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□【健康情報番組を疑え】 ［ゲンダイ］
▽「あるある大事典」は氷山の一角
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=30292
【健康情報番組を疑え】
2007年1月24日 掲載
「あるある大事典」は氷山の一角
納豆ダイエット以外に視聴者が妄信した食材のワナ
データの捏造や学者コメントのデッチ上げが発覚した「発掘！あるある大事典Ⅱ」（フジテレビ系）。制作の関西テレビは番組の打ち切りを決定したが、怪しい健康情報を垂れ流している番組はほかにも「あるある」。番組で紹介されたことがきっかけで、爆発的ブームになった食材や栄養素にも大ウソはまじっている。視聴者は疑ってかかるべきだ。
「ウソが９割 健康ＴＶ」の著者で医学博士の三好基晴氏に聞いてみた。
「以前、ＮＨＫの『生活ホットモーニング』で緑茶に含まれるカテキンが高血圧を予防するという趣旨の放送をしましたが、国立健康栄養研究所のホームページを見ても、カテキンの高血圧への有効性については『調べた文献の中では見当たらない』とあります。逆に、緑茶は飲みすぎると頭痛や血圧上昇を招きます。高血圧の予防になるなんて言い過ぎです」
カテキンだけじゃない。今や「動脈硬化や心臓病の予防になる」が定説となった赤ワインに含まれるポリフェノールも「科学的な確証がないのが現状です」（三好氏）。
昼の情報番組で紹介され、豆腐屋でにがりがバカ売れした「にがりダイエット」も、うのみにできない。
「５日で３キロ減ったと紹介されましたが、単ににがりの飲みすぎでお腹を壊しただけのこと。間違ったダイエットは命の危険すらあります」（三好氏）
視聴者はテレビ番組の言うことを安易に妄信してはいけない。
▽視聴者だましの巧妙テクニック
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=30317
【健康情報番組を疑え】
2007年1月25日 掲載
視聴者だましの巧妙テクニック
実験結果示すグラフを加工
「発掘！あるある大事典Ⅱ」を制作した関西テレビに抗議が殺到している。その数ナント１万件！
捏造（ねつぞう）に踊らされた視聴者は怒り心頭だが、こうした“ヤラセ”は今に始まったことじゃない。健康番組の過剰演出は日常茶飯事で、過去にも似たような事件はゾロゾロ。捏造ほど露骨じゃなくても、視聴者をあざむく“巧妙なトリック”が仕込まれていることが多いから注意が必要だ。
「ウソが９割 健康ＴＶ」の著者で、昨年から「『あるある大事典』は『あるある大事件』になる」と予言していた医師の三好基晴氏は、多くの番組や関連書籍を検証。結果、次のようなカラクリを確認したという。
「まず共通しているのは都合の悪いデータは言わないということ。『あるある』では以前、『小豆はポリフェノールが春菊の２倍以上あるから体に良い』と放送しました。しかし、ビタミンＣで比べると小豆はゼロに近く、生の春菊には豊富に含まれている。また、今回の捏造のように数人の被験者を集めて『体重が平均○キロ減った』という実験も怪しい。たとえ被験者のほとんどが少しずつ太っても、１人、２人が大減量したら平均値は下がる可能性があります」
番組で紹介するデータの見せ方にも仕掛けがある。ある人気番組では実験結果が大げさに見えるよう、変化のあった部分を強調していた。
棒グラフならば、その部分だけが長く見えるように加工する。データの専門家ではない一般人はコロッとダマされてしまう。
「健康番組は主張に説得力を持たせるため、学会発表や論文発表を引き合いに出します。しかし、学会発表はよほど医学的に非常識でなければ発表できるし、研究の途中で最終結果が出ていなくてもＯＫです。論文も医学の雑誌に投稿し、学会が審査すれば、あまりに荒唐無稽（むけい）なものでなければ掲載されることが多い。うのみにはできません」（三好基晴氏＝前出）
健康番組は視聴者を楽しませるバラエティー番組であって、マジメな科学番組ではないのだ。
▽誤報・捏造を認めないテレビ局
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=30338
【健康情報番組を疑え】
2007年1月26日 掲載
誤報・捏造を認めないテレビ局
詭弁とゴマカシの数々
明らかな捏造、デッチアゲだった「発掘！あるある大事典Ⅱ」。関西テレビは謝罪して番組を終了させたが、これまで、テレビ局は健康番組の疑惑が指摘されてもノラリクラリ逃げたり、居直ったりしてきた。「あるある」は逃げ切れなかっただけで、どの局の健康情報番組も似たり寄ったりなのである（データは医学博士の三好基晴氏による）。
