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□拘置所を終の住処に―マブチ事件+α [どん底あるいは青い鳥。]
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2006/12/22
拘置所を終の住処に―マブチ事件+α
12月19日、マブチ事件の守田克実被告に一審で死刑判決が出た。これについてのウェブニュースを眺めるのに「日本のマスコミってのは相変わらずスゲエな!」との感嘆を禁じえない。どの記事も検察の言い分を垂れ流すばかりで「なぜ被告が有罪とされたか」「被告を有罪をするに足る証拠はあるのか」については一切触れていないのだ。
検察は有罪とするのが仕事だから、有罪に聞こえるようなストーリーを描く。聞くほうはそれを丸呑みするのでなしに、そのストーリーを支える証拠があるのかどうかに注意するのがアタリマエではないかと思うのだが、そういう興味や関心を持って報道する記者や媒体は皆無のようだ。
判決要旨(参照)もまた「なぜ犯人だといえるのか?」に答えてはくれない。
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言葉巧みに家人を欺いて自宅の玄関の戸を開けさせ、あるいはナイフを突きつけるなどして侵入し、金品強奪後は情け容赦なく殺害行為に及び長時間首を絞め続けるなど極めて冷酷非情で残虐な凶悪事犯というほかはない…。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/cba/20061220/lcl_____cba_____001.shtml
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このようにいくら凶悪さを強調したところで、その内容はといえば、取調官と被告との間で「言葉巧みに玄関の戸を開けさせたのか」「はい」「ナイフを突きつけたのか」「はい」「長時間首を絞め続けたのか」「はい」…といった空しい会話さえあれば作れるもので「犯罪の証拠&死刑にできる理由」からはほど遠い。
たとえば和歌山砒素カレー事件の判決要旨には「物証についてはカレー鍋や林宅などから、8点の亜ヒ酸を採取し…カレーと紙コップ、林宅のプラスチック容器の亜ヒ酸と、健治らが使っていた亜ヒ酸とが同一という鑑定結果を得た(引用元)」といった、被告を有罪とする根拠についての記述がちゃんとある。
被告の罪状認否の如何にもよるのかもしれない。だが、それでも人一人の首を括ろうというときに、判決要旨で証拠についてまるで触れないでいられる裁判官の神経もどうなのだろう。人の首が括られると聞いてなお「そうするに足るだけの証拠はあるのか?」とは考えもしない日本マスコミの頭もなかなかである。
私自身は、守田・小田島両被告は、マブチその他の凶悪な事件についてはやっていないだろうと思っている。この二人はマブチ事件のあったあと、葬式泥棒で捕まっている。小規模な窃盗でシッポを掴まれるような者が、異様なまでに凶悪な数件の強盗殺人を、証拠も残さずにやってのけられるとは思えない。
ではなぜ二人の被告は、マブチ+αの罪を認めたのか。
二人は別々に取り調べを受け、裁判もなぜか片方だけに公判前整理手続きが適用されて、別々に吟味されている。互いに「罪を認めよう」などと打ち合わせる機会はなかったはずだ。先に「落ちた」のは守田のほうで、マブチ事件を認めたかと思うと、未解決だったその他の強盗殺人事件もつるつるつるつる認めてしまった。
こちらはどうやら「やったやった」と言われれば、何でも「やりました」と答えてしまうような、弱めの性格なのらしい。その辺を見越してか、別件逮捕の直後に千葉県警は、守田被告への弁護士の接見をせっせと妨害している(参照)。密室で囲い込んであらぬ罪を認めさせようという者に「本当にやったのか?」という第三者からの問いかけを聞かせてはならない。
http://www.chunichi.co.jp/00/cba/20061130/lcl_____cba_____001.shtml
