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□夫婦別姓は死んだ [AERA}
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061113-02-0101.html
2006年11月14日
夫婦別姓は死んだ
世論調査では5年前に賛成が反対を上回っている。でもこの党では逆。
憲法が時代にあわないというのなら、それより古い民法はどうなのか。
東京に住む30代のフリーライターは、安倍内閣の顔ぶれを見てため息をついた。男女共同参画担当相が高市早苗氏になっていた。
これで当分、「元夫」との「復縁」ができないと思ったからだ。
彼女が離婚届を出したのは2年前の夏。といっても、法律上の元夫とは仲良くそのまま一緒に住んでいるし、実質的な関係が変わったわけではない。形式上離婚という形をとっただけ、いわゆる「ペーパー離婚」だ。
生まれたときからの自分の名を唯一のものとして使い続けたい。それまでは通称を使用していたが、二つの名前があることは不便と混乱の連続だった。
離婚届を出す直前、自民党内で野田聖子氏らを中心に夫婦別姓法案が議論された。当時、自民党は高市氏ら別姓反対派が軒並み引退や落選中。もしかしたら法案が通るかもという期待を抱かせた。
だが結局、議論は紛糾。これで当分無理だとあきらめて離婚届を提出した。けれども別姓法案が通れば「再婚」するつもりだ。
この10年にわたり、自民党は夫婦別姓の議論と断念を繰り返してきた。安倍晋三首相をはじめ、今回内閣や党の要職についたメンバーには、高市氏のほかにも反対論を訴えてきた人が多い。
反対派ズラリ勢揃い
伝統的な家族観の持ち主として知られる安倍氏は、党内議論の初期のころ「わが国がやるべきことは別姓導入でなく家族制度の立て直しだ」と反対論を述べている。
長勢甚遠法相も「伝統的な家族」を重んじる。年金改革で、夫婦で厚生年金を分割する厚生労働省案に「家族制度を崩壊させる」と反対、撤回させたこともあるほどだ。
夫婦別姓については、法務部会で「景気が悪いのに何をくだらない議論をしているのかと地元から言われる」と述べたこともある。10月31日の記者会見では、「私個人は、国民のみなさんの動きがどうなっていくか見極めたいと思っておりますが、今までは、まあやや消極派だったと思っております」と歯切れ悪く答えている。
そして度重なる核保有発言が波紋をよんだ中川昭一自民党政調会長。
04年の議論での最終盤、議論が白熱する法務部会に乗り込んで、部会長をどやしつけた。
「どっちを向いて議論してるんだ! なぜこの期に及んで法案を出そうというのか!」
高市氏は、通称使用の拡大を主張する。自らも山本拓衆院議員と結婚後も旧姓を名乗り続けている。高市氏の案は仕事や社会活動上、旧姓を使ったほうがいい場合は戸籍に書き込み、通称使用をオーソライズするというものだ。
01年に内閣府の初代男女共同参画局長を務めた坂東真理子さんは、任期中に国家公務員の通称使用を可能にした。だが、通称使用のこれ以上の拡大には懐疑的だ。
「根本的な問題の解決にはならないのではないでしょうか。法的にオーソライズするといっても、公文書にはさまざまなものがある。かえって問題が複雑化して不便さが増幅する可能性がある」
坂東さんは、この問題は結局、感情論だと指摘する。
「一番の認識の違いは、反対派は、別姓が選べるようになったら、我も我もと変える人が多いのではと恐れている点。実際はそんなに多くないと思う」
賛成派いるにはいるが
さて、最後の党内議論から2年たった今。その間に野田聖子氏は自民党を去った。この政権で夫婦別姓は実現しないのか――。
自民党に別姓の議論を続けている人たちがいないわけではない。
昨年の郵政総選挙で当選した前岡山市長の萩原誠司氏。昨年、男女共同参画基本計画の改定に伴い出した提言で「夫婦別氏制度について国民の理解が深まるよう積極的に検討を進めるべきである」と盛り込んだ。
萩原氏は「一人娘など、別氏にできないゆえに結婚できないケースもある。これは悲惨な人権侵害。少子化の時代、別氏と家庭の重視は矛盾しない」と語る。
別姓ブロックシフト
野田氏もあきらめてはいない。
いつか自民党に戻れるときがきたら、法案の中身をさらに反対派に理解が得られるように変えることも考えている。
「別姓の目的を家の存続だけに限る、など。とにかく事実として別姓を実現させることが大事。自民党内に議論をとどめておくのは不健全だと思うので、党議拘束をかけずに国会に出してみたい」
野田氏は、100年前(憲法よりさらに40年前ですね)に作られた民法は現代の少子化状況を想定していなかったという。
「社会の変化に民法がついていっていない。安倍首相には、憲法よりまず民法を変えてほしい」
だが、はっきり言いましょう。党にも内閣にも「歴史」と「伝統」を重んじる皆様方が多い政治状況から見て、安倍政権下で夫婦別姓が実現するのはまず不可能といっていい。だいたい、中川氏も長勢氏も高市氏の唱える通称使用にすら消極的。チーム安倍は事実上「夫婦別姓ブロックシフト」だ。
しかも現在安倍政権の支持率は高い。「それなのに、国論を二分するかもしれないテーマを俎上に載せるリスクを冒すことはあえてしない」(省庁幹部)のだった。
「私の願いは、誰からも間違われず、疑われず、生きていきたいということ。名前は一つでいい」
冒頭のフリーライターは肩を落とすが、当面は星に願いをかけてもらうしかないかもしれない。
編集部 秋山訓子
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