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「イラク派兵違憲訴訟の判決を前にして」
テーマ:非暴力
「イラク戦争に反対したため外務省を不当に解雇されたとして、天木直人元駐レバノン大使(59)が、国に一万円の損害賠償を求めるなどした訴訟の判決で、名古屋地裁の内田計一裁判長は十日、『免官に違法な点はない』として請求を棄却した。自衛隊のイラク派遣差し止めを求めた訴えは『訴訟として不適法』と述べ、却下した。」
私は、日本の議会制民主主義の根本は三権分立制度に支えられていると思うのですが、行政に立法や司法が媚びている状況が危惧される出来事が多いようです。
天木さんが判決を前に発表した声明は、私達に訴えるものがあると考えますので、下記の通り紹介します。賛否は別にして、彼の言うことに就いて私達自身の頭で考えてみることが肝要であると思量します。
記
「11月7日に行われた米国中間選挙の結果ブッシュ政権が敗北を喫した。それを受けてラムズフェルド国防長官が更迭された。米国国民がイラク戦争の間違いに気づいたのだ。あれほどイラク戦争の正しさを強調し続けたブッシュ大統領と、そのイラク戦争遂行の指揮をとったラムズフェルド国防長官が国民の審判に膝を屈した瞬間である。
この歴史的な米国国民の審判の直後に名古屋地裁がイラク派兵違憲訴訟について判決を下すことになったのは神の配剤とも言うべき絶妙なタイミングである。原告の一人として運命的なものを感じる。
3年半前、外交官人生をかけてイラク戦争に反対した私にとって、ブッシュ政権が米国国民の手で断罪された事はもとより感慨深いものがある。しかし私はそれでもブッシュ政権の敗北を素直に喜ぶ気にはなれない。選挙の敗北だけで免罪というわけには行かない。今日に至る3年半もの間にどれだけの人命が無為に失われていったことか。どれだけの悲しみと怒りと絶望が繰り返されたことか。いやその悲惨な状況はこの瞬間にも続いている。それどころか、イラク戦争の原因でもある中東紛争は国際政治から放置されたままだ。ガザにおけるイスラエルのパレスチナ人虐殺はもはや極限に達して久しく、なお見放されたままだ。
私があの時イラク戦争に反対した最大の理由はまさしくこの米国のアラブ人に対する不正義であった。パレスチナ人を虐待し続けるイスラエルの非道であった。そしてそれらを放置する国際政治の欺瞞であった。
強者の暴力を黙って見過ごすには私は官僚としてはあまりにナイーブであったかもしれない。弱者の悲鳴に耳をふさぐことの出来なかった私は外交官としてあまりに感情的であったかもしれない。しかし「力は正義である」と割り切るのが国際政治の現実であり、その現実を受け入れるのが優秀な外交官であるというのなら私は外交官失格を誇りに思う。今日まで私を支えてきたのはこの思いである。
弱者の人権を守る最後の砦が「法の支配」であると我々は教えられてきた。多数の暴力から少数を守るのが立憲主義と学んできた。米国のイラク戦争に加担して自衛隊を戦
地に送った小泉前首相の権力の傲慢を政治は止めることが出来なかった。権力者小泉前首相は世論の声を聞こうとはしなかった。せめて「法の支配」に訴え、司法の良心を信じて起こしたイラク派兵違憲訴訟であった。
その判決を私はこの目で、この耳で確かに見届け、聞き置こうと思う。
2006.11.10
天木直人 」
山口実
http://ameblo.jp/boad/entry-10019785774.html
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