だが小田島被告のほうは、そうした弱い性格であるとも思われない。こちらはしばらく否認を続けていたのが、あるときから一転して罪を認めるに至っている。自らの過ちを素直に認めて観念したのか? そうではない。小田島被告の言い草はこうだ。
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小田島被告は「今回は首をつられる覚悟でやる。死刑判決を受けても控訴、上告でいけば首をつられる前に死ねる」などと周囲に漏らしているという。(引用元)
http://www.chunichi.co.jp/00/cba/20061220/lcl_____cba_____000.shtml
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「死刑判決を受けても控訴、上告でいけば」数年間ないし十数年は、死刑を執行される心配もなしに檻の中で暮らせる――とてもじゃないが「大それたことをした」と過ちを認めてうなだれる人の言葉ではない。とりあえずは罪を認めることによって楽になり、なおかつ拘置所を終の住処とすることを選択したと考えるのが正解なのではないだろうか。
もとより塀の内と外を行ったり来たりで過ごしてきた人生だから、無実を訴えて「キレイな身」になりたいなどという欲求もないのだろう。刑務所や拘置所のほうが肌身に合うのかもしれない。そういう点では、無実の罪をなすりつける相手として、警察はなかなかいい人選をしたともいえそうだ。
ただこの先、二人ともが控訴した場合、たとえば控訴審で二人が顔を合わせることはあるのだろうか? この二人の被告を死刑確定まで「(裁判官やマスコミ、一般市民が)何の疑問も抱くことなく」持ってゆくには、二人を最後まで引き離すことが必須のようにも思えるのだが、どうなのだろう。
▽関連記事
□マブチ事件など判決要旨 [東京新聞]
http://www.tokyo-np.co.jp/00/cba/20061220/lcl_____cba_____001.shtml
マブチ事件など判決要旨
「マブチ事件」などで十九日、守田克実被告に言い渡された千葉地裁判決の主な要旨は次の通り。
【主文】
被告人を死刑に処する。
【犯行に至る経緯と動機】
被告は前刑で服役中、共犯者の小田島(鉄男被告)に出会い同人から資産家を狙って億単位の金員等を奪おうなどと犯行を持ちかけられると、大金を手にして遊んで暮らすことを夢見て強盗殺人等を行おうと決意。その後仮出所しても怠惰な生活を送り、小田島(被告)の出所を見計らい四年ぶりに再会するや共謀を遂げ、わずか四カ月余りのうちにマブチ事件の犯行に及んだ。その後再び一獲千金を狙って執拗(しつよう)に小田島(被告)を誘い目黒事件、次いで我孫子事件の犯行に及んでいる。楽に金を稼ぐためだけに各犯行に及んだものであり、動機、経緯は極めて自己中心的で生命の尊厳に全く思いを致すことがないものであり、酌量の余地はない。
【犯行の計画性など】
被告は小田島(被告)の出所に備えて謀議をするためのアパートを借り、小田島(被告)とともにナイフ、手袋など犯行に使用する道具を準備し、周到な準備の上敢行された極めて計画性の高い犯行。犯行は言葉巧みに家人を欺いて自宅の玄関の戸を開けさせ、あるいはナイフを突きつけるなどして侵入し、金品強奪後は情け容赦なく殺害行為に及び長時間首を絞め続けるなど極めて冷酷非情で残虐な凶悪事犯というほかはないのであり、そこに人間性の片りんもうかがわれない。
いずれの被害者も最も安全であるべき自宅において突然襲われ、非業の死を遂げたのである。遺族らは最愛の家族の死という突然の悲報にさらされ、変わり果てた姿の被害者と対面させられたものであり、悲しみと苦しみは計り知れない。いずれも被告に対する極刑を求めている。
【被告の関与の程度】
マブチ事件を発案し、刑務所内で誘ったのは小田島(被告)であるものの、出所後二年間も経過した後に自ら小田島(被告)と接触を図り、再会を果たしている。目黒、我孫子事件に至っては、被告から再三にわたり新たな犯行を持ちかけている。各事件で小田島(被告)が具体的な犯行対象の選定や計画の立案、現場での意思決定それに基づく被告への指示等をしているものの、小田島(被告)が一方的に指揮命令を下しているというわけではなく、被告としても小田島(被告)に任せた方がよいと主体的に判断したのにすぎず、相互に役割分担をしたとみるべきである。
