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□NHK受信料「支払い義務化」と「値下げ」のワナ [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0701/0701158063/1.php
NHK受信料「支払い義務化」と「値下げ」のワナ 2007/01/16
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ジャカルタ訪問中の菅義偉総務大臣が1月10日、「NHKの受信料支払いの義務を明記した放送法の改正案を今月からはじまる通常国会に提出し、あわせて受信料を2割前後下げるようにNHKに求めていく考えを明らかにした」(1月10日NHKホームページ「総務相 受信料義務化法案提出」要旨=後刻なぜか説明なくページを削除)との報道がなされた。
翌11日、総務省は、次期通常国会に提出準備中の放送法の改正案で、受信料の支払い義務を明記することとし、その見返りとして受信料の2割程度の減額を検討していることを明らかにした。関係筋によれば、総務省案では、現行法と同様に、不払いに罰則規定はつけないもようだ。現行法には例外を除いて「支払いを免除してはならない」とは書いてあるが、「支払い義務」が明記されていないのだから、法律に書くだけでも意味があるということなのだろうか。
これは、NHKの相次ぐ不祥事で激増した受信料不払いが財政基盤を脅かしている現状を打開するための、政府の対策だが、政府の矢継ぎ早の受信料問題への「攻勢」に対して、NHKが後手に回り、毅然と異議を申し立てることもなく、説明不足が目立っている。このため、メディアの扱いがピンボケになり、「NHKは弱腰」との印象が強まり、視聴者の不信感を買う結果となっている。
もしNHKがこのまま政府の言いなりになり、政府改正案への明確な見解を示すこともなく、視聴者への説明を怠れば、公共放送としての当事者能力を問われ、国民の信頼を失うだけだ。
「受信料支払いの義務の明文化」にせよ、「受信料の値下げ」にせよ、特殊法人改革でNHKだけの例外扱いはありえず、その是非について見解を示し、当然自ら解決を図らなければならない課題だったはずだ。その懸案が、今回の法律改正で一気に片づけば、NHKが自分から言い出す労が省けた代わりに、政府主導の問題解決となれば、当然NHKは政府に大きな借りを作ることになる。
その結果、今回の法改正で抱き合わせに方針が打ち出されている、政府の「命令放送」へのNHKの「応諾義務」などという、NHKの報道機関としての自律性を制限する政府の方針を、拒否できない状況に追い込まれることになるのではないか。
こうして、NHKが政府の「命令放送」の拡大解釈による対北朝鮮向け謀略放送などへの協力要請を受けざるをえない立場に陥る可能性が高まっている。手詰まりの新しい国際放送構想も、NHKの抵抗や視聴者の反対を無視して実行できる体制が整うことになるだろう。視聴者の受信料で維持する国民の放送が、着々と国営放送化への道をたどりはじめているのではないか。
安倍政権の「脱戦後レジーム」政策にとって、憲法(言論の自由)に根拠をおく、戦後民主主義の実現の場としての公共放送の理念は、抜かねばならない喉元のトゲの1本といえそうだ。
国民の理解を前提に、権力に距離を置くことを行動原則とする公共放送NHKが、国民の側にかろうじて軸足を置くことができている現行の受信料制度の受信者の理解と任意性を重んじるタテマエが、「支払い義務明文化」でNHKを、権力的体質に、そして政府権力の側に、追いやるおそれはないか。
その結果、「受信料制度」を基盤とするNHKと視聴者の信頼関係や、言論機関としての独立性が、脅かされることにならないか。「支払い義務明文化」「受信料値下げ」は、NHKの自立性を脅かし、まさに、角を矯めて牛を殺すことになるだろう。
政府の思惑がツボにはまるかどうかは、視聴者、国民、市民が、政府の「NHK値下げセール」の下心に気がつくかどうかにかかっているといって言い過ぎではないだろう。少なくともNHKは、来年度予算で「値下げ」予算を組まないくらいの覚悟で、BBCのように政府と対峙し、視聴者・国民の支持を訴えるべきではないか。
(桜木七郎)
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