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□日経のモラル問う 意図的に誤認誘導 [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0701/0701127938/1.php
日経のモラル問う 意図的に誤認誘導 2007/01/13
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一流紙としてはちょっと驚くような記事が、日本経済新聞に掲載された。「法人税率を下げるべきだ」という2回にわたる記事である。新聞社が社説などを通して意見を述べることは問題ない。しかし、議論の手法が大変問題なのだ。これが一流新聞かと思うほど、読者を意図的に誤認に誘導するアンフェアなものなのである。
問題の記事は11月29日朝刊掲載の連載記事「財政・第6部」に取り上げられた法人税率に関する記事と、12月22日の社説である。
11月29日の記事は次の通りだ。
「日本の法人課税の実効税率は約40%。韓国の20%台後半、英仏の30%台前半に比べて高い」
12月22日の社説は次の通り。
「だが、国際競争が激しさを増す中で、日本の法人実効税率(40%強)は、30%台半ばのドイツやフランス、27.5%の韓国などと比べ著しく高い。企業の社会保険料負担も合わせてみる必要があるとはいえ、日本の負担は相対的に重い」
素直に読むと、日本の法人実効税率は国際的に高いという意味にとれる。そして、税率を国際水準に下げる方向に誘導しよう、という記事の意図が理解できる。実はここで比較されている韓、英、仏は主要国の中では税率の低いグループで、日本より税率の高い国は記事から外されている。
11月29日の記事では、GDPの規模が世界一の米国、同3位のドイツが除外されている(日本のGDPは2位)。米国は州により税率が異なるが、ニューヨークでは45.95%、ロサンゼルスでは40.75%で、いずれも日本より高い。ドイツは39.9%で日本とほぼ同じだ。
12月22日の社説は、ドイツの税率が39.9%なのに、これを「30%台半ば」と強弁している。そして「日本はドイツより著しく高い」と主張しているが、実は逆なのである。財務省資料によると、日本の標準法人実効税率は39.54%(東京は40.69%)で、ドイツより低い。何が「著しい」のか。意図的な表現としか思えない。ここでもGDP1位の米国は比較対象から外されている。日経のごまかしをはぎ取ると、日本の税率は比較的経済規模の小さい英(4位)、仏(5位)、韓国(13位)より高い、と主張しているのに過ぎないのだ。
読者に誤解させることを意図しているとしか考えられない。比較データに入れ替えがあるので、前回の記事を無意識的に流用したのではなく、欺瞞を承知の上で社説を書いたものと思われる。まさに確信犯なのだ。場所も新聞社の意見を代表する社説である。
1面と社説は新聞の核心ともいえる部分である。チェックも念入りにされているはずだ。これでは社の中枢部の体質に問題がある、と考えざるを得ない。メディアとしてのモラルが疑われるし、さらに安易で拙劣な手口を使うことで、編集体制の資質や能力も疑われる。新聞の信頼度を揺るがす深刻な問題である。
また、このようないい加減な記事を出しても、批判されることはまずないという気持ちがあるのではないか。悔しいが、新聞には強力な批判勢力が存在しないことが背景にあると思う。この件でも、ほかのメディアが指摘した話は聞かない。400万人の読者は「烏合の衆」として、甘く見られているのだろう。
社説に自らの主張を載せるのは当然のことである。法人税の実効税率を下げるのも、意味があることなのだろう。それならば、こんなセコイ方法を用いて外国との比較などせずに、信じる理由を書けばよいではないか。逆にそれができないのならば、説得力のある理由がないのだ、と思われても仕方がない。
日経の朝刊1面左上に連載される調査記事は、読み応えのあるものが多い。また日経は政治的偏向が比較的少なく、センセーショナルな傾向も抑えられていて、信頼度が高いと思ってきただけに残念である。早急に対策をとって頂きたいものだ。
新聞はよくも悪しくも、オピニオンリーダーである。リーダーには高いモラルが要求される。社会にこのような議論の方法が広まれば、どうなるかは言うまでもないだろう。今後、この新聞の記事は鵜呑みにしないよう、注意した方がよさそうだ。
(岡田克敏)
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