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http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20061004/col_____sha_____002.shtmlより転載。
集団的自衛権 なぜ違憲例研究なのか
安倍晋三首相が、違憲となる集団的自衛権行使の事例について研究する意向を明らかにした。“行使は合憲”が原則という解釈に転換するのであれば、その是非の議論が事例研究より先決だ。
集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある他国が武力攻撃を受けた場合、自国が直接攻撃されていなくても、防衛行動に参加する権利とされる。国連憲章上、個別的自衛権とともに、国家固有の権利として認められている。
一方、政府は憲法上、自衛権の行使が認められるのは必要最小限度の範囲に限られるとし、集団的自衛権は保有しているが行使できないと解釈してきた。建前上、二種類の自衛権は明確に区別されているが、実際の境界線は必ずしも明確でない。日本国内で米軍が攻撃を受ければ日本も行動を起こすと日米安全保障条約が規定しているのは、一例だ。
ましてや、軍事技術や日本周辺の情勢は激変している。ミサイル防衛構想のように、隣国から飛来する弾道弾の情報を瞬時に同盟国間で交換し、自衛権を行使する軍事技術が開発されるとは、憲法制定当時、予想できていたはずはない。
日本の安全を確実に守るうえで、立憲当時に想定されなかった情勢変化に直面すれば、自衛権の「必要最小限度の範囲」にかかわる解釈の空白を憲法の精神に沿って埋め得るかもしれない。これまでも、周辺事態法や武力攻撃事態法、関連協定などの成立過程では、違憲の集団的自衛権行使には至らず「合憲」であるという見解を、事例を想定しつつ慎重に確認してきた。
これに対し、安倍首相は国会の代表質問で、「いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し研究していく」と説明した。
これは、集団的自衛権の行使が原則的に合憲であることを前提とし、例外的に違憲とされる場合をあらかじめ列挙しておく作業を考えているようにも聞こえる。合憲を原則とすれば、自衛権行使をめぐる「必要最小限度」の許容範囲は劇的に拡大する恐れがある。想定外の事態が生じれば、歯止めの確保も課題となる。
安倍首相は近著の中で、自衛隊の任務をめぐり、現行の自衛隊法が可能な活動を列挙する形式であることについて「政策判断の余地がほとんどない」と批判的に言及している。集団的自衛権の違憲事例研究も、同じような発想で思い立ったのではないか。首相は、なぜあえて違憲の事例を研究しようとするのか。その狙いをまず明確に説明してほしい。
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