★阿修羅♪ > 国家破産48 > 763.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: ベネズエラ、原油代金のユーロ建てでの受け取りを検討へ ロイター 投稿者 rand 日時 2006 年 12 月 22 日 14:51:15)
ドル本位制の理論としてはA・スワボダの「媒介通貨」説というのがありまして
・諸国の通貨交換を効率的に行うためには
・流動性(いつでも売買できること)、低い取引コスト、小さい為替変動幅、貿易および為替取引の自由という要件が必要であり、
・それを備えた通貨としてドルが選ばれる。
というものです。
しかしS・グラスマンという人がスウェーデンの貿易について研究したところ、実際の貿易契約が必ずしもドルだけで行われているのではない、ことが判明しました。
一番多いのが輸出国通貨建て契約、次に輸入国通貨で、第三国(例えばドル)の部分は少なかったそうです。
グラスマンの研究の後に、欧州地域の貿易に関していろいろな研究がなされましたが、同様の結果だったとのことです。
ではなぜドルが基軸通貨となるのかというと、(他にも色々理由はあるでしょうが)以下のようなメカニズムだと考えられています。
・貿易がドル以外の輸入国通貨で契約されたとします。たとえばドイツの機械メーカーがスウェーデンの工場に機械を輸出して、クローネの手形を受け取ったとしましょうか。
※ユーロ導入以前の話です。
・ドイツの機械メーカーはその手形の外国為替市場での売却をドイツの銀行に依頼して現金化します(マルクを受け取る)。
・スウェーデンの工場は後にクローネの現金で手形を決済して取引完了。
ここまでドルは出てきません。
ドイツの銀行の行動に注目します。
ドイツの銀行はクローネの手形をマルク−クローネ市場で売却はしません。なぜなら流動性がないため、売りと買いの値段差が大きく、売買コストがかかるからです。
先ず流動性の高いドル−マルク市場でドルを売って、機械メーカーの口座に入金するマルクを調達します。
次にスウェーデンの工場から入ってきたクローネをドル−クローネ市場で売り、ドルを買います。
先にドルを売っているので、ドルを買ったことにより銀行のドルのポジションはゼロになり、取引が終了します。
以上の取引で果たしたドルの役割に注目して、ドルを「為替媒介通貨」などと呼びます。
つまりドルは国際決済を行うための中心通貨なわけです。
銀行間取引で圧倒的な地位にあるため、ドルが基軸通貨になっていると考えられています。
実際の貿易契約通貨がドル以外になっても、「為替媒介通貨」としてのドルの地位が確保されている限り、ドルの暴落はなかなか起こらないと思われます。
いまのところ為替媒介通貨としてのユーロの地位は、ドルと比較して高いものとは思われません。
ただし原油のような商品の契約がユーロなどで行われるようになると、いずれドルの地位を脅かすことになるかもしれませんが。
このニュースを読んで「ドルショートだ!」と思い込まないように。