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米中間選挙 争点のイラク情勢
泥沼統治
「住民も闘争支持」真の支配者は民兵勢力
宗派間の殺りく、宗派内の抗争、米軍攻撃。イラクで複雑に絡み合う暴力の“三重奏”の前に、米国が立ちすくんでいる。七日投票の米中間選挙で最大の争点となったイラク政策。だが、治安回復への道筋は全く見えず、無力な米軍をよそに「イラク解体」のシナリオさえ現実味を帯びつつある。 (カイロ・萩文明)
■絶望的治安
「私は米国の友人だが、米国の人間ではない」
先月末、イラクのマリキ首相が異例の険しい口調で米国を非難した。
米中間選挙で劣勢にあえぐ共和党のブッシュ政権は治安悪化の現状にいら立ち、イラクに「治安回復の行程表」づくりを求めた。だが「責任は米国にある」とするマリキ首相は押しつけに反発。絶望的な治安の現実はついに、両政権の蜜月関係をも崩し始めた。
米軍は先月下旬、兵士が拉致されたことを理由に、バグダッドにあるイスラム教シーア派の反米指導者サドル師派の拠点サドルシティーを包囲する強硬策に出た。
だが一週間の攻勢でも成果が出ないまま、マリキ首相の指示で包囲は解かれた。サドル師側近のアヤダーリ氏は「米軍を放逐した。サドル師派の偉大な勝利」と話す。
強力な民兵を抱え、イラクで武力抗争の“主役”を演じるサドル師派は、政権基盤の弱いマリキ首相にとって、数少ない組織的な支えだ。今回の包囲解除の裏にも、サドル師側から首相への強い圧力がにじむ。
暴力の連鎖が国中を覆う間に、かつて米国が頼ったシーア派権威シスタニ師の威光さえも「完全に失墜してしまった」(政治評論家サエド氏)。今、イラクの真の支配者になりつつあるのは、政府でも米軍でもなく、サドル師派などの民兵を抱えた諸勢力である。
サドルシティーの攻防が、その現実をはっきりと裏付けた形だ。
マリキ首相は半年前の就任時、民兵解体を掲げたが、シーア派勢力にとっては民兵だけが政治、軍事力の支え。シーア派を中核とする政権に絡み警察や軍を掌握した民兵は、解体を逃れ、逆に暴力の連鎖に拍車をかける流れができている。
さらには、イラクからの早期撤退を目指す米軍が“出口”戦略のカギとして考えた、イラク治安部隊の「強化」が行き詰まっている。イラクの部隊を独り立ちさせ治安権限を移譲すれば、米軍は安心して出て行けるという筋書きだったが、その治安部隊が民兵に支配され、米軍にも攻撃をしかける相手とあっては、おいそれと「強化」を進めるわけにいかない。米軍統治の泥沼の底に、この矛盾がある。
■レバノン化
「情報料は一万ドル」
先月中旬、米軍はイラク中部ラマディで、武装勢力掃討への協力を求めるビラを大量に配った。
だが翌日、別のビラが街を埋め尽くした。「戦車から頭を出した米兵に十万ドルを払う」。それは「いつでも、どこからでも米兵を狙撃できるぞ」という武装勢力の自信のメッセージだった。
ラマディは、シーア派と米軍への攻撃を続けるイスラム教スンニ派の拠点の一つ。米軍が何度も制圧を目指し、失敗を繰り返している。
しかも、徹底攻撃の結果、外国人勢力や旧支配政党、地元部族が「米軍打倒」で一致、一般住民を闘争支持者に変えた。旧イラク軍兵士は「住民の95%が抵抗闘争を支えている」と言い切る。その間も、統一国家への政治プロセスに逆行したシーア派とスンニ派の死闘は続き、流れはイラク解体へと勢いづいている。
「毎日、百人が死ぬ」ともいわれるイラク。米国とマリキ政権が頑強に否定しても、周辺では誰もが「内戦」状態と認め始めた。
バグダッドの評論家、ハダダ氏がつぶやく。
「十五年間の内戦を経験したレバノンと同じ運命が、イラクの前に横たわっている。そこに出口はない。あるのは長い地獄の入り口だ」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20061106/mng_____kakushin000.shtml
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