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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu135.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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親米保守派はアメリカ政府のグローバル資本主義導入の手先
であり、利益を受けるのは外資系企業や経営者ばかりになる。
2007年1月8日 月曜日
◆ホワイトカラーエグザンプションで露呈した安倍政権の限界 1月7日 木走日記
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070107/1168120748
政府・与党は、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入に関して、予定通り次期通常国会に法案を提出する方針を強調している中、「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入すれば、結果的に労働時間短縮につながり、家で過ごす時間が増えれば少子化対策としても有効であると会見で述べた安倍首相なのであります。
・・・
うーん、安倍首相就任以来4ヶ月目にして、正直一番考えさせられた首相コメントであります。
残業代をなくすという経団連の労働基準法改正案「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、その内容を本当に正しく理解しての発言なのでしょうか。
二つの点でこの安倍発言は政治家として甘いですね。
まず一点目は、この改正案が結果的に労働時間短縮につながる保証など何も担保されていないことをご存じないのか、理解していないのか?
このホワイトカラーエグゼンプション制度は、経営側が悪用すれば時間外労働に対する賃金の支払いを免れたり、労働時間をかえって実質的に長くする可能性が指摘されていることをご存じないのでしょうか?
そしてより致命的だと思えるのは、その政治家としての判断の甘さ、発言のタイミングの悪さです。
なぜ、統一地方選・参院選を控えた2007年この時期に、このようなアメリカ圧力による大企業優先の労働法改悪案を支持表明してしまうのか?
このタイミングで実質庶民の減収に繋がりかねないリスクのある、少なくとも慎重に徹底議論すべきホワイトカラーエグゼンプション制度を安易に支持表明するその政治センスの無さには呆れてしまうのです。
失礼ながら、もしかしたら安倍首相は税制・労働問題などに関しては庶民感覚に疎く政策に明るくないのではないかと、うすうす疑念を持っていたのですが、今回のこの安直な発言で私の心の中でその疑念は確信に変わってしまいました。
あまりにもピンボケで能天気な安倍発言なのであります。
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ふう。
今日はこの多くの問題を抱える安倍政権が次期国会で導入法案を目指しているホワイトカラーエグゼンプション制度についてその問題点を徹底的に検証いたしましょう。
●まず今回のホワイトカラーエグゼンプション制度が外資企業及び大企業以外誰も利益を得ないことが自明なその胡散臭い経緯を押さえておく
まずホワイトカラーエグゼンプション制度がなぜ今この時期に導入が検討されているのか、その経緯についてしっかり押さえておきましょう。
ここに昨年6月に発行された日米投資イニシアチブ報告書である「成長のための日米経済パートナーシップ」というレポートがあります。
このレポートにはアメリカ政府が正式に「ホワイトカラーエグゼンプション制度を日本に導入するよう要請」したと報告されています。
つまりアメリカ政府が世界的に進めるグローバル資本主義導入の一環として日本国政府に対しホワイトカラーエグゼンプション制度を導入するよう要請したわけです。
このレポート自体、それ以前よりのアメリカ政府の日本における自国企業の収益性・効率性を上げるための日本の親米保守派に対するグローバル資本主義導入圧力の結果なわけですが、実はこの昨年6月のレポートは、その一年前2005年6月に公表された日本経団連の提言を受けてのものであります。
在日米国商工会議所は、ホワイトカラー・エグゼンプション制度を日本政府が導入する際にはきっと労使で揉めるだろうから、「労使協定の締結や労使委員会の決議を義務付けるべきではない」と、ごていねいに日本政府に注文を付けているのであります(苦笑
もちろん日本進出を果たしている自国企業のためなんですが。
・・・
ここまで検証した通り、ホワイトカラー・エグゼンプション制度のその導入目的は、明らかにアメリカ政府が世界的に進めるグローバル資本主義導入の一環として日本国政府に対し要請した結果に応えるためであります。
