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薔薇色の大予言
正月早々、実家の本棚をひっくり返していたら「２１世紀はこうなる １９９０年
版 最新データで見る日本の未来」という１９９０年発行の雑誌がでてきた。特段興
味があった雑誌というわけではなく、ただ、積んだまま放置していた雑誌なのだが、
ページをパラパラとめくって見て驚いた。
その雑誌は、１９９０年からの未来社会の予測が書かれているものなのだが、２０
０７年の日本の予想人口は１億３千５百万人、２０００年の実労働時間は１８７６時
間、２００５年の世帯あたり実収入は月７４万円、実施賃金上昇率２．７％・・・と
いった予測データが延々と並んでいた。２００７年の今、月収が平均で７４万円を超
えている！などといったら大笑いになってしまうところだが、１９９０年には月収が
７４万を超えるものと、大まじめに試算していたのだった。しかも、これらの数値の
出典は経済企画庁、通産省、国土庁、野村総研・・・といった一流どころが出してい
たのだから、更に驚きというものだ。９０年と言えばバブルが崩壊し経済が転落する
ことは、政府の人間なら皆分っていた話しだろうに。
それから１７年が経過した今日、振り返って見ると、予測に対して現実はどうなっ
たかというと、石油は大高騰、イラク戦争、自殺増、少子化、そして貧困・・・と予
測とは似ても似つかない酷い世界となっている。こんな程度の数値予想なら、わざわ
ざ税金を使って数値化するほどのことでもなく、素人占いで十分の話しかと思った。
血液型占いの方が余程当たるというものだ。政府の計画とはノストラダムスの大予言
だったのだろうか？
２００７年は団塊世代サラリーマンが一斉退職する年という話しだが、上記のよう
なインチキ予測を何喰わぬ顔でやり続けてきたのが、団塊世代サラリーマンの本性な
のかも知れないとも思った。個人として何人かの方が精一杯の努力をされていること
は承知しているが、世代全体としてはこれほど醜い世代はないのではないかと思わな
いでもない。第二次世界大戦が終わってから生を受け、多くの命と引き換えに生まれ
た平和憲法下で、憲法の美味しいところだけは率先して消費をし、自分たちがもう隠
居するとなったら憲法に後ろ足で砂でもかけるように、時代にあわなくなったなどと
ぬかし、しかも自分たちの世代の年金だけは、年収２００万にも届かなくされている
次世代から、最低限度の生活もできなくされている世代から、搾り取るだけ搾り取ろ
うという魂胆なのだから、時代劇に登場する悪代官よりたちが悪いとしか言いようが
ない。遠山の金さんもきっと怒るに違いない。
それはさておき、１９９０年代に限らず、８０年代、７０年代、６０年代・・・
と、それぞれの時分の将来予測図というものを改めて見てみたくなった。時の政府な
り、シンクタンクなりの予測が如何に恣意性を帯びたものだったのか結構検証できる
のではないか？と。将来予測を現在から過去に遡って見たときに何か見えてくるので
はないかと。バブル崩壊をしりながら、さも経済成長を続けるかのような予測を出し
続けた、数値の大きさと現実のギャップから、何らかの意図は読み取れないものか
と。
過去には、期待される人間像、日本列島改造計画、臨調行革、４全総、生活大国
５ヵ年計画、マスタープランの流行など色々あった。しかし、今、そのどれもが口に
されることはない。わずか１０年ほど前にあった生活大国５ヵ年計画には、「完全雇
用を目指す」なんてことも書いてあった。たった１０年ほどの前の計画が、今や、不
安定雇用が３割を占めるに豹変するとはどういうことなのか？都市マスタープランの
内容は、市町村合併でことごとくご破算となり、今や初耳の都市がゴロゴロしてい
る。１０年ほど前の計画とは一体何だったのであろうか。ただ書いてみましたという
だけの作文だったのか？本文と現実は関係ありませんだったのか？そのために税金を
使っていたのか？予想した人にじっくり話しを伺って見たい。
Ｍｏｒｉ Ｍｉｋｉ
杜 海樹
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