7章に基づいて行動し、非軍事的制裁を規定した第41条に基づいて措置をとる」とする決議案を全会一致で採択しました。しかし北朝鮮としてはその辺は折り込みずみです。決議は、大量破壊兵器関連物資とぜいたく品の禁輸ならびに金融制裁強化に限られ、食糧・衣類など日用品の交易は規制していません。
安保理決議は国連全加盟国を拘束しますが、それに従わないからといって罰せられるわけではありません。中国も韓国も金正日体制崩壊を望んでおらず、国際世論を意識して一時的に削減することはあっても、全面的に支援を中止することはあり得ません。国連の経済制裁の実効性に限界があることは、フセイン政権下のイラク、南ア、旧ユーゴスラビアに対する経済制裁が「尻抜け」に終わった例からも明らかです。
非軍事的制裁が効果ないということになると、次は第42条の武力制裁に進まざるを得ませんが、これは絶対に不可能です。これ以上の安保理決議が通らなくても、ブッシュ政権は海上封鎖、船舶臨検などを実施する「構え」は見せるでしょうが、核施設や平壌を空爆でもしたら、捨て身の反撃を喰らい、多大な犠牲を覚悟せねばなりません。金正日総書記はそこまで読んで決断したと見るべきです。
ミサイル発射も核実験も、抑止力を実証し、米国の直接交渉のテーブルにおびき出すことを狙っています。そこで要求するのは、米朝平和条約締結、米朝国交正常化、経済制裁解除です。この要求が通るまで、核実験、ミサイル発射というカードを切り続けるとみるべきです。いずれにせよ、北東アジアに核を拡散させ、核保有国を増やしたのは、強気一点張りで北朝鮮の真意を測りかねたブッシュ政権の失政です。米国は最終的に、北朝鮮との直接交渉に応じざるを得ないでしょう。
【2006年10月15日/関連の論文は「北朝鮮」をクリックして下さい】
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