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(回答先: <朝日新聞社>編集「部制」廃止「グループ、センター」制に [毎日新聞] 投稿者 white 日時 2006 年 11 月 30 日 22:32:00)
□朝日新聞記者行動基準 [朝日新聞]
http://www.asahi.com/information/release/20061201b.html
朝日新聞社は、報道・評論、紙面編集に携わる記者が、その職責をまっとうする上で必要となる行動基準をまとめました。取材・報道にあたる際の指針とします。
作成に当たっては過去のトラブルや不祥事を省み、記者が守るべき倫理や規範を総点検して、2500人を超える記者たちの意見を集約し、明文化しました。
最近になって本社記者が取材先から多額の餞別などを受け取っていたことが発覚しました。取材先から現金を受け取ってはならないことは当然であり、行動基準に明記しています。
内部規定である行動基準を公開するのは記者活動への信頼を高めると同時に、読者のみなさまに公器としての新聞に対するご理解を深めていただくためです。
行動基準は記者活動をいたずらに制約するものではありません。自らを律することが自由な取材・言論活動を保障し、確かなニュースをお届けすることにつながると考えます。
――― 朝日新聞記者行動基準 ―――
2006年12月1日制定
□前文
朝日新聞綱領は、権力から独立し、言論の自由を貫き、正確で偏りのない敏速な報道によって、民主国家の完成と世界平和の確立に力をつくすことを宣言している。この使命を達成するために、朝日新聞社で報道・評論、紙面編集に携わる者(以下、「記者」とする)は高い倫理基準を保ち、長年にわたって朝日新聞に寄せられてきた人々の信頼をいっそう高めるように努める。
この基準は、記者が自らの行動を判断する際の指針であり、記者の活動を支えるためのものである。
□基本姿勢
【記者の責務】
記者は、真実を追求し、あらゆる権力を監視して不正と闘うとともに、必要な情報を速やかに読者に提供する責務を担う。憲法21条が保障する表現の自由のもと、報道を通じて人々の知る権利にこたえることに記者の存在意義はある。
【独立と公正】
記者は、自らの職務に誇りをもち、特定の個人や勢力のために取材・報道をするなど独立性や中立性に疑問を持たれるような行動をとらない。公正で正確な報道に努め、いかなる勢力からの圧力にも屈せず、干渉を排して、公共の利益のために取材・報道を行う。
【人権の尊重】
記者は、報道を通じて、民族、性別、信条、社会的立場による差別や偏見などの人権侵害をなくすために努力する。取材や報道にあたっては、個人の名誉やプライバシー、肖像権などの人格権を不当に侵害しない。
【読者への説明】
記者は、読者の声に誠実に耳を傾ける。読者の疑問や批判にできる限りこたえ、行動や報道・評論が読者や社会に理解され、支持されることを目指す。
□取材方法
1.必要な取材を尽くし、粘り強く真実に迫る。これは、公正な報道の基本である。
2.取材相手に誠実に接し、信頼関係を高めるよう努める。
3.取材にあたっては、社会の健全な常識を踏まえ、個々の報道の社会的意義や必要性、緊急性、その他の状況を総合判断して手段や方法を選ぶ。
4.出来事の現場を踏み、当事者に直接会って取材することを基本とする。特に、記事で批判の対象とする可能性がある当事者に対しては、極力、直接会って取材する。
5.自分や家族が所属する団体や組織を自らが取材することになり、報道の公正さに疑念を持たれる恐れがある場合は、事前に上司に届ける。
【情報源の秘匿】
6.情報源の秘匿は、報道に携わる者の基本的な倫理であり、これを厳守する。
【オフレコ取材】
7.報じないことに同意したうえで取材をする、いわゆるオフレコ(オフ・ザ・レコード)を安易に約束しない。約束した場合でも、発言内容を報道する社会的意義が大きいと判断したときは、その取材相手と交渉し、オフレコを解除するよう努める。
