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「安倍vs青木」神経戦の行方 [読売ウイークリー]
http://www.asyura2.com/0610/senkyo27/msg/1256.html
投稿者 white 日時 2006 年 11 月 07 日 13:37:14: QYBiAyr6jr5Ac
 

□「安倍vs青木」神経戦の行方 [読売ウイークリー]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061107-01-0202.html

2006年11月7日
「安倍vs青木」神経戦の行方
小泉政権の浮揚術は「抵抗勢力との対決」だった。安倍自民党もその手法を継承しようとしているが、「党内の新たな抵抗勢力」とささやかれるのが参院自民党のドン、青木幹雄議員会長だという。
 青木幹雄・参院自民党議員会長の夜の会合回数がめっきり減っている。かつては毎晩のように宴席の予定が入っていたが、「最近は週に一度ぐらい。国会から議員宿舎に直接帰ることが多いですね」(自民党担当記者)。
 一方の安倍晋三首相は就任早々、中韓両国を訪問。小泉政権時代に途絶えていた首脳会談を実現し、衆院補選(神奈川16区、大阪9区)でも2勝するなど、政権は順風満帆のスタートを切った。
 2人のたたずまいを反映するのか、最近、自民党内で2枚看板の反目する場面が目立ってきている。
 まずは安倍内閣の組閣に際して行われたさや当てだ。
 閣僚の参院枠(2ポスト)をめぐり、安倍氏は「参院側が挙げてきた人を自動的に決めることはしない」と牽制。対する青木氏は「何を言うか」と言わんばかりに、若林正俊、溝手顕正両氏の名前を挙げて安倍氏と直談判。結局、それぞれ環境相と国家公安委員長に押し込んだ。
 「会談は党本部で行われました。青木さんは眉間にしわを寄せてやってきました。そんな表の場で直談判することが、今の2人の間の距離を表しています」(自民党担当記者)
 もう一つの衝突は参院選の候補者差し替え問題だ。
 総裁選で安倍氏は、すでに決定している参院選候補予定者について、「勝つためには差し替えもあり得る」との見方を示した。しかし、青木氏の側近である片山虎之助・参院自民党幹事長が色をなして、こう怒った。
 「独裁でもあるまいし、一度決めたものをひっくり返すことは民主主義のルールに反する」
 青木氏も、安倍氏に「発言には気をつけてほしい」とクギを刺した。
 その応酬は、総裁選にも影を落とした。安倍氏の得票数が、国会議員票で目標の7割に届かなかったことから、
 「反発した参院自民党の票が麻生、谷垣両氏に意図的に流れた」(自民党中堅)との観測が流れた。安倍陣営で大いに不信感が広まったのは言うまでもない。片山氏の安倍批判はその後も、「安倍首相は(北朝鮮の)金正日のお陰であれだけ人気が出た。足を向けて寝られない」(11月1日、前橋市での講演)と続いており、カリカリした安倍氏周辺が青木氏側に「片山さんの言動をなんとかしてほしい」と求めても止まらない。
 そして三つ目が、郵政造反派の復党問題である。郵政民営化に反対して自民党を離党した造反派だが、その復党を強く後押ししているのは青木氏ら参院自民党である。青木氏らにとって、参院選に勝つためには、地元に根を張る郵政造反派たちの協力は不可欠だからだ。
 安倍氏は一応、復党に理解を示している。しかし、これに反発する小泉チルドレンの多くは熱烈な安倍支持派と重なっており、「安倍さんも本音では復党を望んでいないはずだ」(小泉チルドレンの一人)という。
 これらの亀裂から浮かび上がってくるのは、2人の政治スタンスの違いだ。両氏は年の差で20歳も離れており、党内で着実に進む世代交代がその背景にある。
 参院選でいえば、青木氏らは従来型の組織重視の選挙戦術をとり、前述したように、
 「地元県連が挙げてきたベテランの現職らを公認するのが当然で、その差し替えはもってのほか。地元組織に影響力のある郵政造反派の選挙協力は何よりも必要だ」(津島派参院議員)
 と考える。
 これに対し、安倍氏をリーダーとする若い国会議員らの言い分は、こうだ。
 「無党派層が増大した結果、従来の組織票は、もはや当てにできない。党改革をもっと進めるべきだ。郵政造反派を復党させると、獲得する票より、融通無碍な党の行動に対し、『詐欺だ』と怒って去っていく票のほうが多い。参院選では高齢候補を降ろして若い魅力的な人に差し替えるべきだ」(若手衆院議員)
 「自民党は変わった。若くても実力があればすぐ仕事ができる。だからこそ、この年齢で私は総理大臣になれた」
 自民党改革を盛んに訴える安倍氏もそうした危機感をおそらく共有していると見ていいだろう。政治評論家の浅川博忠氏が言う。
 「小泉さんは『自民党をぶっ壊す』といって津島派を壊しにかかった。しかし、衆院側をたたきのめしたものの、青木さん率いる参院側が残った。支持団体の組織候補を多数抱える参院自民党こそ旧来の自民党そのもので、自民党改革を安倍さんが目指すなら、いずれ青木さんと敵対する宿命にあるといえます」
 永田町では、たとえ盟友関係であっても対峙する存在として語られだすと、いつの間にか、その対立は先鋭化する。「野中広務」と「梶山静六」しかり、「小泉純一郎」と「加藤紘一」しかりである。まして世代が離れ、政治スタンスが異なる「安倍」と「青木」である。青木氏の前に参院自民党に君臨し、政治権力とそれにまつわる人間模様に精通した村上正邦・元労相はこう見る。
 「青木さんの力の源泉は参院で数を握っていることにある。そして、その数を維持するため青木さんは、権威を維持することに固執し、場合によっては『おれが協力しないと政権は持たないよ』と恫喝する。安倍君のほうはいい思いはしない。もっとも、権威が落ちれば途端にその求心力は落ちる。若い安倍に分がある」
 神経戦は来年夏の参院選まで続きそうだ。

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