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北朝鮮の核実験は本物か
情報錯綜 データばらばら
北朝鮮が九日に実施を発表した「地下核実験」。国際社会の制止を振り切って独裁国家が手に入れた武器に、世界は一斉に反発。国連は制裁決議に向けて動きだしたが、肝心の爆発規模は〇・五キロトンから広島に投下された原爆並みの十五キロトンまで諸説紛々だ。北朝鮮の地下核実験は本当に成功したのか。失敗説も飛び出す中、錯綜(さくそう)する情報の真偽は。
北朝鮮が九日の核実験実施について朝鮮中央通信を通じて発表した声明を要約すると、こうなる。
「われわれの科学研究部門は、十月九日に安全な環境の下で地下核実験を成功裏に実施した。今回の核実験は、科学的な配慮と細心の計算に基づいて実施されており、実験による放射能漏れなどの危険がないことが、確認されている」
ただし、実験の内容、場所など詳細は公表していない。さらに、過去、核保有国が核実験を実施した際には、技術力を国際的に誇示する目的で実験映像を公開するのが一般的だったが、北朝鮮は映像を公開していない。こうした不透明さが、実験失敗説を生む背景になっている。
実験の詳細について、各国の分析状況をまとめてみよう。まず実験場所は、各国が観測した地震波から北朝鮮北東部だとは特定されているものの、詳細については少なくとも三種類の情報が錯綜している。
■実験場所特定 3カ所が浮上
韓国での報道によると、同国の情報機関・国家情報院は当初、北朝鮮北東部の咸鏡北道花台郡舞水端里に位置する山の地下坑道だったと推定。その後、同地の西方約五十キロの金策市周辺だと訂正した。米国は金策市の北方約七十キロの同道吉州郡豊渓里と推定。さらに、韓国国家情報院は豊渓里で車両や人の往来を確認したと明らかにしており、追加実験が行われるとの見方も浮上している。
実験による地震の規模マグニチュード(M)も各国の観測結果は3・6前後から4・9まで、大きく異なっている。
韓国の青瓦台(大統領府)は、M3・58−3・7を感知したと明らかにした。米地質調査所(USGS)は平壌の北東三百八十五キロを震源とするM4・2の地震を観測したと公表。同調査所のホームページによると、震源は北緯四一度、東経一二九度付近の北朝鮮北東部とみている。
日本の気象庁は、北朝鮮北東部を震源地とする地震波が北海道から九州にかけての広い範囲で観測されたと発表。地震の規模はM4・9と推定している。気象庁地震津波監視課は、各国の数値の違いについて、「マグニチュードにはいろいろな算出方法がある。観測地点の震源からの距離によっても、結果が違ってくる」と説明している。
こうした地震規模を基に、各国が推測する爆発規模も、最小〇・五キロトンから最大十五キロトンまで大きく分かれている。
韓国地質資源研究院は、爆発の規模をTNT火薬に換算して〇・八キロトン以上、最大で五キロトンと推測。また、米国での報道では、米当局者や専門家は一キロトン以下の小規模爆発だと推測し、北朝鮮が目標とした規模には至っていないと分析。フランスのアリヨマリ国防相は「約〇・五キロトン」と発言している。
■『小規模』から『広島級』まで
一九四五年に広島・長崎に投下された原爆の爆発規模はそれぞれTNT火薬十五キロトン、二十キロトン相当程度と推定されている。米国発の情報では、今回の爆発規模は、広島・長崎よりもかなり小さいということになり、実験失敗説の有力な根拠になっている。
これに対し、ロシアのイワノフ国防相は「五−十五キロトン」との見方を示し、「核爆発であったことにいかなる疑いもない」と述べている。北朝鮮から実験の事前通報を受けた中国政府が韓国政府に伝えたとされる実験規模は十キロトン程度だとされる。
地震波の大きさも、爆発規模も各国でかなりの開きがあるが、果たして核実験は、北朝鮮が宣伝するとおり「成功」だったのか、それとも失敗だったのか。
「失敗だと思う」と話すのは軍事ジャーナリストの神浦元彰氏だ。
その理由について、神浦氏は「核実験をするなら、十五−二十キロトンだと思っていた。最も原始的な長崎型原爆で十五−二十キロトン。当然、北朝鮮もそれくらいを目指すはず。起爆装置がうまく作動せず、一部のプルトニウムが勝手に核分裂を始め、20%や40%しか爆発しないというのが、よくある失敗例。(韓国が発表した爆発規模で最大の)五キロトンでも、三分の一程度の爆発ということになり、完全な核分裂は起きていない」。
■小型の核兵器は米開発中の技術
初めから一キロトン程度の小規模爆発を狙った実験では、という見方についても、神浦氏は「成り立たない」と否定的だ。一キロトンの小型核兵器は、現在アメリカが開発中で、最高レベルの技術が必要。北朝鮮には無理というのが、その理由だ。
軍事評論家の稲垣治氏も「北朝鮮の技術は、パキスタンからの闇ルートと冷戦構造崩壊前の旧ソ連などからの知識によるもので、技術的にまだ完璧(かんぺき)ではない。今回は、かなり無理をしてやった実験ではないか。地震波からみても、爆発規模は相当小さい」と「失敗」の可能性を指摘する。
一方、軍事評論家の江畑謙介氏は「爆発力が客観的にわかるデータが全くないので、失敗かどうか判断はできない」とした上で、「十キロトン以上なら実用性はあるが、それ以下では核兵器として意味がない」と説明。
「M4だとすれば、硬い一体型の岩山の中で爆発させて一キロトン、軟らかい岩石だと五−十キロトン。実験場所の地質がわからないことには、爆発規模はわからない」と江畑氏。明らかなのは「大きな人工的な爆発が起きた」ということだけで、それが核だったかどうかは「外交的に問いつめるしかない」という。
■搭載のミサイル 精度に問題あり
また、現時点で、北朝鮮がミサイルに核弾頭を搭載する可能性はあるのかについては、神浦、稲垣両氏ともミサイルの命中精度そのものに「問題あり」という見方だ。
神浦氏は「射程、弾頭重量の条件はクリアしているが、核の場合は狙った場所の半径一キロ以内に落とさなければいけない。それだけの実績はノドンにはない」と分析。稲垣氏も「中国の研究機関に言わせると、北朝鮮のミサイルの信頼度は、おまけしても20%くらい」と否定的だ。
北朝鮮は二度目の核実験に踏み切るのか。「核実験は信頼性が重要。たまたま一回成功しただけでは信頼性はない」と神浦氏。パキスタンが九八年五月に核実験をした時は、一日の間に五回も実験を行った。北朝鮮も、今回の実験が失敗でも成功でも、再び核実験をやる可能性はあるという。
江畑氏も「軍事的、技術的に、北朝鮮は何種類もの実験をやってみたいだろう」と話し、今後の展開をこう予測する。
「国際社会で外交交渉をする『表の対応』以外に、どこかでひそかに会う『裏の対応』がある。今まで裏で交渉をしていなかったとしても、核実験をやったら、必ずアメリカは裏で交渉してくる。北朝鮮は一回やってみて、後はアメリカの反応を見ながら二回目の実験ができるようになった」
<デスクメモ> 窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)む。追い詰められた鼠が猫にも食らいつくたとえだが、追い詰められる原因をつくったのは北朝鮮だ。今回の核実験はその北朝鮮が、大勝負に出たものだろうが、今後の対応が悩ましい。かつての日本も「大東亜共栄圏」の名の下に孤立の末、自滅の道を突き進んだ。歴史に学ぶべきだ。 (吉)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20061011/mng_____tokuho__000.shtml
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