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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu134.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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ソニー元上席常務天外司朗「成果主義がソニーを破壊した」
今、進んでいる市場原理主義の道は「堕落した国」への転落
2006年12月22日 金曜日
これが成果主義の成果だ。
◆天外司朗「成果主義がソニーを破壊した」文芸春秋新年特別号 12月13日 知的漫遊紀行
http://plaza.rakuten.co.jp/ryu32/diary/200612130000/
A氏:文芸春秋新年特別号に「成果主義がソニーを破壊した」という記事があった。
書いているのは、ソニー元上席常務であるということだから、生々しい記事だね。
ソニーは今年で創業60周年を迎えるというが、かっての創業者井深氏の「仕事の報酬は仕事」という考えが消え、煤にまみれた会社になってしまったという。
私:その原因が1995年頃から始まった成果主義としているね。
外部のコンサルタントの指導で行われたんだね。
成果主義は、正社員の人件費の削減が最終目標だね。
技術者の内側から自然にこみあげてくる衝動から生まれる技術者の「燃える集団」が消えた。
おカネが欲しい、出世したい、名誉が欲しいという外部の報酬を求める心に変わってしまった。
A氏:個々の査定だけでなく、事業部全体の評価で報酬を決める。
だから、事業部間の溝は拡大し、お互いの連携がなくなった。
私:実はアメリカでは成果主義に対して、内的な向上動機を重視した「フロー理論」というのがあり、その中心人物であるチクセントミハイ教授の講演を筆者は2004年に聞いている。
その理論の内容は井深氏と同じもので、井深氏の考えを取り上げていたという。
ソニーが活力を失ったのは成果主義のためだ。
ところが、筆者は皮肉なことに成果主義の本場アメリカでは、ソニーをお手本に、成果主義を否定する「フロー理論」が語られているということに大きな衝撃を受ける。
A氏:筆者は井深氏のマネジメント・スタイルを「長老型マネジメント」と名づけた。
「長老」とは「徳がある人」だという。
そしてダメ上司を次の6つに分けている。
・マイクロ・マネジメント型:細かいことまで介入する。
・馬頭観音型:ことあるごとに部下を罵倒、叱責する。
・ヒラメ型:常に上を向いている。
・逃げまくり型:保身に走り、責任を取らせられないことだけ考える。
・放任型:何もしない。
・改革かぶれ型:自分を改革のヒーローと位置づけ、自己流にあらゆることを変える。
筆者はこの最後の「改革かぶれ型」は数が少ないが組織に甚大な被害をもたらすという。
このダメ上司が導入した無責任な合理主義経営が社員を痛めつけ、うつ病などメンタルな問題を抱えた社員が増加していると筆者は言う。
昨日の日記の「国家の堕落」で藤原氏は、アメリカのような人口あたりの精神カウンセラーが日本の60倍という世界が待っているというが、まさにその道を進んでいるんだね。
「企業の堕落」だね。
「唯金論」に侵された日本だね。
なお、天外氏は「マネジメント革新」という本を出しているね。
私:2年ほど前に富士通の人事部の人が書いた「内側から見た富士通『成果主義』の崩壊」(光文社刊)があるね。
俺たちの時代には、まだ成果主義が一般的でなかったので、成果主義がピンとこなかったが、この本は具体的に書いてあったのでわかりやすかったね。
例えば、著者本人は、人事部でルーチンワークをやっていたので、確固たる「目標」はない。
しかし、「目標シート」を書かなければならない。
そこで「退職に関する稟議が上がってきたら3日以内に処理する」「退職金の計算を間違えない」など、まるで小学生のような目標を「目標シート」に記入し、上司の了解を得たという。
俺はこの例で成果主義の問題点がピンと来たね。
些事は大事だね。
著者が出席したある部の評価会議では、部長の前に、約千枚の「目標シート」が積まれ、その山を見た部長は、評価が嫌になり、個別に見なかったという。
