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http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20061006k0000m070159000c.html
政府は共謀罪の導入を目指し、組織犯罪処罰法改正案を臨時国会の最重要法案の一つにしているが、「国際組織犯罪防止条約の批准には共謀罪が必要」とする政府の説明の根拠が、揺らぎ始めた。日本弁護士連合会が国連の会議録や国連作成の立法ガイドを精査した上で「共謀罪は不要」とする意見書を法務省などに提出。民主党も同様に、徹底追及する構えを見せているからだ。
条約の批准には、犯罪の未遂より前の段階で加罰できるように共謀罪か結社罪を導入しなければならない、結社罪は憲法の結社の自由に触れるため共謀罪を創設する、創設して条約を批准しないと、テロ対策や国際犯罪対策で各国が連携を深める中、世界の孤児になる……といった説明を、政府は繰り返してきた。
しかし、日弁連の意見書などによれば、条約起草のための国連の会議で政府は「共謀罪も結社罪も、日本の法原則になじまない」と強調、多くの国に受け入れられる条約にすべきだ、と主張した。その結果、日本など英米法や大陸法とは別の法体系を採る国では両罪とも導入が難しいことが理解され、条約には「各国が国内法の原則に従って実施すればよい」と明文化された。国連が各国の国内法起草者向けに作成した立法ガイドにも「各国の国内法の基本原則と合致する方法で行う」「新しい法が国内の法的な伝統、原則、基本法と合致することを確保しなければならない」といった日本の主張をくんだ項目が盛り込まれた。
条約が一方で求める結社罪も、特定の犯罪にかかわることを認識して犯罪組織に加わる参加罪と解釈するのが妥当であり、日本では共謀共同正犯やほう助犯の理論によって幅広く共犯を処罰できること、58の主要犯罪について凶器準備集合罪や殺人予備罪などで未遂より前の段階で処罰できること−−などを総合し、現行法のまま条約を批准できるので共謀罪は不必要、と日弁連は結論付けている。
意見書に照らすと、政府は国連で受け入れられた自らの主張にも反し、必要でもない共謀罪の創設を図ってきたことになる。共謀罪には「市民の人権弾圧に悪用される」といった根強い批判があるほか、対象犯罪が600を超すだけに法体系を一変させるとの懸念も広がっている。それらに抗し、確固たる根拠もないまま政府が導入を目指していたとするならば、国民への重大な背信行為と言わなくてはならない。政府は「条約の一部を留保することはできない」とも説明していたが、この間、共謀罪導入に熱心だった米国が、肝心の国内法整備の条文に留保をつけて条約を批准したことも判明している。国連が条約批准の適否を審査するとしていた政府の説明も、事実に反すると批判されている。国を挙げての論争の意味も、問い直されなくてはならない。
共謀罪がなぜ、必要か。政府はなぜ、変節したのか。切実な疑問を突きつけられた以上、政府は国会審議以前に、国民が納得できる説明をしなければならない。
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