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□「美しい国」の実情惨状、「再チャレンジ」の嘘八百 [ゲンダイ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2547872/detail
「美しい国」の実情惨状、「再チャレンジ」の嘘八百
安倍首相が法人税の引き下げを言い出した。具体的には、企業の設備の価値減少を経費に認める「減価償却制度」の拡充だ。07年の税制改正で現行の95%の償却限度額を撤廃し、全額償却できるようにするという。これによって、法人税は最大6000億円も減るから、企業の設備投資意欲はアップ、経済が活性化して税収はプラスになるというソロバン勘定だ。だが、本当にそんなにうまくいくのか。英誌エコノミストの編集長はこう指摘している。
「増税に頼らずに経済成長で財政再建を成し遂げようとする試みは他の国でも行われてきたが、それが難しいことは、(2001〜03年の減税で財政赤字が膨らんだ)アメリカの例でも明らかだ」
問題は、企業を減税で潤わせても、従業員への再分配がまったく行われていないことである。
経済評論家の広瀬嘉夫氏が言う。
「企業収益が伸び続けている今、法人税を減らさなくても企業は十分にやっていけます。設備投資は生産過剰にもつながるため、企業は頻繁に行うわけではない。肝心なのはGDPの半分を占める個人消費。安定した景気回復には個人消費の伸びが欠かせないのに、企業は利益を従業員に分配しようとしないから冷えたままです。法人税減税の前に、まずは所得税を減らすべきなのです」
先進国の中でも日本の法人税率30%を下回っているのはドイツの25%だけ。中国も日本より上だ。その逆を行く日本は勝ち組と負け組の格差が広がる一方の「美しくない国」へまっしぐらだ。
安倍は「小泉改革の継続」を掲げているが、そもそも「改革の成果で企業が立ち直った」というのは虚構だ。好決算は国民をとことん痛めつけた結果でしかない。
第1はゼロ金利によって不良債権を抱える銀行と企業を救ったこと。日銀の福井総裁は国会で「93年からの低金利で家計が失った利子所得は154兆円」と答弁した。要するに国民1人当たり120万円、4人家族で実に480万円が金融機関に“所得移転”し、企業の負債も金利分が身軽になったのである。
第2にサラリーマンの給料をトコトン抑えたことだ。財務省の統計によれば、01年から05年の全産業の経常利益の伸びは83%。ところが人件費の伸びはたった2%! サラリーマンの給与は8年連続でダウンしているし、貯金を生活費に取り崩したため、貯蓄ゼロ世帯は90年代の1割以下から05年には28.8%に増加している。
さらに企業は厚生年金負担や退職金積み立てから逃れるために正社員を取らなくなった。小泉改革の規制緩和によって派遣社員の対象を無制限にしたから、派遣やパート、アルバイターがどんどん増え、ついに非正規雇用者は労働者の33.2%にもなっている。
この非正社員の生涯賃金は正社員の4分の1。第一生命経済研究所の調査によれば、男性正社員の生涯賃金2億4221万円に対して、非正社員の生涯賃金は6176万円。子ども2人を育て上げるのに3126万円かかるから、非正社員は生涯賃金の50%を子育てにつぎ込まなければならない(正社員の子育て負担は12.9%)。いわゆる「ワーキングプア」だ。これではマイホームを持つことはおろか、国民年金を払い続けることもできない。政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「そんなリストラと将来不安によって、中高年のうつ病は激増し、自殺者も3万2000人の水準から下がらない。改革は金融機関やIT関連のベンチャーに恩恵があっただけ。これが勝ち組となってどんどん格差が広がっているのです。だいたい国民を犠牲にする改革なんてウソですよ」
では、業績が回復した企業は、これからサラリーマンの給料を上げたり、派遣を社員化することはあるのか。残念ながらない。日本経団連が2149社に行ったアンケート結果を見ると絶望的だ。78.7%の企業が「若年層の正社員が不足している」と答えているのに、「派遣、フリーターを積極的に採用したい」というのはたったの1.6%。「まったく採用しない」と答えた企業は24.3%もある。
業績が回復しても採用するのは新卒のみ。「フリーターや中年を一から教育する考えはない」(企業人事担当者)のが現実だ。
たまたま90年代後半の就職氷河期にぶつかり、とりあえず派遣社員になった30歳前後や中年フリーターは永遠に正社員の道が閉ざされている。
これが「美しい国」の現状。安倍は再チャレンジ策として、「2010年までにフリーターを8割に減らす」とか「30歳前後のフリーターの職業訓練、能力開発を進める」と言っている。しかし、こんなのは庶民の痛みが分からないオボッチャン首相の机上の空論だ。
「本気でやるなら企業にフリーター採用を義務化するとか、派遣業の対象を元に戻すことをすべきです。でないと自腹で職業訓練を受けても就職できないのだから、生活はもっと苦しくなる。再チャレンジの場所すらないのですから、安倍氏の政策は口先だけです」(本澤二郎氏=前出)
だいたい、派遣社員を請負と偽って安くコキ使っていたキヤノンの御手洗冨士夫会長を経済財政諮問会議のメンバーにしているのだから、話にならない。
この国を支えている労働者の大部分が額に汗してまじめに働いているのに、なぜ貧乏暮らしを強いられているのか。これが緊急かつ最大の政治課題だ。しかし、安倍は官邸の機能強化だのリーダーシップだのと権力をもてあそぶことばかり。国民はいつまで「お人よし」でいるつもりなのか。
【2006年10月6日掲載】
2006年10月09日10時00分
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