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http://www.yukan-fuji.com/archives/2007/02/post_8567.html
■江尻良文編集委員「球界に直言!」
キャンプ総括をすると、王ホークスの圧勝だった。最多で1日4万5000人ものファンを集め、同じ宮崎でキャンプを張った原ジャイアンツの顔色をなくさせた。
「本球場、サブグラウンド、ブルペン、室内練習場、すべてが隣接しているから、ファンは見やすい。しかも、選手がすぐ近くの通路を通って移動するから、間近に選手を見られファンは大喜びする。しかも、野球に興味のない人でも家族連れでピクニック気分で楽しめる。芝生の広い広場と、様々な屋台があるからだ。テーマパークだね。12球団一のキャンプ場でしょう」。王監督がこう自画自賛する。
同時に、「設計から直接かかわった根本さん(故人=元ダイエー球団社長)のおかげだ。宮崎の市長と懇意で、プロの目から図面をすべて書き直させ、予定より大幅にお金がかかったというが、結果的に大成功で宮崎側も喜んでいる」と感謝する。
球界関係者が「根本さんは、西武とダイエー(現ソフトバンク)という二つの強力な球団を作った」と口を揃える故・根本陸夫氏。球界の寝業師の異名もあり、裏技の名人。西武の管理部長時代、熊谷組に入社内定していた工藤(現横浜)の親に白紙小切手を差し出し、「好きな金額を書いてください」と入団を迫った逸話など、数限りなくある。この伝説の寝業師と選手時代から親交のある球界OBが、若かりし頃の姿を語る。
「近鉄の選手時代の宮崎キャンプの時だけど、夜になると、ラーメン屋にアルバイトに行っちゃうんだよ。カウンターの中で皿洗いなんかしているんだ。宿舎に朝帰りは当たり前。根本の部屋は監督の部屋の前を通らないと行けないんだけど、根本が朝帰りしてくると、監督がコーヒーをいれてやる。それで、二人してコーヒーを飲みながら、いろんなことを話しているんだからね。朝日新聞の運動部長をやったこともある芥田さんという監督だったけど、今では信じられない話だよね」。
朝帰りした選手が監督から直々にコーヒーをいれてもらい、懇談するというのだから、選手時代から根本氏には、特別な人心掌握術があったのだろう。監督時代に、この球界OBがキャンプ慰問に訪れると、「飯でも食べに行こうか」と当然のように言ったという。「“キャンプなんだから、監督がいなければ、まずいだろう”と、こっちが心配すれば、“キャンプは選手が鍛錬する場だから、監督は関係ないんだ”とすまして言うんだからね」。長年の付き合いの球界OBもさすがに驚いたという。枠にとらわれない。固定観念に縛られない。根本氏の独特な発想法なのだろう。
選手、監督としてはこれといった実績を残していない根本氏が、フロントとしては「もうあんな人は出てこないのでは」と球史に名を刻む伝説の人になっている。球界OBの打ち明け話からその秘密の一端がわかったような気がする。