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「再チャレンジ支援」で総理表彰制度のギャグ
格差社会 / 2006年09月29日
内閣支持率が意外といいという。「日経71%」「読売70%」「毎日67%」「朝日63%」と、上々の数字が並んでいる。つくつぐ、日本人は「だまされても 同じ夢見る お人好し」だと思う。小泉内閣の延長線上に「安倍内閣」があり、小泉現象の残照もまだ強いから、支持率も自動延長したのだろうか。まさか、族議員大臣の復活と論功行賞の復活に拍手を送り、官邸タカ派親衛隊の結成に心踊らせているというわけではあるまい。しかし、安倍政権は「高支持率」を1カ月維持して、10月22日の衆議院補欠選挙に勝利すれば、本格政権の道も夢ではない。
今日、衆議院本会議で所信表明演説を聞いた。周囲は「いい出来だった」と持ち上げているに違いないが、私たち国会議員は「総理としての最初の演説」の中身を吟味しなければならない。改めて、「美しい国って、どういう国」という疑問と興味を持って聞いてみたが、見事にはぐらかされたという感じだ。「美しい国の姿を私は次のように考えます」と述べた安倍総理は、4点の箇条書きを読み上げた。
1、文化・伝統・自然・歴史を大切にする国であります。
2、自由な社会を基本とし、規律を知る、りんとした国であります。
3、未来に向かって成長するエネルギーを持ち続ける国であります。
4、世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国であります。
説明を重ねるごとにわかりにくくなる。これって、「強い国」「素晴らしい国」「魅力的な国」「いい国」「理想の国」など他の言葉に入れ換えてみても、何ら矛盾を来さない。言い換えれば、印象に残らないフレーズの列挙でしかない。「美しい国創り内閣」と自己命名されても、国民がリフレインする愛称にはほど遠い。60年安保の池田内閣の「所得倍増」や、田中内閣の「列島改造」など、あるいは近くは小泉内閣の「構造改革」など、政権スタートにあたって強い印象を残す言葉を放つことが出来るかどうかに注目が集まるが、「美しい国」はあまりにも情緒的すぎて歴史に残るのは難しい気がする。
もうひとつの「再チャレンジ」には笑った。本会議場でこんなにおかしかったのは久しぶりだ。「新しい日本が目指すべきは、努力した人が報われ、勝ち組と負け組が固定化せず、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、誰でも再チャレンジが可能な社会です。格差を感じる人がいれば、その人に光を当てるのが政治の役割です。私は内閣の重要課題として、総合的な『再チャレンジ支援策』を推進します」と安倍総理は語った。私が笑ったのは、次の部分である。
「再チャレンジを支援する民間や自治体の取組を応援するため、内閣総理大臣にように表彰制度を新たに設けます」
ブラックジョークにもならない。「2010年までにフリーターをピーク時の8割に減らす」「ニートやフリーターの積極的な雇用の推進」など、頭が悪く、感性の鈍い官僚の作文を誇らしげに読む新総理に、格差社会の陰影が少しでも分かっているのだろうか。「格差があっても、格差を感じない人」には光をあてないのか。格差の現実はそのままにしておいて、「再チャレンジ」の思考方法は「感じる」という心の持ちようにアプローチする。「負けるな、挑戦しようよ。元気だそうよ」という励ましだ。おまけに、チャレンジャー(=当事者)でなく、行政や支援関係者を表彰するというのだから噴飯ものだ。
雇用保険改革で「住居」「失業手当」「職業訓練」のメニューを一新しますと、私なら言う。はるかに具体的だろう。世襲政治家が微笑みながら励ますことで、やる気を出すほど甘い格差社会じゃないはずだ。安倍政権の高支持率の中には「格差を感じる人」たちも加わっている。その歪んだ構図をひっくり返す国会にしたいと心した演説だった。
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/7f47fca2158fe9c9394662ce57b33e45
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