A氏:俺もこの本を読んだよ。
この本の著者はその無理な「成果主義」の推進の根底には、それを推進した人事部やコンサルタントの「机上理論」にあることを指摘して、次のように述べている。
「『机上理論』の特徴は、それを振り回す人間に、生身の人間に対する洞察力が欠落している点にある。新しい『評価システム』をつくり、そのマニュアルを従業員に配布しさえすれば、あとは従業員がそれにしたがって完璧に作動するはずだという思い込みである。
人間は部品ではない。
だから、理論やマニュアル通りには動かない。
そんなことは誰にもわかっているはずなのに、彼らにはわからない」
この人事部やコンサルタントは、上記の天外氏のダメ上司の最後の「改革かぶれ型」の典型例だね。
私:今月号(12月号)「ウェッジ」では「ビジネススクールの流儀はもはや人を幸せにできない」という原丈人氏(デフタ・パートナーズ事業会社グループ会長、米共和党ビジネス・アドバイサリー・カウンセル評議会名誉共同議長)の記事がある。
ストックオプション、成果主義など、アメリカのビジネススクール流の考えだね。
原氏は「会社の仕事を通じて生きがいをつくり、その結果として個人も金銭的な冨や社会的な充実感を得る。
その実現のために会社がある。
米国は株価を上げる経営者であればなんでもよいという時代になっている」という。
中長期のことを考える経営者はクビ。
短期の勝負だ。
その結果、営利とは異なる目的を持つ大学や中高等学校を株式会社化しようという完全な間違った発想まで生まれるという。
完全な市場原理イデオロギーだね。
このようなアメリカの手段と目的の取り違えは人々を不幸にすると筆者は指摘している。
そして日本をそのような国にしてはならないと強調している。
A氏:「国家の堕落」の藤原氏流に言えば「金儲けのために堕落した企業」、そしてその上に立つ「堕落した国」にしてはならないということだね。
私:今週のTVタックルで市場原理主義のアナリストが「企業が利益を出せば、従業員も潤う」から一体だといっているが、リストラの場合、する者とされる者は一体ではないね。
そこにリストラする強者とリストラされる弱者がある。
弱肉強食がある。
その現実を知らない経済アナリストが知ったかぶりでのさばるようになったね。
A氏:しかし、今日の朝日新聞の小さい記事で、「労働ビッグバン否定意見相次ぐ」とあるね。
自民党の「雇用・生活調査会」の初会合のニュース記事だ。
衆参両院約40名が参加したという。
政府の経済諮問会議が打ち出す労働市場改革「労働ビッグバン」に対して「我々とは違う意見だと表明し、宣戦布告をしていただきたい」との発言に拍手がわいたという。
会長の川崎前厚生労働相は「希望がかなわず非正社員になった人たちを、正社員の中間層に招きいれる政策こそ必要なのに、諮問会議はひっくり返った議論をしている」と言っているね。
君の格差街道のおかげでこういう小さな記事も気になるね。
この調査会の今後の活躍に期待したいね。
◆藤原正彦氏特別寄稿「国家の堕落」文芸春秋新年特別号 12月12日 知的漫遊紀行
http://plaza.rakuten.co.jp/ryu32/diary/200612120001/
私:12月10日発売の文芸春秋新年特別号で、昨年ベストセラートップの「国家の品格」の著者藤原正彦氏が「国家の堕落」と題して、特別寄稿しているね。
市場原理主義の徹底的な批判と、バブル崩壊後、それを日本に導入した小泉改革の徹底的な批判だね。
A氏:俺も読んだが、君の格差街道のおかげで、この内容が内橋氏の「悪夢のサイクル」とまったく同じように、市場原理主義によるいろいろな格差を指摘しているね。
市場原理主義は必然的にいろいろな格差を生んできたという。
私:そして小泉内閣を支援した市場原理主義の学者、エコノミスト、財界人のグループの責任を追及しているね。
内橋氏が「悪夢のサイクル」でシカゴボーイズとしたグループが含まれるね。
そして経済的な格差は一過性だが、教育の格差は次世代までつながるから見逃せないという。
安部首相の唱える教育の場に市場原理を持ち込む「教育バウチャー」制度はイギリスでは、教育格差を拡大させ、大失敗だという。
A氏:なんで安部さんは教育バウチャーに熱心なのかね?
