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教育基本法 やはり改正すべきでない(信濃毎日新聞社説)【現行法の根底には戦前の軍国主義教育への反省がある】
http://www.asyura2.com/0610/senkyo27/msg/1032.html
投稿者 heart 日時 2006 年 10 月 31 日 01:50:50: QS3iy8SiOaheU
 

http://www.shinmai.co.jp/news/20061029/KT061028ETI090003000022.htmより転載。

10月29日(日)
社説=教育基本法 やはり改正すべきでない

 教育基本法の改正法案の国会審議が30日から本格化する。戦後教育の根幹をなす重要な法律である。なぜ今変えるのかという基本的な疑問に、いまだ納得できる説明はない。教育をめぐる問題は、基本法の改正で解決するものではない。改正は慎むべきだ。

 憲法は知っていても、教育基本法を読んだことがある人は多くないだろう。1947年公布の、前文と11の条文による短い法律だ。

 「変える必要があるのか、まず読んでみてほしい」と、昨年春に「11の約束 えほん 教育基本法」(ほるぷ出版)が生まれた。東京都在住の2人の女性が、多数の文献を参考にして、条文を分かりやすい言葉に読み解いている。

 教育の目的を示す第一条はこうなった。

 教育は、めざします。一人ひとりのうちにめばえたものが大きく育ち、それぞれに花ひらくことを。

 教育は、めざします。真理と正義を愛し、一人ひとりのかけがえのなさをたいせつにする人が育つことを。(中略)

 教育は、めざします。そうした人びとが、平和な国と社会のつくり手となることを。

 原文は、教育の目的を「人格の完成」とし、個人の価値の尊重や自主的精神にみちた国民の育成をうたっている。個を大切にする教育を目指す、基本法の背骨となる精神だ。

<問題は山積としても>

 著者の一人、伊藤美好さんは条文を読み解きながら、新しい憲法の理念を実現するために教育基本法が作られたことを痛感した。子どもを国のために命を捧げる存在に育てようとした、戦前の軍国主義教育への反省が根底にある。それをないがしろにするような改正の動きは、個人の尊厳や内心の自由に踏み込むものだ、と危機感を抱いている。

 なぜ、教育基本法を変える必要があるのか−。政府は、国際化、少子高齢化といった環境の変化や、さまざまな教育の課題への対応が必要だと説明する。

 いじめ、学力やモラルの低下、指導力のない教師など、問題がたくさんあるのは事実だ。だからといって、基本法を変える必要があるというのは、乱暴な理屈ではないか。逆に、現場の混乱が心配される。

 改正案では、現行法の個人の価値の尊重や自主的精神といった表現が消え、「道徳心」や「公共の精神」を加えている。個人を重んじる考えは大きく後退する。

 中でも問題が大きいのは教育の目標に「愛国心」を盛り込んでいることだ。国を愛する気持ちは自然とわくものなのに、法律で定めることで、教育が子どもたちの心に踏み込むことになる。大人に対して「あるべき姿」を強要する結果にもなる。

<息苦しくならないか>

 先の国会の論議では、愛国心の評価は求めない、「態度」を強要するものではない、といった答弁はあった。しかし、いったん法律に示されると、現場にあつれきや混乱が生じやすい。国旗・国歌法の成立で、学校での日の丸掲揚や君が代斉唱の指導が強まったことからも明らかだ。

 国の管理が強まる心配も大きい。現行法第十条は、戦前の政治や官僚に支配された教育行政への反省から、「教育は不当な支配に服することなく」と、教育の独立性をうたった。行政には、教育を行うための環境整備を求めている。

 改正案の第十六条は「不当な支配」の表現は残したが、教育は「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」と加えている。さまざまな規定を法制化すれば、国による管理が容易になる。現行法の性格を変え、教育の独立性を揺るがす心配がある。

 民主党案もほめられない。「日本を愛する心」や「宗教的感性」の涵養(かんよう)をうたい、政府案よりも保守的な色合いが濃い。

 先の国会では約50時間の審議を行っている。30日から集中審議を行い、政府は臨時国会での改正案成立を目指すが、さまざまな懸念への論議が十分だとはいえない。

<首相の姿勢に危うさが>

 教育改革は安倍政権の最重要課題である。官邸主導の改革を進めるために「教育再生会議」を発足させた。いじめによる自殺問題では、文部科学省の担当者、首相補佐官らが現地調査をした。高校の履修漏れ問題も、再生会議の議題になる。

 スピーディーな対応は世間から支持を得やすい。一方、地域の自主性を軽視して、政府や中央官僚が教育現場に踏み込む姿勢が気になる。

 著書「美しい国へ」の中で、安倍首相は「教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家をつくることだ」と述べている。憲法の理念を踏まえた現行の基本法とは、およそ相いれない教育観だ。

 安倍首相の教育改革構想は、伝統的な家族を尊重するなど復古調な思想を背景に、評価制度や全国学力テストで学校を競わせ、その成果を国がチェックするというものだ。こうした考えで基本法を改正すると、学校の裁量や、教育の自由をより損なう恐れがある。子どもたちや教師の息苦しさは増すばかりだ。

 このまま成立すれば、将来に禍根を残す。基本法を生かす道を、今は考えるべきだ。

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