そしてこの「外圧」を利用したのか利用されたのかは微妙(苦笑)ですが、好都合だったのが日本の財界です。
実は過重労働やサービス残業に対する行政の監督強化に不満を持ち規制緩和をいっそう推し進めたいという財界側の意向にこの「外圧」はとても好都合だったのであります。
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●「ホワイトカラーエグザンプション」制度そのものは良しとしても、それを運用するフェアなルールが今回の提案ではまったく担保されていない
私は小さいとは言えIT関連業を営んでいる経営者です。
本来なら企業家として、人件費が削減できるので競争が激化するグローバル資本主義化が進む未来においても競争力を維持することが可能になるホワイトカラー・エグゼンプション制度の主旨には大賛成なのであります。
たとえば同じ賃金の二人の従業員が同レベルの仕事をこなすのに、優秀なA君が8時間で完了し残業もなく定時に帰宅、対する不出来なB君は12時間掛かり4時間の残業の後ようやく完了したとします。
現状ではB君に比し時間当たり生産性が1.5倍も優秀なA君には残業代はつかず、不出来なB君には残業代が発生してしまい、これでは労働者間の公平・意欲創出・生産性向上・企業の競争力の確保、あらゆる面で企業経営にとってはマイナスなわけです。
同じ仕事量でも、だらだらやった方が高収入になるのはやはりおかしいですし、このようなことを認めていては労働意欲の向上を阻害するだろうことは否めません。
原則としてですが知的労働者に時間基準ではなく成果物基準で報酬を与えるという意味でホワイトカラー・エグゼンプション制度の主旨には何も異議はありません。
しかしです。
今回のアメリカ圧力の安倍政権の目指すこのホワイトカラーエグザンプション制度には断固反対なのです。
なぜなら「ホワイトカラーエグザンプション」制度そのものは良しとしても、それを運用するフェアなルールが今回の提案ではまったく担保されていないからです。
具体的に説明しましょう。
今回の目的は財界側がどんなにきれい事を並べても、企業側としてのその真の目的は、残業や休日出勤の割増賃金を払わなくて済み、試算では11兆5,851億円もの人件費が削減できる点にあるのは明らかです。
また達成すべき成果をもとに時間という概念を考えないで人員配置などの経営計画をたてやすくなり、残業の多寡による給与変動がなくなること、さらには、対象従業員の健康管理義務が無くなることも経営側の大きな狙いのはずです。
このような経営側の狙いは理解はできるのですが、問題はそれを運用するフェアなルールが今回の提案ではまったく担保されていないことです。
日本経団連の提案では、労働時間という基準をなくした中で、給与はどう支払われるべきかといった点について法案化を含めた具体的な対策がまったく示されていません。
また、超過労働への対処策については基本的に個々の企業の問題としているため、短時間で成果を上げた労働者に賃金はそのままで次々に仕事を与えるだけ(労働強化)ではないのか、無賃金残業を合法化しようとするだけ(労働時間強化)ではないのか、労働者の健康管理コストを削減したいだけではないのか、といった疑問点に対して回答がありません。
これらの疑問は決して杞憂ではありません。
日本の大企業が今回の「ホワイトカラーエグザンプション」制度を安易に導入したらいったい何が起こるでしょうか。
体力のある一部大企業でも労働環境は激変するでしょうが、下請け中小企業は目も当てられない惨状になるでしょう。
生き残り競争に勝つために一部の中小零細企業でこの制度の悪用が始まるのは必至と思われるからです。
一部の中小零細企業を中心に労働時間の長時間化、サービス残業の合法化を招くでしょう。
その流れは一度始まったら誰も止められないでしょう。
悪貨は良貨を駆逐すると言いますが、適法な労働時間や賃金体系を守ってきた良心的な零細企業には、この生存競争に勝ち目はまったくないでしょう。
高い賃金に耐えかねて廃業するか、制度の悪用に手を染めるか、いづれかの選択肢しか残されていないでしょう。
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私は経営者の立場として、このアメリカ式「ホワイトカラーエグザンプション」制度の安易な導入には、フェアなルールが今回の提案ではまったく担保されていないという一点で、断固反対なのであります。
●露呈した安倍政権のアメリカ追従のネオリベ政策の限界
今回のホワイトカラーエグザンプション制度ですが、選挙への影響を心配して与党内でも慎重な意見が少なくないようです。
おそらく議会にはかられることは安倍さんはこのタイミングにおいては断念することでしょう。
ただ油断はできません。
小泉政権以来安倍政権においても新自由主義(ネオリベラリズム)を標榜し、成果主義などアメリカ政府が世界的に進めるグローバル資本主義に追従する施策が目に付いてきたのは衆目の一致するところだからです。