【結論】
いずれも利欲目的の強盗殺人が、口封じの目的で居合わせた家人を情け容赦なく殺害し、マブチ事件においては居宅に放火までしているのであって、その悪質性は際だっている。殺害された被害者は四名もの多数に上り、結果は極めて重大で社会に与えた影響も大きい。自白後は事案の解明に協力、公判廷においても罪の重さを受け止め、経緯、犯行状況などを具体的に供述し、反省の態度を示していることなどを考慮しても被告の罪責はあまりにも重大であって極刑をもって臨むほかない。
□接見妨害で県を提訴 [中日新聞]
http://www.chunichi.co.jp/00/cba/20061130/lcl_____cba_____001.shtml
接見妨害で県を提訴
マブチ事件 守田被告の弁護士ら
松戸市のマブチモーター社長(現会長)宅殺人放火事件で強盗殺人などの罪に問われ死刑が求刑されている守田克実被告(56)の弁護人らが二十九日、同被告が別件の容疑者として松戸署に拘置されていた際、県警の警察官に正当な理由がなく接見を妨害されたとして、国家賠償法に基づき、県を相手に慰謝料など三十万円を求める訴訟を地裁松戸支部に起こした。
訴状によると、島田亮、秦英準両弁護士は昨年十月一日、当番弁護士として松戸署に出向き、旅券法違反などの容疑で逮捕され、マブチ事件の嫌疑がかけられていた同被告と接見。その際、同署員や捜査主任の男性警部らから、三回にわたり「接見を終わらせてください」と要請され、接見を妨害された。
また同月三日には、島田弁護士が同被告との接見を申し込んだ際、同署員らから「被疑者は弁護人と会わないと言っている」などと虚偽の事実を言われ、接見実施まで約三十分間余分に待たされた。
松戸市内で会見した高橋修一弁護団長は「県内では接見妨害が続き、接見の権利があいまいになっているのではと危惧(きぐ)している。きちんとした判決を出してもらいたい」と述べた。
(宮崎仁美)
□極刑覚悟の発言も [中日新聞]
http://www.chunichi.co.jp/00/cba/20061220/lcl_____cba_____000.shtml
極刑覚悟の発言も
マブチ事件・守田被告に死刑判決
「極刑をもって臨むほかない」−。十九日に千葉地裁で行われた守田克実被告(56)の判決公判で、根本渉裁判長はこう結論づけた。マブチ事件で二人を殺害してなお「あと何人殺してもどのみち死刑だ」と再犯に及んだ守田被告。残忍な犯行で社会を揺るがせた守田被告に更生の機会は与えられず、死をもって償うことを命じられた。 (武田雄介)
■責任逃れ繰り返す
守田被告は昨年の逮捕後、県警などの調べに対し「すべてを話し死刑台に上りたい」と容疑を認めた。公判を通じて犯行の動機や経緯も詳細に供述し続けた。
一方で「犯行は共犯の小田島鉄男被告の指示」などと責任逃れととれる発言もくり返していた。極刑覚悟の発言とは裏腹に、死刑を免れたいとする“本音”もかいま見えた。
それまでたんたんと無表情で法廷に立ち、心中を表に出さなかった守田被告の様子が一変したのは今年十月の論告求刑の時だった。検察側は「鬼畜のごとき犯行で極悪非道の最たるもの」などと強く非難し、死刑を求めた。初めて動揺したのか、表情は変わらないものの、何度も大きく息を吸い、生つばを飲み込んだ。その姿からは“死への恐怖”がにじみ出ているように思えた。
判決は「金にものを言わせてバラ色の人生を送る」と犯行を決意した守田被告を「自らの利得のためには殺害も意に介さない人命無視の態度が著しい」と断罪。守田被告を痛烈な言葉で強く非難し続けた。しかし守田被告の心情の変化は感じ取れなかった。傍聴人にも反省の態度は伝わらなかっただろう。
小田島被告は「今回は首をつられる覚悟でやる。死刑判決を受けても控訴、上告でいけば首をつられる前に死ねる」などと周囲に漏らしているという。守田被告にも同様の“狙い”があるかどうかは不明だ。犯行の重大さが少しでも分かっているのなら、時間を引き延ばすためだけの控訴は避けてほしい。