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□時評：夕張バッシングは正しいのか [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0612/0612096176/1.php
時評：夕張バッシングは正しいのか 2006/12/11
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こんな体験談から書き出すから若い人に嫌われることは承知のうえであえて……。小学校高学年から中学校にかけて、私の仕事の１つが、「コメを取りに行く」ことであった。
配給手帳を持って米屋に行く。決まった量を渡してくれるだけだから、「買いに行く」のではなかった。一般家庭は1カ月に１０日分程度。炭鉱勤務の人だけ倍の２０日分と優遇されていた。「食べ盛り」の身には、うらやましい限りだった記憶がある。私の育った穂別（現むかわ町北部）は夕張に隣接しており、炭鉱があったのである。
第２次大戦後の経済復興は「傾斜生産」から始まった。エネルギー源の石炭生産と鉄鋼など重工業を増強し、それによって経済全体を押し上げていくという政策体系だ。炭鉱はコメの配給まで優遇されていたのである。
朝鮮戦争（１９５０ー５３年）のおかげかもしれないが、傾斜生産はともかく成功した。現在の「豊かな生活」の出発点は、そこにあったのだ。石炭といえば北海道と筑豊、端的に言えば夕張と三池（大牟田市）である。
その夕張がいま切り捨てられようとしている。財政再建団体への移行が決まっており、総務省は「最低のサービス、最高の負担」とする方針だ。「それが嫌なら夕張から出ていけ」と言わんばかりの仕打ちである。
「放漫財政への制裁」のつもりらしいが、夕張財政破たんは１９６０年代の石炭切り捨て政策の宿命的な帰結だろう。制裁を受けなければならないとすると、まず第一に国である。
石炭切り捨てに続いて農林業切り捨てが続行中である。資源の収奪が終わったら北海道が丸ごと切り捨てられるわけだ。北海道だけではない。首都圏から近畿圏まで「集積のメリット」がある地域以外の国土はすべて切り捨てられていく。
「再チャレンジ」を売りものにする政権が、地域については再チャレンジなど認めず、どんどん切り捨てていく。それは傾斜生産の時代という歴史の切り捨てともなる。地域と歴史のダブル切り捨てに対する怒りの声がどこからもあがらないのはまったく不思議なことだ。
北海道新聞の社説も読んだが、国と道の立場に立って、夕張の放漫財政を叩く論調でしかない。道産子の１人として、私は本心から怒っている。札幌一極集中時代の道産子は、怒りも忘れてしまったのだろうか。
【寸評】
▼自民党造反組の復党劇＝小泉劇場に舞台を提供しただけという反省が、メディアには欠けている。安倍劇場に変えただけで、いつまでも政府自民党による田舎芝居を垂れ流し続けて、恥ずかしくないのか。
▼公明党目黒区議の全員辞職＝政務調査費を流用したカネは何処に消えたのか？ どす黒い政治資金の流れの全容が解明されたら、来年４月の統一地方選、７月の参院選は闘えない。だから誰も要求していない全員辞職をさせた。党本部が指示したもみ消し行為だろう。創価学会が怖い大新聞には、追究の迫力がない。
▼石原慎太郎都知事の公私混同＝「四男は立派な芸術家ですよ」発言にあきれた。「それは単なる親バカでしょう」と言う記者が１人もいなかったのに、もっとあきれた。怒らせることも取材テクニックの１つのはずなのに。
(藪螺亭晋介)
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