【取材記録】
8.取材相手の発言等の記録・保全はメモを基本とする。補充手段として録音することもある。記者会見など「開かれた場」での発言を除き、録音するにあたっては相手の承諾を得る。
9.ただし、権力の不正や反社会的行為の追及など、その取材に大きな社会的意義があるときは、例外的に承諾を得ずに録音することがある。
【集団的過熱取材】
10.多数のメディアが、事件・事故の当事者やその関係者のもとに殺到し、私生活の支障となる、いわゆる集団的過熱取材については、朝日新聞社が公表している「事件の取材と報道」の指針に沿って、その防止に努める。
【子ども等への取材】
11.子どもをはじめ、社会的に保護が必要な人物への取材は、十分な配慮を持って行う。ここでいう子どもは、中学生以下を指す。
【写真撮影】
12.特定の個人を写すときには、相手の同意を得る。不特定多数の人々を「開かれた場」で撮影するときには、その限りではないが、腕章を着用し、撮影していることが周囲に分かるようにする。
13.公人またはこれに準じる人物、容疑者や容疑者になる可能性の高い人物、その他社会の正当な関心事に属する事象の当事者については、取材相手の同意を得ずに撮影することがある。
【インターネットからの取材】
14.公的機関や企業などの公式ホームページに掲載されている事柄は、公式な発表事項と見なしてよい。その際、情報が古くなっていないかを確認するよう努める。ホームページから引用する場合は、記事にその旨を明記することを原則とする。
15.個人のホームページやいわゆる掲示板等に掲載されている情報を、取材の端緒として使ってもよい。当該情報を記事に引用する場合には、事実関係等を確認する。
【記者クラブ】
16.記者クラブ制度については、その閉鎖性や横並び体質などへの批判や懸念を踏まえ、記者クラブが取材・報道のための自主的な組織として、公権力の監視や情報公開の促進など、本来の存在意義に沿って運営されるよう努める。
【記事内容の事前開示】
17.取材先であっても、原稿や記事を掲載前に見せない。編集への介入を招いたり、他の取材先の信頼を損なったりする恐れがある。
18.ただし、座談会での発言やいわゆる識者談話、投稿、情報短信、専門性が極めて高い原稿や記事などは例外として扱い、開示することもある。
【情報の対価】
19.情報の提供には金銭等の対価を渡さないことを原則とする。専門家などに支払う談話料は原稿料の一種であり、ここで言う対価には当たらない。
□公正な報道
1.正確さを何より優先する。捏造や歪曲、事実に基づかない記事は、報道の信頼をもっとも損なう。原稿はもちろん、取材メモなど報道にかかわる一切の記録・報告に、虚偽や捏造、誇張があってはならない。
2.筆者が自分であれ他の記者であれ、記事に誤りがあることに気づいたときは、速やかに是正の措置をとる。
3.記事を構成する情報の出所は、読者がその記事の信頼性を判断するための重要な要素であり、可能なかぎり明示する。
4.客観的事実を伝える記事と主張・評論の記事との区別が、読者に分かるようにする。
5.記事が特定の個人や法人などを批判する場合、その当事者の言い分を掲載するよう努める。
【実名と匿名】
6.特定の個人や法人の実名は、事実を報道するときの重要な要素であり、表記することを原則とする。この原則を堅持しつつ、個人や法人の名誉、プライバシーなどを不当に侵害することのないようにする。
7.事件や事故の被害者、その家族について報道する際は、報道によって想定される具体的な被害を慎重に検討し、匿名を選択することもある。事件や事故の加害者は実名を原則としつつ、名誉やプライバシーに十分配慮する。
【著作と引用】
8.記事の素材として、著作物から文章、発言、数字等を引用する場合は、出典を明記し、適切な範囲内で趣旨を曲げずに正確に引用する。盗用、盗作は絶対に許されない。
【記事等の表現】
9.記事や写真、風刺画など形式を問わず、表現には品位と節度を重んじる。特に暴力、残虐行為、性に関する表現では、読者に不要な不快感を与えないように配慮する。
