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□朝鮮差別では?『週刊現代』記事への疑問 [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0701/0612267135/1.php
朝鮮差別では?『週刊現代』記事への疑問 2007/01/17
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2006年12月16日号の週刊現代に『金正日の"科学者集団"は東大、京大など1000人』(p40、41)という記事が掲載された。読んでみて、これは事実を裏付ける取材を全く行わなかったのではないか? と疑った。公安情報を主な情報源とした悪質な記事だと考えている。なぜそう思ったかを以下にまとめたい。
■悪質なでたらめ
記事の悪質さが端的にあらわれているのが以下の一文だと思う。【科協の工作員の大半が朝鮮学校での民族教育を受けず、日本の学校を卒業してきた人間。彼らは大学在学中に総連のオルグ専門部門『留学同』(在日本朝鮮留学者同盟)の勧誘を受け、初めて北朝鮮の革命思想に触れる。留学同の女性メンバーがあらゆる手を使ってオルグするケースもあるようだ】。これは「公安関係者」の証言とされている。
留学同に学部学生として去年まで参加していた者として言わせてもらうが、
(1)正式名称が間違っている。留学同の正式名称は「在日本朝鮮留学生同盟」である。
(2)留学同は総連のオルグ(※編集部注:組織への勧誘行為)専門部門でも工作員を増やすための団体でもない。留学同は総連のなかの大学生・大学院生・専門学校に通う学生を対象にした団体である。しかも実情は多大学にまたがるサークルであって、公然化している大衆団体。本当に工作員を増やすためのオルグ専門部門であれば、秘密組織にしておいた方がよいのではないか。
(3)【留学同の女性メンバーがあらゆる手を使ってオルグするケースもある】というが、一体「あらゆる手」とは何か? 明らかな女性差別であろう。ちなみに留学同が人を集めるときは、普通の大学生サークルの新入生勧誘と変わらない。
また、記事の別の箇所では北朝鮮の核開発について「日本で学んだ北朝鮮系の科学者も、実は大きな役割を果たしている」としながら、例として「その中心人物である李升基」と書いている。
李博士は日本による朝鮮植民地時代であった1939年、京都帝大の工学部教授であったころ、石灰石を原料とする合成繊維ビナロンを開発した科学者で、朝鮮問題にかかわっている人なら名前くらいは聞いたことがある有名人だ。
つまりちょっと調べれば、専門は合成繊維開発であり、原子物理学は専門外であることは簡単にわかるはずだ。いくら優秀な科学者であるとはいえ、専門外の科学者が中心人物になれるほど核開発が容易なことなのだろうか?
なぜこのようなきちんと裏もとっていない、偏見に満ちた記事が堂々と掲載されるのか。記事には悪質なでたらめと思われる部分も多々ある。週刊現代が留学同に一度でも直接取材していたら、回避できたはずだ。しかし留学同中央の国際部長に確認したところ、週刊現代から取材が来たことはなかったという。
■公安情報の垂れ流し
【今回の朝鮮総連一斉捜索の真の狙いは薬事法違反ではなく、金正日配下の科学者集団『科協』の機構解明にある】という書き出しからもわかるように、そもそもこの記事は、最近の一連の総連への強制捜索の狙いが、在日本朝鮮人科学技術協会(科協)にあること、科協が「北の核ミサイル人脈」とつながっていることを示唆した記事だ。
しかし情報ソースは記事を読む限りでは、(1)コリア・レポートの辺真一、(2)総連関係者(名前なし)、(3)公安関係者(名前なし)2名、の計4名のみである。
最大の問題は総連について書いているにもかかわらず、直接公式に総連から取材していないことだ。これも留学同中央で働くスタッフに確認したが、やはりなかったという。それに紙面の半分弱が公安関係者2名の証言やその引用で占められており、情報のほとんどを権力に依存していると思われる。
記事の結論部には「別の公安関係者が語る」として次のような一節がある。【今回の捜索はそもそも11月21日に行う予定でした。しかし、郵政民営化反対議員の自民党復帰問題が浮上し、安倍政権へのダメージになる可能性が出てきた。そこで、“支持率を稼げる”北朝鮮叩きを、復帰の山場である27日にもってきたのです。あえて物々しく大々的な捜索を行ったのもそんな理由があるんです】。上の言葉に続く記事の結論は次のとおりだ。【事実なら、国家・国民の安全より党利党略を優先したと批判されても仕方ないだろう。こんなことで日本の危機管理は大丈夫なのか】。
【党利党略を優先した】ことへの批判めいた一文はあるかもしれない。しかし、「公安関係者」があけすけに語っているにもかかわらず、国家権力が政権安定のためのスケープゴートとして総連を恣意的に弾圧していることに対する批判が一切無い。
■おわりに
今回、講談社の週刊現代に電話で取材を申し入れたところ「担当者が取材で不在」ということで応じてくれなかった。記事にすると伝えたところ「かまわない」とのこと。
この記事に対して、12月11日、知人の留学同のスタッフが正式に抗議を申し入れた。すると講談社(週刊現代)側は電話で応対するだけでなかなか会おうとせず、やっとのことで取り付けた面談も、受付で断られるなど、ぞんざいな対応をうけた。そして何度も働きかけた結果実現した面談は「話をきくだけ」という対応で、誤報や差別を助長したことに対する謝罪は一切なかったという。
12月20日、留学同による申し入れに対する、週刊現代側から回答が寄せられた。それによると「小誌12月16日号『金正日の"科学者集団"は東大、京大など1000人』の記事中、事情を良く知る複数の関係者に十分な時間取材をした上で掲載しております。したがって『でっちあげの記事』などではございません。/以上、本紙はじゅうぶんな取材の元、公正な記事作りを行っており、今後ともこの方針が変わることはありません」とのことだ。
留学同による申し入れと講談社側の対応については、週刊『現代』に留学同代表抗議(2006.12)を参照していただきたい。
(梁英聖)
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