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428 :続報 :06/12/13 20:48:41
週刊誌を読む(北海道新聞2006年12月13日夕刊5面)
「皇室中傷芝居」問題 狭められた言論の許容度
前回書いた「週刊新潮」12月7日号「陛下のガンも笑いのネタにした皇室中傷芝居」について、
その後の経過を報告しておこう。事態は私が危惧した通りになった。
「週刊金曜日」関係者や永六輔さんに嫌がらせや右翼の抗議がなされ、八日には「週刊金曜日」に
右翼の街宣車が二十台も押し掛けた。
上演前日に謝罪文
深刻なのは「さる高貴なご一家」を上演してきた劇団「他言無用」だった。たまたま九日に
定期公演が予定されていたのだが、一般客を入れてのライブだから、テロを100%防ぐのは
難しい。悩んだ末に、上演前日の八日、ホームページに謝罪文を立ち上げた。
「今般、一部週刊誌上に取り上げられました、日比谷公会堂で行われました某集会におきます
『さる高貴なご一家』に関する寸劇上演で、皆さまに大変ご迷惑をおかけ致しました。この点を
深くおわび申し上げ、公演におきまして『さる高貴なご一家』そのものを笑いの対象にすることは
今後慎みます」
「さる高貴なご一家」は相当前から上演されてきた有名な寸劇だ。それがこんなふうに封印され、
言論や表現をめぐる許容度がまた狭められた。それを煽ったのが「週刊新潮」という言論機関だった
ことも残念だ。
(以下別な話題になるので割愛)
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425 :その1:06/12/06 22:35:22
週刊誌を読む(北海道新聞2006年12月6日夕刊5面)
皇室風刺の舞台批判の「新潮」
テロあおるような書き方
「週刊新潮」十二月七日号が大々的にぶち上げた「『陛下のガン』も笑いのネタにした
『皇室中傷』芝居」には驚いた。十一月十九日の「週刊金曜日」主催の集会で披露された
パフォーマンスについて書いたものだが、私もこの集会には聴衆として参加していた。
芸人・石倉直樹さんの演じる「さる高貴な方々」は皇室をパロディー風にしたパフォー
マンスで、初めて見る人はギョッとするかもしれないが、ライブの世界では有名だ。
皇族をおとしめるだけなら芸にはならないが、実際はあったかみも感じられる独特の
芸である。ただ皇室タブーの残る日本では、テレビではとても放送できないものだ。
「週刊新潮」はこれを「美智子皇后や君が代をおとしめる『不敬で下劣』なイベントに
観客は凍りついた」と表現しているのだが、会場の少なくとも大部分の客は凍りついて
などいなかった(同誌の記者は本当に会場に来ていたのだろうか)。ただ皇室は崇高な
ものと考える人にとっては反発を感じるものだったかもしれない。だからあの芸を下劣
だと批判するのは自由だ。しかし言論機関である雑誌がこれを「不敬」だと言って断罪
するのはどうなのだろうか。
426 :その2:06/12/06 22:39:58
ものも言えぬ雰囲気
「週刊新潮」の記事はどうも、この集会主催者へのテロをあおっているような書き方で、
それが気になってしまう。実際「週刊金曜日」編集部は「週刊新潮」の記事が出た後、
警察と協力して警戒態勢をとっているという。加藤紘一衆院議員実家放火事件に続いて
言論テロが起こるようなことにはなってほしくない。
それにしても日本ではこの数年、言論や表現に対する許容度が狭まって、うっかり
ものも言えない雰囲気になっているような気がする。「不敬」とか「非国民」とかいう
言葉が冗談ではなく本気で使われるようになった。
肝心な説明は省略
集会では永六輔さんが君が代を「星条旗よ永遠なれ」のメロディーで歌うという
パフォーマンスも披露した。これも「週刊新潮」は「不敬」と言わんばかりの書き方
なのだが、実際は、国歌とは何であるのか、君が代とはどういう歌なのかについての、
永さんなりの洞察と哲学が語られたうえでのパフォーマンスだった。その肝心の説明を
省略してパフォーマンスだけ取り上げては、永さんに失礼だろう。
今回は、本当は最近の「週刊文春」と「週刊朝日」の応酬なども取り上げるつもり
だったが、紙幅が尽きた。
(月刊「創」編集長・篠田博之)