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2006年12月28日(木)11:00 asahi.com
カトリック教徒が国民の約9割を占めるポーランドで、キリストを国王にしようという動きがあり、論議となっている。保守系政党の議員らは「国民の多くが望んでいる」として下院(定数460)での決議案採択をまじめに目指す。だが、支持してもらえると期待していた教会側の反応は「政治家は政治に専念するように」とつれない。
地元紙などによると、「キリスト国王」の決議案は宗教的価値を重視する与党「法と正義」の議員ら46人が数カ月かけて作成。宗教的機運が盛り上がるクリスマス直前に公表した。
同国が350年前、スウェーデン軍の侵略から国を守った「黒いマドンナ(黒い聖母)」をたたえ、聖母マリアを女王にした経緯などを踏まえ、推進派議員は「(決議案は)歴史的、神学的にも自然だ」などと主張。ポーランドはカチンスキ大統領が元首の共和制だが、推進派は「キリスト国王」実現に向けて議会の礼拝堂で祈りをささげているという。
決議案に対し、多くの司教らが「(キリストが)政治的に利用されかねない」などと反発。ある大司教は「推進議員たちは、ざんげなさい」と説教する始末。野党も「ポーランドを宗教国家にしかねない」などと批判しており、下院の過半数(231)確保は難しい情勢だ。
地元紙の世論調査では決議案に反対が51%で、賛成は33%。市民の一人は「ポーランドは民主主義国家だ。350年前とは時代が違う」と話す。