★阿修羅♪ > 国家破産48 > 857.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.tokyo-np.co.jp/kenpou60/
作家の雨宮処凛さん
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。憲法二五条に書かれている生存権が今、脅かされています。ワーキングプアと呼ばれる“働く貧困層”の存在がクローズアップされ、仕事や将来への不安感からうつ病などの精神障害になり、働けなくなる若い人も増えています。
運良く正社員になることができても長時間労働を強いられ、派遣社員やフリーターは数カ月で職を転々としなければならない。ごく普通の若者の将来には閉塞(へいそく)感が漂っています。
親に頼れる人はまだいい。自治体の財政難から、生活保護を受けることも厳しくなっている。家賃滞納でアパートを追い出され、二十四時間営業の漫画喫茶をねぐらにしている若者も珍しくない。
今の日本では、ある程度の経済水準に達している人でなければ、存在すら認めてもらえない。非正規雇用者や失業者たち(プレカリアート)の仲間と話をすると、これだけ若年労働者が企業にも国にも虐げられているのに怒ることもない。社会に対する最低限の信頼もないから、怒る気力も出ないんですね。
あと十年もたてば、フリーターの子どもの面倒を見てきた親が病気になったり、介護が必要になったりするでしょう。その時、大量のホームレスが生み出されることは今から十分想像できる。
「ニートやフリーターみたいにだらしない連中は、戦場に送ればいいんだ」という暴論を聞きます。こういう発想をする人の多くは、憲法九条を変えて軍隊を持とうと考えている。天皇陛下のために死ぬことが素晴らしいという明治憲法の時代に戻したいのでしょうか。
フリーターや非正規雇用の人たちが労働組合をつくったり、生存権を求めたりする動きが出ています。競争社会を勝ち抜かなければ生きる価値がない、と思っている若者たちの息苦しさをもっと理解してほしい。
あまみや・かりん 1975年北海道生まれ。元新右翼メンバー。いじめや自傷、摂食障害など“生きづらさ”をテーマにした小説やエッセーで若者に人気がある。著書に「生き地獄天国」「すごい生き方」「バンギャル ア ゴーゴー」。31歳。