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http://www.asahi.com/culture/update/0301/018.html
自治体や公的団体のキャラクターに、「萌(も)えキャラ」と呼ばれる美少女キャラが相次いで登場している。活躍の舞台は主にホームページ(HP)だ。若者へのイメージアップで地域おこしに結びつけたいとの思いがキャラクターに込められる。ファンが親しみを抱いたり、感情移入したりする萌えキャラの関連市場は約900億円ともいわれ、企業も熱い視線を注ぐ。
紀州備長炭の産地、和歌山県みなべ町では、みなべ川森林組合が頭に備長炭を乗せた少女「びんちょうタン」をキャラクターにした。制作したゲームソフト会社「アルケミスト」(東京)が04年、備長炭の発信に役立ててほしいと、組合に提携を持ちかけた。
組合での活用と並行して、同社は商品化を展開。キャラクター商品の人形(フィギュア)は200万個、漫画単行本は10万部を売り、05〜06年にはテレビアニメにもなった。和歌山県出身の同社担当、永田一大(かずひさ)さん(33)は「従来のアニメファンとは違う層の人にも、萌えキャラを広く知ってもらうきっかけになった」。
組合は当初、控えめに看板を立てただけだったが、「びんちょうタン」を知り町を訪れるファンが相次ぎ、地元でも好意的な声が出てきた。
町を訪ねる若者は今も絶えない。彼らは1000度の炭焼き窯の熱に接して目の色が変わる。組合職員の松本貢さん(44)は「キャラクターのおかげで地方のむらに若い人を呼び込めた。次は備長炭の販売にどう結びつけるかです」と話す。
同県西牟婁(むろ)振興局も05年、ゲーム会社と提携し、この会社のキャラクターを使って世界遺産の熊野古道をPRした。ポスターを配るイベントに100人以上が詰めかけ、宿泊費を含め経済効果は約160万円。「企業は世界遺産のイメージを活用でき、こちらは格安でキャラクターを使える。費用対効果は抜群でした」と、県の担当者は振り返る。
草分けは、01年に誕生した「まほろちゃん」。佐賀県旧大和町(現佐賀市)のHP開設に合わせて登場した。デザインした職員の糸山耕司さん(33)は「小さな町だったので、好き勝手にやらせてもらいました」。
当初から狙っていたわけではないが、ネット上の掲示板などで「お役所にも美少女キャラが」と注目され、地元ではストラップやタオルも作られた。05年の合併で姿を消したが、06年4月に佐賀市HPの子ども向けコーナーで復活。タオルは今も、旧町内の「道の駅」で販売している。
京都府南部のごみを処理する城南衛生管理組合(八幡市)の場合は、子ども向け。06年秋、清掃工場の解説ビデオに「エコちゃん」を起用した。「見学に来る小学生はアニメで見慣れている姿なら興味を持ちやすいはず」と担当者。あわせて大人用の公用封筒にもあしらう。
警察も負けていない。
青森県警むつ署は04年、地元出身の漫画家武井宏之さんに依頼し、人気作品「シャーマンキング」の女性キャラクターをHP用に描いてもらった。女性警官に扮した姿が人気を呼び、06年のアクセス数は28万件を超え、他署を大差で引き離した。県警広報相談課は「触発されたのか、他の署のHPも面白くなってきている」と、効果を実感している。
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「びんちょうタン」が出迎える紀州備長炭振興館の看板と、担当の松本貢さん=和歌山県みなべ町で