10.人種、民族、社会的立場、職業、宗教、性別、病気、障害などに関して、差別的な言葉は使わない。記事の文脈全体としても差別や偏見を助長する表現にならないように留意する。性別については、男女の役割分担の偏りを固定するような表現は避ける。
11.歴史的文書などに関する記述や差別を扱う記事などで、やむをえず差別的表現をそのまま使う場合には、必要に応じて本文または注で説明を加える。
【報道写真の扱い】
12.簡単な色調補正以外、画像には作為的な処理を施さない。ただし、選挙報道で公正さを損なう恐れがある場合や、プライバシーを不当に侵害する恐れがある場合には、一部を修整することがある。その場合は、写真説明などでその旨を明記する。
13.合成写真は使わない。分解写真など表現上やむをえず複数の画像を1枚に合成した場合や、多重、長時間露光、特殊レンズを使った撮影の場合は、写真説明でその旨を明記する。
14.写真掲載に当たって、肖像権を不当に侵害しない。被写体となった人物の人格や社会的信用を不当に傷つけるような写真は使用しない。
□取材先との付き合い
1.取材先からは、現金や金券等を受け取らない。品物についても取材資料や通常の記念品等以外は受け取らない。職務の尊厳を傷つけ、記事の公正さに疑念を招くことになる。
2.取材先から、中元・歳暮を含め贈答品を受け取らないことを原則とする。
3.取材先との会食の費用は社会常識の範囲内とする。応分の負担をできなかった場合は、別の機会や方法を選んで相応の負担をするようにする。
【取材での経費・便宜供与】
4.取材先の団体や企業が企画する、いわゆる「招待取材」であっても、朝日新聞社が経費を負担することを原則とする。ただし、代替手段がない取材はその限りではない。その場合、便宜を受けたことがわかるよう記事に明示することを原則とする。
5.スポーツや演奏会、演劇など入場料がかかる催しの取材で、慣例的に取材用チケットや座席が提供される場合は、それを利用することがある。
□目的外使用の禁止
1.取材で得た情報は、原則として報道目的にのみ使用する。この場合の報道とは、朝日新聞と朝日新聞社に関連した媒体での報道を指す。上司の承認を得て、出版・講演等の社外活動に使う場合がある。
2.取材で得た情報を報道する前に、外部の第三者(個人・団体)に漏らしたり、第三者と共同で使用したりしない。ただし、専門家の意見を求める場合などに、情報を提示することは許される。その場合も、必要最小限にとどめ、情報源の秘匿には特に配慮する。
3.職務に関連して得た公開前の情報を利用して、利益を得たり、損失回避をしたりしない。親族を含む第三者についても、同様の扱いとする。
4.退職や転職をした場合、自分が取材し、管理している情報を朝日新聞社の了承なく利用しない。了承を得た場合も、その情報を報道・著述・研究以外の目的に使わない。
□社外活動
1.個人の資格で行う社外での活動は、言論活動も含めて自由である。ただし、記者活動の中立性に疑念を抱かせたり、朝日新聞の信頼、名誉などを損ねたりする恐れのある行動はしない。
2.朝日新聞の社名を使うときや、職務と密接に関連があるときは、事前に上司の了解を得る。
【言論活動】
3.党派色、宗教色、宣伝色の濃い社外メディアから、取材や記事の執筆、番組出演などを依頼された場合は、原則として断る。
4.取材や職務で知り得た情報を、朝日新聞社が報道する前に社外メディアを通して発表したり、その情報に基づいて論評したりしない。ただし、専門性が極めて高い情報で、朝日新聞と関連媒体での公表を予定しないものは、取材先の同意を得た場合に限り、使用できる。
5.社外メディアへの発表は、事前に上司の承認を得る。記者個人が運営するホームページやブログは社外メディアであり、同様の扱いとする。
6.社外メディアからの出演要請等に応じる場合は、事前に上司の承認を得る。緊急の場合は、事後に届ける。
