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ネット旋風 名門紙大揺れ
米LAタイムズ
ニューヨーク・タイムズなどと並ぶ米国の名門紙、ロサンゼルス(LA)・タイムズが大揺れだ。収益低迷の親会社が打ち出す大幅な記者削減策に対し、反旗を翻した編集局長らが次々更迭される異常事態。地元メディアの急速な弱体化には、ロス市民からも悪影響を懸念する声が上がっている。 (米カリフォルニア州ロサンゼルスで、池尾伸一)
ロサンゼルス中心街のLAタイムズ本社。記者らが飛び回る編集局内の柱や壁には、先月更迭されたバケー前編集局長の顔写真が掲げられていた。顔写真のバッジを胸に着ける記者も。新しく送り込まれた局長ら親会社側への無言の抵抗である。
「バケー局長は最後まで当紙の報道を守るために闘ってくれた。編集局のほぼ全員がまだ彼を支持しているんだ」。メディア担当のレイニー記者が、局内に沈む空気の重さを口にした。
親会社トリビューンはシカゴ・トリビューンなど日刊紙十一紙とテレビ局二十四局を保有。LAタイムズを買収したのは二〇〇〇年だった。だがその後、メディア界に吹きつける“インターネット旋風”をもろに受け、ネットへの読者や広告の流出でグループ収益は急低下。株主の声にも押され、傘下メディアに厳しいリストラを迫る流れとなっている。
ネット人口の多い米西海岸にあって販売低迷が著しいLAタイムズへの要求は特に過酷なものとなった。トリビューン社は、買収前約千二百人いたLAタイムズの編集局スタッフを約九百四十人まで圧縮。その上に百人規模の追加削減も求めている。中でも編集局とのあつれきを大きくしたのは海外支局網の扱いだ。
親会社は「地元の記事に特化すべきだ」として十八ある海外支局の抜本的な縮小を要求してきた。しかし、国際報道でピュリツァー賞を何度も受賞してきた同紙にとって「支局網はうちの宝」と記者らの自負も強い。
ロサンゼルス周辺では、アジアや中南米からの移民も人口の過半を占めるだけに、LAタイムズ幹部らは「国際報道の削減は読者離れを深刻化させる」と一斉に反発。これが、ジョンソン発行人やバケー編集局長ら相次ぐ更迭への引き金を引いてしまった。
「これ以上、タイムズを弱体化させないで」
なじみの地元紙の行方に、市民も心配げな視線を送る。それを背に、クリストファー元米国務長官ら地域のオピニオンリーダー二十人のグループは今秋、トリビューン社に抗議文を送りつけた。
同グループによると、LAタイムズの各刊のページ数は従来に比べ十ページも少なくなり、追跡報道も減るなど、記者削減による紙面への影響は既に出てきている。
メンバーの一人、キーファー弁護士は、言論機関としての機能低下にも懸念を深める。「どんな議論をするにしても、新聞が提供する客観的な情報が基本になる。カリフォルニア州では住民投票で主要な政策が決まることも多く、LAタイムズの役割はとりわけ重要なのだ」と。
新聞業界の「苦境」は全米レベルで深化している。今年四−九月の平均発行部数は2・8%減。ネットメディアに広告収入を奪われ、ニューヨーク・タイムズなど大手紙さえも減益が続く。
トリビューン社は来年三月までに、LAタイムズなど傘下のメディア各社を売却する方針だ。
同紙の買い手としては地元のスーパーマーケット王や、大手紙USAトゥデーなどが候補に挙がるが、どこが新オーナーになるにしても、インターネット時代に生き残れるビジネスモデルの提示能力が問われる。全米のメディア業界がその行方を注視している。
<メモ> ロサンゼルス・タイムズ 1881年創刊。長く地元資産家、チャンドラー家が所有してきたが2000年にトリビューン社が買収。05年に地元病院の広範な乱診を暴露するなどで過去37回もピュリツァー賞を受賞。06年4−9月の平日平均発行部数は前年同期比8%減の約77万部。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20061218/mng_____kakushin000.shtml
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