私:経済諮問会議の民間委員の一人である御手洗キャノン会長は「労働ビッグバン」でますます労働市場の市場原理の徹底化を推進しようとしているね。
A氏:御手洗氏は君の日記にときどき登場するが、なんでもレーガン時代にアメリカにいてレーガンのいわゆる企業減税で経済を活性化した影響が大きいとしているね。
レーガノミックスというやつだね。
私:レーガノミックスの複雑なからくりは昨日の日記の「超・格差社会 アメリカの真実」で解明しているね。
簡単に言うと、ワーキングクラスからの徴税を増やして、投資収入で生きるトップクラスの税負担を減らすという「減税策」だったという。
格差拡大を推進した。
だから、レーガノミックスみたいに、御手洗氏は、企業減税に熱心だが、一方で消費税の導入、社会保障の抑制を提言しているね。
A氏:庶民には厳しい。
富者の経済はよくなるが格差はますます拡大するという結果が予測できるね。
そういえば、同じ文藝春秋の「新聞エンマ帖」で道路財源のことで御手洗氏が矛盾したことを言っているが、新聞の追及の詰めが甘いというようなことを指摘していたね。
私:月曜のTVタックルをみていると、野党は格差で賃金が下がっていることを強調し、与党や藤原氏が言う「市場原理主義のエコノミスト」は景気が回復した良い点をいう。
先日、チリーのピノチェット元大統領がなくなったが、彼はチリーに市場原理主義を導入して、経済に奇跡を起こしたといわれている。
しかし、内橋氏は正確に調べると事実は違い、そんなに経済は拡大していないし、むしろ、格差が拡大して、規制を戻し出し、ついには左派政権に変わった結果になったと解説しているね。
A氏:藤原氏も改革で良くなった点があることは認めているが、「市場原理」がイデオロギーになって、失ったほうが大きいとしている。
特に、教育まで市場原理を適用するのは許しがたいとしているね。
全部市場原理、全部市場原理否定の議論でなく、あるものは市場原理、教育のようなものは規制するとか、内橋氏がいうようにバランスのとれた第三の道が必要だね。
イデオロギー化すると全部市場原理で動かそうとなる。
そうなると、むき出しの弱肉強食の世界が展開することになるね。
私:とにかく藤原氏は、市場原理の行く先は、アメリカのような弁護士が人口あたり日本の20倍、精神カウンセラーが日本の60倍という世界が待っているという。
A氏:「美しい国」はどんどん消えそうだね。
藤原氏は、今、進んでいる市場原理主義の道は「堕落した国」への転落だとしているね。
私:これで本当に俺の格差街道は終わりかね。
A氏:いや、まだ、あるよ。
同じ文藝春秋に「成果主義がソニーを破壊した」があるよ。
これは正社員も「仕事の市場原理主義」で悩んでいる姿だよ。
市場原理主義社会では正社員も楽でないね。
明日、とりあげようよ。
TVタックルに出ている市場原理主義のアナリスト
(私のコメント)
文芸春秋の新年号でソニーの元常務が「成果主義がソニーを破壊した」という記事があるそうですが、ソニーも成果主義で富士通の二の舞を演じつつあるのだろうか? 欠陥電池騒動やプレイステーション3のもたつきなどもそれを象徴しているようだ。AV関係の製品にしても液晶パネルを韓国のサムスンから調達しているようではソニーは終わっているとしか言いようが無い。
天外氏は「自分を改革のヒーローと位置づけ、自己流にあらゆることを変える」タイプの経営者が「数が少ないが組織に甚大な被害をもたらす」という指摘をしている。これではソニーと日本とがダブって見えるのですが、日本も改革かぶれの総理大臣が改革!改革!と連呼して日本のシステムをいじくり回してしまった。
アメリカ流の市場原理主義を日本にそのまま取り入れようと言う政策は、ソニーと同じような結果をもたらすだろう。社員の一人ひとりが、おカネが欲しい、出世したい、名誉が欲しいという外部の報酬を求める心で仕事をすれば、社内の連携が崩れ、自分さえ良ければいいという風潮が蔓延して、欠陥電池が出ても他の部門の社員は我関せずで、中にはそれを喜ぶような社員まで出てくるようになるだろう。
