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北朝鮮問題を巡る外交舞台の主役はもはや完全に米国と中国の手に委ねられたこと私は前回のこのコラムで指摘した。
すなわち国連安保理制裁決議に中国が同意し、これを米国が歓迎したことは米中という2大核保有国が今後は世界の安全保障を牛耳ることを意味する。日本は中国に外交が勝てなくなったのだ。
その指摘から2週間後あらたな衝撃が日本国中を駆け巡った。北朝鮮が6カ国協議に復帰することで米中朝が合意した。この外交的成果が中国政府から電撃的に発表された。それを待っていたかのようにブッシュ大統領が中国を褒めそやした。おまけに米朝の2国間協議まで行われていたのだ。この極秘裏の外交を日本政府はまったく察知していなかった。安倍首相、塩崎官房長官、麻生外相などのコメントから透けて見える日本の当惑ぶりは明らかだ。「6カ国協議の再開は日本が要求していたことであり歓迎する」と自らの立場の正しさを強調してみたり、「協議が再開されるからといって楽観できない」と水をかけてみたりする。それが日本政府のできる精いっぱいの反応だ。「フーテンの寅さんがふらりと帰ってきた(6カ国協議へ復帰した)と思ったら核を持って来た」(中川昭一政調会長)とか、「赤飯を炊いて喜ぶようなことではない」(麻生太郎外相)などという間抜けなコメントをするほかに術がないのだ。外務官僚に至っては、「日本が協議に入ると北朝鮮が感情的になるので加われなかった」と日本が蚊帳の外におかれたことを認めるありさまだ。
今回の米中朝合意が与えた衝撃は日本政府にとどまらない。北朝鮮問題に無責任なコメントを垂れ流していたわが評論家たちは語る言葉が無い。連日北朝鮮問題を報道していたマスコミも今回の合意を報ずる態度は奇妙に抑制的である。「米国との関係さえよければ他の国との関係はどうでもいい」と公言して米国にスリ寄り、いたずらに中国との関係を悪化させたのはついこの前までこの国の首相であった小泉議員である。それを支持したのはこの国のマスコミと国民である。
その中国が今アジア外交の主導権を握っている。日本が唯一頼みとする米国は中国に感謝し中国を最大のライバルとみなして外交を演じ始めた。日本外交は根本的なところから再構築しなければならない時がきている。
2006/11/7 「日刊ゲンダイ」より転載しました。
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