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ここに来て非正社員と正社員間の所得格差拡大や企業間の業績格差拡大など、ネオリベ政策の限界が目に付くようになってきました。
そしてこの傾向は日本だけではなくアメリカを始め国際的にも顕著な傾向にあります。
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安倍首相は、アメリカ式「ホワイトカラーエグザンプション」制度の安易な導入は、諦めるべきです。
今回の「ホワイトカラーエグザンプション」制度導入検討は、安倍政権のアメリカ追従のネオリベ政策の限界が露呈したのだと思います。
(私のコメント)
昨日は「アメリカの日本改造計画」と言う本を紹介しましたが、親米保守派=新自由主義者=小泉信者とみなしているのですが、安倍内閣も小泉路線を継承すると公約している以上、日本に新自由主義的法律を次々と可決導入していくのだろう。
一昨年の9・11総選挙では郵政民営化法案で自民党の分裂を招きましたが、アメリカが狙っているのは郵貯と簡保の340兆円だ。それを外資系金融機関に渡す事が日本の国益になるのだろうか? ところがマスコミはこのような実態を報道しようとはせず、国民に十分な情報開示をしていない。
株式日記でこのようなことをいくら書いたところでマスコミにはとてもかなわないが、新自由主義の弊害が現れてくる事によって国民もようやくこれで良いのかと言う流れが出てきた。
ホワイトカラー・エグザンプションもアメリカの政財界からの要望で日本でも法案化されて審議されるようですが、これはサービス残業の合法化につながるものだ。サービス残業は私が銀行員時代も十分に経験してきたが、今までは労働法違反行為だ。ところが年収が400万以上はいくら残業しても残業代を付けなくても済む。
これを営業職に適用したらどうなるだろう。ノルマを達成するまで深夜まで働いてノルマを達成しなければならず、家に帰るに帰れなくなる。各自に平等に適正な仕事量が配分されれば問題はないが、経営者側は従業員に能力以上のノルマを与えて残業させれば人件費の低減に役立つ。
現在は残業代が生活費の一部になっている面もあり、ホワイトカラー・エグザンプションは合法的な残業代カットにつながるものだ。このような現実から見れば安倍総理の発言は現実が分かっていない発言としか思えない。
私の銀行員時代も、入社して5年くらいはお客様扱いで、仕事が終わればすぐに帰ることができた。ところが主任になり係長になるにつれて支店の流儀を押し付けてくるようになった。いわゆるサービス残業ですが、それ以外にも上司のお付き合いで連日深夜の帰宅となり、体を壊して退職した。
日本の会社は就業規則で5時終業と決めてあっても5時では帰らせてもらえない。ホワイトカラー・エグザンプションが導入されても、仕事が終わったからといって他の人より早く帰ることは許されないだろう。結局は仕事の遅い要領の悪い社員の手伝いをさせられて、有能な社員ほど酷使される。
日本の会社は年功序列だから上司だからといって有能とは限らず、威張り散らす事で上司の権威を守ろうとする。このような会社では有能な若い人が磨り潰されて、無能でも上司に従順な者が会社の出世階段を上って行く。しかしこのような会社は無能な人物が社長になる事で経営が傾く。
だから日本的なやり方にも問題があり、失われた15年の原因は日本企業の経営体質にも問題があることは確かだ。しかし成果主義などのアメリカ的なやり方も上手くは行っていない。また正社員の代わりに派遣社員に切り替えることで会社は業績を上げているが、その結果、熟練社員がいなくなりトラブルが生じて信用を失う事が増えてきた。
このように日本的な会社経営方法とアメリカ的な経営方法とでは一長一短があり、無理やり成果主義を取り入れた富士通やソニーは業績を落としてトラブルが多発するようになった。だから派遣社員や契約社員から正社員へと戻す企業も出てきたようですが、企業モラルを守る為には正社員でないと無理だろう。
だから闇雲にアメリカ的な経営手法や法律を取り入れても、アメリカで起きた超格差社会が日本にも起きるという事であり、アメリカの悪い面まで真似をする必要がどこにあるのだろうか? アメリカで起きている事は資本主義の退化現象であり、勝ち組と負け組を生み出す制度は間違っている。それは社会的な負担となってくるからだ。
親米保守派はアメリカのやることは何でも正しく、日本はそれを見習えと言っていますが、このような弊害が出てきても見習えという事なのだろうか? アメリカに留学をしてアメリカの手先として帰ってきて、逆に日本の事情も分からずにアメリカ政府が要求するままに新自由主義を取り入れている。
竹中平蔵も岡崎久彦も吉崎達彦も日本人の顔をしたアメリカ人であり、日本のことよりもアメリカを第一に考えている親米派なのだ。この勢力は政界も官界にもマスコミにもネットワークを築いて、情報統制している。確かに日本はアメリカと手を組むべきなのですが、日本の国益を考えた上で手を組むべきであり、アメリカの言うがままであってはいけない。