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苦闘の『資源小国』日本
国内で原油生産、供給の0.3%
エネルギー資源がない日本は、資源確保のために多くの難問に立ち向かわざるを得ない。ロシアの「サハリン2」などでみられる資源ナショナリズムに耐え、権益の入札では破格の金額を提示する中国などの急成長国と競う。資源国ならば見向きもしない小さな国内の油ガス田も、安定した資源供給のために休みなく掘り続けなければならない。世界第2位の経済大国は2007年も「一滴の油」を求めて苦闘することになる。 (経済部・古川雅和)
北海道苫小牧市にある石油資源開発の「あけぼの掘さく作業場」。掘削機が大量の原油や天然ガスがたまる場所に当たった兆候を示した時、日野智之副場長の表情は緩むが、それもほんの一瞬だ。「よしっ、というのと同時に頭の中は不安でいっぱい。ここで大爆発したら、大変なんて言葉では済まなくなるよ」
日野副場長らの顔をこわばらせる最大の理由は、作業場から約五百メートル離れたところに住宅地があることだ。ひとつでも間違えば大惨事は避けられない。
同市の勇払鉱場の吉留良史鉱場長も「環境問題だけでなく、常に周囲のことを考えなければいけない」と、緊張の糸を張り詰めている。
日本の〇四年度の原油輸入量は約二億四千二百万キロリットルに対し、国内生産量はわずか八十六万キロリットル。
総供給量に対する国内生産量の比率は、原油が0・3%、天然ガスは3・8%程度にすぎない。が、日本にとっては貴重な資源であることに間違いない。
海外からの調達はどうなっているのか。
政府は新・国家エネルギー戦略で、安定確保の観点から、輸入する原油のうち日本企業が海外で権益を持つ量を、現在の約15%から三〇年までに40%に引き上げる目標を立てるが、もくろみどおり進むか、楽観視は決してできない。
〇六年十月、イランのアザデガン油田の権益交渉で、国際石油開発帝石ホールディングスの松尾邦彦会長は厳しい立場に追い込まれた。国際社会から批判を浴びるイランの核開発疑惑と、日本の権益維持−。このはざまで松尾会長は、執拗(しつよう)に工事着手を迫るイラン高官に対し、「政府に成り代わって答えることはできない」と最後まで首を縦に振らなかった。
この間、政府はイランに強硬姿勢を取る米国に配慮し、交渉について「推移を見守る以上の発言はできない」(甘利明経済産業相)と距離を置いた。結果として、推定可採埋蔵量が中東最大級の二百六十億バレルの油田で当初得ていた日本の権益は、75%から10%まで減らされた。新たな権益確保に苦戦する一方、産油国側の事情や国際情勢によって、第二、第三の「アザデガン」が生まれる可能性をはらんでいるのだ。
政府は〇六年五月、海外経済協力会議(議長・首相)を立ち上げたが、具体的な資源確保戦略は未定だ。資源ナショナリズムや新興消費国の資源買いあさりが激化する中、「総合的な資源外交」(松尾会長)を構築できないことが、日本の資源政策のぜい弱さを物語っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20070103/mng_____kakushin000.shtml