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立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」
「阿倍外交“神話”の試金石 北朝鮮の『核』と『拉致』」より
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061013_gaikou/
―官僚のパペット丸出しの国会答弁
9月26日に安倍政権が誕生してからしばらくの間は、安倍首相のやることなすこと、心もとないとしかいいようがない言動の連続で、こんな人を総理大臣にしておいて日本は本当に大丈夫なのだろうかと日を追って心配になっていった。
とくにひどかったのは、9月29日の所信表明演説のあと、各党代表質問がつづき、それに対して、安倍首相が答弁を返していく、そのやりとりだった。
国会中継のテレビをつけ放しにして、他の仕事をするかたわら、ときどき画面に目を走らせていたのだが、安倍首相の答弁は、ほとんど官僚の書いた答弁原稿を丸読みしているだけだった。自分の考えたことを自分の言葉でしゃべっているという様子がまるでうかがえなかった。
官僚の書いた答弁書を読むだけという答弁は、歴代の総理大臣みなおりにふれてやってきたことではあるが(すべての問題に自分の言葉で答弁することなど現実問題として不可能)、同時にみな多少のイロをつけて、自分の言葉を随所にはさみこんで、自分もその問題を知っているふりをしてきたのである。しかし安倍首相は、そういうことをする心のゆとりが全くないようだった。
言葉にめりはりが全くなく、語調に感情がこもっていない。目に映った文字の意味すら考える余裕がないのか、ただ次々に目に映じる文字を発音しているだけという風情だった。・・・
―(父・安倍晋太郎から帝王教育を受け、特に外交での振る舞いについては自信を持っているようだが)・・・
―吟味が必要な拉致問題解決の“安倍神話”
この点を鋭く衝いたのが、参院予算委員会で、10月11日に質問に立った民主党の森ゆうこ議員だった。「拉致問題の解決に努力する努力する」と政府はさかんにいうが、「具体的にいったいどのような手を打とうとしているのか、可能性はいったいどこにあるのか」と問うた。
(下記URL参照)
2006年10月11日 (水) 参院予算委員会
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/reference.php?page=1&cd=1581&tx_mode=consider&sel_kaigi_code=0&dt_singi_date_s=2006-09-05&dt_singi_date_e=2006-10-13&tx_speaker=&sel_speaker_join=AND&tx_anken=&sel_anken_join=AND&absdate=2006-10-11&sel_pageline=10&dt_calendarpoint=2006-09-13&abskaigi=no
この問いに安倍首相が正面きって答えなかった。その前に同議員が持ちだしたもうひとつの問題をめぐって、「そんなことを言うのは失礼じゃありませんか」と安倍首相が語気もあらわに怒り狂ったので、委員長席にあわてて自民党理事と民主党理事が駆け寄り、審議が中断してしまうという大騒ぎがあったからだ。
この大騒ぎは、新聞、テレビ等の大マスコミが、安倍首相に気を遣ったためか、ほとんど伝えなかったので、知る人も少ないと思うが(この大騒ぎが発生して間もなく、NHKのテレビ中継が正午のニュースを伝えるために中断されてしまったという事情もあった)、大事なことと思われるので、ここに簡単に伝えておく。
もうひとつの問題というのは、週刊現代10月21日号の「安倍晋三は拉致問題を食いものにしている」という記事である。
この記事の「安倍晋三は拉致問題を食いものにしている」というタイトルに安倍首相は怒り狂い、そこで審議が中断してしまったのだが、タイトル表現の妥当性の問題より重大なのは、この記事が提起している事実問題のほうである。
その内容については、安倍首相は、「いちいちそうした記事を読んでおりません」といったり、過去に週刊現代が拉致事件の別の側面で誤報をした(と安倍首相が考えている)事例をあげて、「だから、その程度の話なんですよ。その程度の話について、私はいちいちコメントするつもりは全くありません」などと語気を荒げるばかりで、具体的な内容の反駁は全くなされなかった。
というわけで、この段階で、真偽のほどはまだなんともいえないが、提起されていることがもし本当なら、あるいは本当である可能性があるなら、安倍首相も、「読んでいません」とか、「コメントするつもりはありません」といった口上を並べるだけで、逃げつづけるではすまないような内容を含んでいる。
詳しくは、同誌の記事を見ていただきたいが、私は、これは単なるガセネタではないだろうと思っている。
―強硬外交が金正日の『狂気』に火を点ける
同誌によると、いまから3年前の03年8月、それは、蓮池薫さんら、5人の拉致被害者は帰ってきたが、被害者の家族がまだ北朝鮮に残っているという状況の中で起きたことだ。北朝鮮は、それら家族を日本に帰国させるのか、させないのか、拉致問題で膠着状態に陥ってしまった日朝国交正常化交渉をいかにして元に戻すかをめぐって、日朝間でいろいろな駆け引きが行われていた時期の話である。
北朝鮮から、崔秀鎮(チェ・ス・ジン。中国朝鮮族の大物実業家)という密使が日本にやってきた。彼は安倍官房副長官(当時)と、河口湖近くのホテルで会い、2時間にわたって極秘会合を持った。
この会合自体は、安倍と崔氏がにこやかに笑って握手している写真があったり、安倍がある人物あてに書いた内密の書簡で、その会合に言及した上で
よろしくご検討のほど、お願い申し上げます。
日本政府内閣官房副長官
安倍晋三拝上
2003年8月18日」
と安倍が署名した手紙が写真版で収録されているから、実際に行われたと推測して間違いなさそうである。
問題はその会合の内容だが、安倍が、日本に一時帰国した5人の拉致被害者を、また北朝鮮に戻すと約束しておきながら、その約束を守らなかったことについて、
「その約束を守らず、金総書記の体面をつぶしてしまったことは、本当に申し訳ありませんでした」と侘びを入れたり、家族の帰国については、
「8人の家族さえ帰国させれば、北朝鮮としては、やることはすべてやったということでしょう」といって、拉致問題はそれで打ち止めにするとの言質を与えたり、
北朝鮮に対する経済制裁についても、「アメリカが北朝鮮に経済制裁を許しても、日本は同意しません」と言質を与えたことになっている。
これらの報道が本当なら、安倍首相は二枚舌外交によって、北朝鮮を騙しに騙してきたことになる。
今回の北朝鮮の核実験は、安倍首相のソウル入りに合わせてなされた(時間差が30分しかなかった)と考えられるところから、拉致問題で北朝鮮に煮え湯を飲ませたことに対する「意趣返し」という説も出ている(週刊新潮10月19日号「安倍訪韓日に決行は『拉致の意趣返し』」。
ということになると、安倍首相が音頭を取った拉致問題強硬外交が、金正日の『狂気』に火を点けてしまったという可能性も考えられるわけで、ここまでくると、安倍が本当のところ、北朝鮮側との裏交渉で、どのようなやり取りをしてきたのか、言を左右にして逃げてばかりいないで、明らかにする責務が生じているといえるのではないか。
(この項つづく)
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