出世競争の論理から言えば他人の失敗は自分の利益でもあるからだ。勝ち組負け組と言う分け方も同じであり、負け組があるからこそ勝ち組があるのであり、そのような社会では自分が勝つ事よりも他人を負けさせる事に一生懸命になる人が出てくる。そんな社会や企業が上手く行くわけが無く、アメリカの製造業は一部を除き壊滅状態だ。
小泉内閣の経済諮問会議の委員の中にも竹中氏をはじめとする市場原理主義者が構造改革と称して金融をはじめとして様々な改革をしようとしましたが、かえって経済的な歪を生じさせただけだった。企業業績の回復も労働者の正規雇用から非正規雇用に切り替えたおかげであり、それが格差社会を生み出している。
格差社会が本格化すれば日本全体がソニーのような欠陥電池を生み出すような結果を招いて、メイド・イン・ジャパンの評判は地に落ちて中国やアジアの製品と大して違わない製品が出来て、日本もコスト競走だけで勝負しなければならなくなる。現在までは日本製は高品質で売っているが、成果主義でソニーのようになればもとこもなくなる。
同じく文芸春秋の記事で藤原氏が書いた記事は、市場原理主義が及ぼす弊害について批判しているが、格差社会が長期化すれば教育の格差社会が訪れて世代をまたがるような長期的な社会問題となるだろう。
成果主義を取り入れれば勝ち組は確かに豊かになるだろう。アメリカを見てもゴールドマンサックスは新入社員でも数千万円のボーナスが出たという。しかしこのような勝ち組は一部であり、ゴールドマンサックスに在職しても数年で辞めていく人がほとんどだ。勤めても精神的に持たないからだ。
株式日記では以前に、三台のベンツが売れる社会よりも三十台のカローラが売れる社会の方が経済発展すると書いたことがあります。ところが現在の政府がやっていることは三大のベンツが売れる社会であり、都内の有料駐車場はどこもガラガラだ。
政府の経済諮問会議は市場原理主義者の巣窟であり、都心の一等地の官舎を借りて愛人と生活していた本間氏も経済諮問会議のメンバーだった。自分さえ良ければいいと言う人間の見本のような人物ですが、このような御用学者を政府に取り込んで日本経済をおかしくしている。
経済原則からいえば消費が伸びなければ景気回復は本物ではなく、長続きするはずがない。ところが経済諮問会議は更に労働賃金を引き下げて消費を低迷させるつもりらしい。賃金が上がって消費に回せる金がなければ消費が増えるはずがないのだ。
◆労働市場改革:正社員待遇を非正規社員水準へ 八代氏示す
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/seisaku/news/20061219k0000m020089000c.html
経済財政諮問会議の民間メンバーの八代尚宏・国際基督教大教授は18日、内閣府の労働市場改革などに関するシンポジウムで、正社員と非正規社員の格差是正のため正社員の待遇を非正規社員の水準に合わせる方向での検討も必要との認識を示した。
八代氏は、低成長のうえ、国際競争にさらされた企業が総人件費を抑制している中、非正規社員の待遇を正社員に合わせるだけでは、「同一労働・同一賃金」の達成は困難と指摘。正規、非正規の待遇を双方からすり寄せることが必要との考えを示した。
また、八代氏は現在の格差問題が規制緩和の結果生じた、との見方を否定し「既得権を持っている大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や非正規社員など)弱者をだしにしている面がかなりある」と述べた。
八代氏は、労働市場流動化のための制度改革「労働ビッグバン」を提唱しており、近く諮問会議の労働市場改革の専門調査会の会長に就任する予定。【尾村洋介】
毎日新聞 2006年12月18日 20時31分
政府はあまった税収を企業減税に回して庶民増税は続ける