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撤退後のサマワ:
自衛隊の残したもの/4 支援が生んだ「地域格差」
◇駐留規模や期間に不満
ムサンナ県の県都サマワから東に約30キロのヒドル市。ユーフラテス川の堤防近くに、市内でただ1カ所の浄水場がある。ごう音が響き、川からくみ上げた水を飲料水に変えている。ヒドル浄水局のアブドラ・ハッサン局長(28)は「サマワに比べヒドルは水の環境が悪い」と指摘する。
ヒドルの人口は約7万6000人。浄水場では1時間に25立方メートルの飲料水を作り出しているが、給水車で農村部に配水する分にしかならない。飲料に適した水を飲めるのは住民の2割。アリ・シャエル・ジョルダ市評議会副議長(32)は「給水を頼もうとサマワの宿営地を訪ねたが、受付で門前払いされた」と話す。
陸自幹部は「宿営地で浄水した水を県の給水車に積み、ヒドルでも給水活動を行った」と反論するが、サマワでは、自衛隊は市内水道管網や北部ルメイサとむすぶ主要水道管を補修した上、給水にあたるなど手厚い支援を実施していた。
自衛隊の支援対象はムサンナ県全体だ。しかし、地方での活動は危険が増す。さらに県の要望事業が集中していたため、支援はサマワに重点的に投入された。その結果、ヒドルなど県内他地域の住民から「地域格差」への不満が出ている。
どんな国際支援も受益者と非受益者の間で格差が生まれる。自衛隊幹部は「すべてを自衛隊でやるのは無理。一部で不満があるのは当然だ。県の要望に応えた結果、地域差が生まれてしまった」と認める。自衛隊を取材した地元テレビのハッサン・ハラワ記者(35)は「自衛隊はできるだけ格差が出ないよう努めていた。サウジアラビア国境の村でも活動していた」と擁護する。
◇ ◇ ◇
イラクでは90年以降の国連制裁の影響で学校の補修予算が削られ、特に南部のシーア派地域はないがしろにされた。イラク戦争(03年)後は学校が略奪され、荒らされた。自衛隊が補修した学校は県内36校。外務省予算で地元業者が修理した分を含めても約100校と県全体(約350校)の3割にとどまった。
サマワ市で最も歴史のあるイマム・ムーサ・カードム小学校(児童400人)は玄関や便所、天井が老朽化し、2階の窓はすべて壊れている。ファドル・ハスーニ校長(55)は「県に自衛隊による補修を陳情したが、『傷みがひどいため建て替えになり予算が足りない』と聞き入れてもらえなかった」と語る。連日、児童と共に学校の「手当て」に追われる日々だ。
一方、市中心部のサマワ女子高校では自衛隊が床、壁を塗り替え、教室のドアを修理し、エアコン4台を設置した。ナイマ・マトルド・オムラン校長は「生徒が落ち着いて勉強できるのは自衛隊の活動があったからだ。感謝している」と話す。
陸自幹部は「修復してもらえなかった学校は不満を持つだろうが、2年半の駐留期間ではモデルケース作りが役割。それが限界だ」と説明する。
自衛隊撤退前、宿営地周辺で県やサマワ市職員が駐留延長を求めるデモを繰り広げた。「支援格差への不満が残ることへの危惧(きぐ)もあったためだ」(市幹部)という。県民の目には、不満をまんべんなく解消するには自衛隊の駐留規模、期間とも不十分と映った。【サマワとヒドル(イラク・ムサンナ県)で小倉孝保、社会部・反田昌平】=つづく
毎日新聞 2006年10月6日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20061006ddm002010010000c.html
関連記事―
撤退後のサマワ:自衛隊の残したもの/3 欲しかったのは「電力」―「毎日新聞」
http://www.asyura2.com/0610/senkyo27/msg/267.html
投稿者 天木ファン 日時 2006 年 10 月 05 日
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