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<経団連>成長路線明確に 「御手洗ビジョン」発表
1月1日0時29分配信 毎日新聞
日本経団連(御手洗冨士夫会長)は1日付で、今後10年間の日本の進むべき道筋を示した「希望の国、日本」(略称・御手洗ビジョン)を発表した。規制改革などを実現することで、15年まで名目で年平均3.3%、実質で同2.2%の経済成長を達成できると試算し、成長を重視する安倍内閣の「上げ潮」路線に歩調を合わせた。一方で、財政健全化のため、「遅くとも11年度までには消費税を2%引き上げる必要がある」と明記した。
ビジョンは経団連の今後の提言の基本になる。税制では、09年度の基礎年金国庫負担割合の引き上げ時までに、その財源確保策を含めて税制改正議論を深め、消費税引き上げにつなげる必要性を示した。一方で、産業の国際競争力強化のため、国・地方税を合わせた法人実効税率を10%引き下げるよう求めた。
さらに、10年代初頭までに戦力不保持を定めた憲法9条を含めた憲法改正、中央集権体制を改めて、自立した広域経済圏を目指すため15年度までの道州制導入も提唱した。【斉藤信宏】
◇目標達成に難しさも
経団連の御手洗ビジョンは、御手洗会長が掲げるイノベーション(技術革新)や規制改革によって、「人口減少社会でも経済成長は可能」とのシナリオを描いた。しかし、15年度まで平均年2〜3%台という成長率には、「希望を持てる社会にするために必要な成長率」(経団連幹部)という意味合いも強く、目標達成には高いハードルが残る。
中でも、社会保障制度の確立と労働力の確保は難題だ。ビジョンは、消費税率引き上げで、社会保障費を確保するとともに国債残高減額への道筋をつけることを提唱した。しかし、社会保障給付の伸びを抑制するための処方せんや少子化対策での具体策は示せず、将来に不安を残した。
労働力の確保策としては、女性や高齢者、若年層の積極活用を打ち出し、労働市場改革の重要性も強調した。そのために、現行の給与体系を含めて「労働関係諸制度の総点検」をうたう。労働組合などの抵抗も予想されるため、それとどう調和を図るかが、実現へのカギになりそうだ。
また、ビジョンは国外から活力を積極的に導入する方向を示した。具体的には、アジア諸国を中心に経済連携協定(EPA)の締結を急ぎ、東アジア共同体の構築を目指す方針。ただ、国境を越えたモノや人の交流進展によって、国内の格差が拡大するおそれもある。国民の反発を招く可能性もあり、自由化の行方は見通せない。【斉藤信宏】
最終更新:1月1日0時41分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070101-00000003-mai-bus_all