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(回答先: 奥西死刑囚の再審取り消し/名張毒ぶどう酒事件(中日新聞) 投稿者 gataro 日時 2006 年 12 月 26 日 17:10:07)
http://www.asahi.com/national/update/1226/TKY200612260109.html から転載。
再審開始決定取り消す 名張毒ブドウ酒事件で名古屋高裁
2006年12月26日13時09分
三重県名張市で1961年、ブドウ酒に入れられた農薬で女性5人が死亡した「名張毒ブドウ酒事件」で、名古屋高裁刑事2部(門野博裁判長)は26日、第7次再審請求審(同高裁刑事1部)が認めた奥西勝死刑囚(80)の再審開始決定に対する検察側の異議申し立てを認め、再審開始決定を取り消す決定をした。決定は、奥西死刑囚の死刑執行の停止を取り消し、第7次再審請求も棄却した。弁護団は1月4日に特別抗告する方針で、結論は最高裁に持ち越される。
(写真省略)
異議審は、再審開始の理由とされた、凶器の農薬は奥西死刑囚が自白した「ニッカリンT」ではない▽物証の王冠(四つ足替栓)は形状からして、事件のブドウ酒瓶の王冠ではない▽2度開栓により奥西死刑囚以外の犯行が可能――などとする弁護団の三つの新証拠や、奥西死刑囚の自白の信用性などを検討。
その結果、三つの新証拠については、ニッカリンTが使用された可能性も十分ある▽王冠の形状は、事件のブドウ酒に装着されていたかの判断に影響しない▽2度開栓が行われたことを疑わせるまでの証拠はない――などとして、再審を開始するほどの明白性を否定した。そのうえで「奥西死刑囚以外にブドウ酒に農薬を混入する機会がない」とした。
自白についても「当初から詳細で具体性に富み、信用性が高い」と認定。「妻と愛人を殺害する動機となる状況もあり、事実を総合すると(奥西死刑囚が)犯行を行ったのは明らかだ」とし、「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠があるとして再審を開始し、刑の執行を停止した決定は失当」と結論付けた。
最大の争点は事件で使われた農薬が、奥西死刑囚が自白し、確定判決が凶器と認定したニッカリンTだったかどうか。ブドウ酒の飲み残りからニッカリンTに必ず含まれる成分が検出されなかった理由などが争われた。異議審は今年9月、この問題で弁護団の鑑定をした2教授を証人尋問。そして「ニッカリンTが混入されてもこの成分が検出されないことはあり得る」などとして、検察側の主張を認めた。
昨年4月の再審開始決定は、弁護団の新証拠を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」としたうえで、「(奥西死刑囚の)自白の信用性には重大な疑問がある」と認定していた。異議審で、弁護団は「新証拠が有罪認定を動揺させる証明力、影響力を有することは明白」などと検察側に反論していた。
死刑が確定後、再審が認められたのは、免田、財田川、松山、島田の4事件。いずれも再審を経て無罪が確定している。名張毒ブドウ酒事件は一審の無罪が、二審で死刑に逆転し、最高裁で確定した唯一の事件で、5件目の再審開始決定だったが、名古屋高検の申し立てにより異議審が約1年9カ月にわたって同高裁で続いていた。