【ケース１】ＴＢＳが「ニュースの森」で「１カ月５キロのケチャップを消費する５０歳の女性」を紹介。その１時間後に放映された「スパスパ人間学！」では同一人物が、繁華街で歩いているところをインタビューされ「３カ月で５キロのココアを消費する」と答え、「冷え性、便秘、肩こり、頭痛すべてない」と効用を語った。どうみてもヤラセ。ＴＢＳの説明はこうだ。
「街頭インタビューは通常の演出の範囲」「この女性は普段からケチャップをさまざまな食品にかけていると同様に、ココアも毎日飲んでいる。たまたま同じ人物を取材し、偶然に放送日が重なった」
偶然ねぇ……。そうだとしても、冷え性や便秘がないのは、ケチャップの効用じゃないのか？
【ケース２】日本テレビ「おもいッきりテレビ」で司会のみのもんたが「（健康法やダイエット健康食品を）やる人とやんない人、少しだけでもやる人、ぜんぜんやらない人、これ、差が出ますから。はっきり言って」
この発言の医学的根拠について日テレの回答。
「特集・企画の意図をみの氏なりに理解し、進行上、メリハリをつけた発言。正確な情報は本編で伝えている」（総合広報部）
メリハリというより大道香具師（やし）の口上に近い。
【ケース３】ＮＨＫ「生活ほっとモーニング」で「緑茶に含まれるカテキンが、血液中の血圧を上げる成分（アンギオテンシンⅡ）を抑え高血圧を予防する」と放送。
しかし、多量の茶類を摂取すると、カフェインによって頭痛、興奮作用、血圧上昇の副作用があるというのが医学的常識だ。これに対するＮＨＫの回答は「通常の緑茶飲用を前提としていて、カフェインには触れなかった」というものだ。番組を見た視聴者は「緑茶をたくさん飲んだ方がいい」と思うのが普通だろう。なぜテレビ局はこんな言い逃れをするのか。自ら調査した三好基晴氏が言う。
「ひとつ謝れば、これまでの番組も検証されてしまうからです。さらに、今回の関西テレビのように、下請け会社が制作してもトップが責任を取らなければならない。上層部を守るためには絶対に過ちを認めないのです」
そんな体質がある限り、これからも捏造番組はなくならない。
▽いい加減な実験で効果を“演出”
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=30348
【健康情報番組を疑え】
2007年1月27日 掲載
いい加減な実験で効果を“演出”
アミノ酸、コラーゲン、海洋深層水もウソばかり！！
納豆で大ウソがバレた「あるある大事典」だが、２００１年６月２４日に放映された番組もヒドかった。テーマはアミノ酸で、アミノ酸飲料を飲むと体力アップや脂肪燃焼、肌再生、免疫力アップ、集中力アップなどの効果があるとし、これらを「アミノ酸５大パワー」とかやっていたのだ。
「アミノ酸を飲んでこうした効果があるという医学的根拠は一切ありません」（「ウソが９割健康ＴＶ」の著者で医学博士の三好基晴氏）
番組で紹介していた実験も笑っちゃう。大学の陸上部が出てきて、「アミノ酸を飲むとハードなトレーニングができる」「ケガが減る」などとコメント。「この大学は箱根駅伝の往路で５位という大健闘をしました」と紹介していたが、復路は１３位の惨敗だった。
「ためしてガッテン」も「アミノ酸」を取り上げ、アミノ酸を摂（と）って運動するとダイエット効果があるように作っていたが、比較していたのは「毎日運動しながらアミノ酸を摂るグループ」と「運動せずにアミノ酸を摂るグループ」。
「本来ならば、アミノ酸を摂って運動するグループとアミノ酸を摂らずに運動するグループを比較しなければ意味がない」（三好氏）
本当にテレビ局はいい加減だ。
テレビが煽った罪つくりな健康食品信仰は他にもある。「コラーゲンを食べればお肌がツルツル」みたいな話がしょっちゅう出てくるが、これも大ウソ。タンパク質の一種であるコラーゲンは食べても胃腸の中でアミノ酸に分解されるので、コラーゲンではなくなってしまう。当然、お肌には関係ないのだ。
「肌に直接塗っても皮膚の内部には浸透しないので、意味はありません」（三好氏）
「魔法の水」とかいわれる海洋深層水にも疑問が多い。「おもいッきりテレビ」で煽っていたが、ほとんどの深層水は水深３００メートルくらいからくみ上げたもので、本当は「表層水」なのである。ミネラルが豊富というが、公正取引委員会が「消費者に誤解を与える恐れがある」と指摘している。実際、ふつうのミネラルウオーターの方が豊富に含まれているミネラルもある。
科学者から見れば、抱腹絶倒のニセ情報が、毎日ブラウン管から吐き出されているのである。（終わり）
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