7.政府等の審議会や委員会などの諮問機関のメンバーへの就任は、朝日新聞の報道の公正さに疑念を抱かれる恐れがあるため、独断で引き受けずに、必ず社の承認を得る。就任した場合も、言動が朝日新聞の報道、言論活動に制約を加えたり、信用を傷つけたりしないよう留意する。
□情報や資料の管理
【管理の基本】
1.取材で得た情報を適切に管理し、紛失、破壊、改ざん、流出などの事態が起きないようにする。とりわけ個人情報に関するものは、個人情報保護法の理念を尊重し、慎重に取り扱う。
□付記
1.事件・事故の取材・報道についての具体的な行動基準は、朝日新聞社が公表している「事件の取材と報道」に準拠する。
2.この行動基準は、朝日新聞社が発行・製作する媒体の報道・編集にかかわる社員以外の者にも準用される。
3.この基準は必要に応じて見直す。
以上
記者行動基準の基本姿勢の説明
□基本姿勢
【記者の責務】
朝日新聞社は2006年1月、ジャーナリズムを担うメディアとして初心に立ち返ることを宣言した。もとより、記者が果たすべき務めは、あらゆる権力を監視し、世界や社会で起きている出来事やその変化を真相に迫っていち早く報じ、あるいは暮らしに役立つ情報を伝えることで、民主的な社会と人々の平穏な生活を支えることにある。 記者の最も基本的な責務は、真実を追求し、それをわかりやすい表現で、正確・公正に報道することだ。つまり、報道に値する事実を知ったら、それを取材して報道することは、記者の務めである。この行動基準は、高い職業倫理で人々の信頼を得て、この責務を達成するためにある。
【独立と公正】
朝日新聞綱領は最初に、「不偏不党の地に立って言論の自由を貫き、民主国家の完成と世界平和の確立に寄与す」とうたっている。言論の自由を貫くには、不当な圧力に屈してはならず、あらゆる勢力の介入を許してはならない。自由闊達な意見交換を通して、綱領に新たな命を吹き込むことが大切である。取材先との関係では、信頼を得るよう努めなければならないことはいうまでもない。その一方で、特定の個人や勢力に与しないことはもちろん、与していると見られないことも肝要だ。 報道は、取材を尽くした結果の事実に基づく自主的な判断によるべきであり、政治的であれ思想的であれ、特定の立場にとらわれることは、朝日新聞社が掲げるジャーナリズムの精神に反する。記者は高い職業倫理が求められていることを自覚し、日常活動でも記者の立場を悪用したり、職務の中立性に疑惑を持たれたりしてはいけない。
【人権の尊重】
人権侵害を告発し、差別と偏見のない社会を目指すことは、ジャーナリズムの大事な使命のひとつである。朝日新聞綱領が「正義人道に基いて国民の幸福に献身し、一切の不法と暴力を排して腐敗と闘う」とうたい、報道を通して人権擁護に貢献してきたことは、私たちの誇りである。その一方で、近年、事件報道を中心に「報道が人権を侵害する」という批判が高まり、「報道と人権」の関係が緊張する場面が起きている。取材・報道される側の人権を不当に侵害しないよう、名誉やプライバシーなどの人権と報道との調和を自律的に図り、「報道と人権」のあるべき姿を追求することが急務だ。同時に、「書かれる立場」の人権などを口実としたメディア規制の動きは、はね返していかなければならない。また、人権感覚を磨き、自らの言動においても律することが大切だ。
【読者への説明】
民主主義社会を支えるという重い役割を担う朝日新聞は、ひとえに読者・国民の信頼と支持によって存立している。信頼のない新聞は影響力を持ち得ないし、取材への協力も得られない。人々の信頼と支持を確保するには、実際の報道を通して人々の知る権利にこたえるとともに、読者や国民の声に謙虚に耳を傾け、批判や反論には誠実に対応して、説明するなどの行動で示すことが求められる。取材・報道が公正で正確であることを説明し、間違いは速やかに訂正されなければならない。また、報道で批判的に取り上げる人たちに対しては、反論の機会を提供するよう努めよう。
(2006/12/01)
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