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□経団連官民外交の成果 [AERA]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061204-02-0101.html
2006年12月4日
経団連官民外交の成果
APEC首脳会議に日本経団連の大ミッションが同行。国際舞台での
初の官民一体外交となった。安倍首相との蜜月関係は築けるのか。
安倍晋三首相と御手洗冨士夫日本経団連会長(キヤノン会長)とが、急接近している。さきのベトナムでのAPEC首脳会談に合わせて、経団連は総勢130人の大ミッションを急遽仕立て、安倍首相に同行。最近では異例の官民一体の外交となった。
発端は10月19日。ベトナムのズン首相訪日時の歓迎晩餐会の席でのこと。塩崎官房長官が「ベトナム訪問時に経済界を同行させたい」との首相の意向を御手洗氏に伝えたという。御手洗氏の動きは素早かった。「翌日から関係者に根回しして、たちまち130人のミッションを作りあげた」と財界関係者は驚く。秋山喜久関西経済連合会長ら地方の経済団体トップのほか、6人の経団連副会長もスケジュールをやり繰りし、同行した。
安倍政権を全面支援
ベトナム訪問中は安倍首相と御手洗会長は日越首脳会談や投資セミナーなど四つの会合で二人三脚ぶりを見せつけた。極めつきは、安倍首相が政府専用機でハノイを発つ直前に、空港近くのキヤノンベトナム工場まで足を運び、御手洗氏らの説明を受けた。
御手洗氏は5月末に奥田碩トヨタ自動車相談役の後任として経団連会長に就いた。当初から心配されていたのが、政治との関係構築。キヤノンはトヨタや新日本製鉄、東京電力といった財界の老舗企業ではない。政治との関係も希薄で、御手洗氏は財界総理として、首相や与党幹部との関係を従来通りに築けるかと危ぶまれた。
御手洗氏もそんな声を謙虚に受け止めたが、元々が負けん気の強い性格でもある。愚直に安倍氏に接近した。安倍氏の自民党総裁就任直後の9月22日には党本部を訪れ、安倍氏の選挙公約に似かよった「イノベーション」「教育再生」「憲法改正」などが並んだ要望書を手渡した。首相就任直後の27日には官邸を訪れ、記者団に「(政策は)ぴったり一致していますから」と満面の笑みで語ってみせた。
だが、「安倍・御手洗」チームが、経済政策で着々と実績を上げていけるのかどうかはまだ見通せない。安倍政権が進めようとする成長戦略は、法人課税などの負担を軽減し、企業の活力を高めて、経済成長を果たそうというもの。「成長」が財政再建や少子高齢化社会などの問題を癒してくれるという、ある意味で楽観的でポジティブな戦略だ。
それは経済界には願ってもないことで、御手洗氏も全面的に安倍政権を支える構えだ。法人税の実効税率の見直しで、御手洗氏は早々と「(現行の40%から)30%をめどに考えるべきだ」と記者会見でぶち上げた。
だが、自民党や公明党などの一部には「庶民には負担増を求めざるを得ない中で、法人税率だけを議論するのは如何か」という慎重論も根強い。
来年夏の参院選を考えれば、与党は企業寄りと受け止められる政策ばかりを打ち出せない政治状況にある。そんな情勢を睨みながら、押したり引いたりすることに御手洗氏は、今のところ慣れていない。
信頼関係どう構築
小泉前首相と奥田碩・前経団連会長はともに、たとえ前言を翻しても、頓着しないようないい加減さが持ち味といえ、お互いになぜか波長があったという。小泉内閣の閣僚さえも、奥田氏に「小泉首相に話を伝えて」と頼むほどの信頼関係が出来上がった。それだけに奥田氏の政財界での存在感は高まった。
安倍首相と御手洗会長との関係はまだ、その域には達していない。御手洗氏は「改革を続けるためには、安倍政権が来年の参院選で勝利し、長期政権になってほしい」と周辺に語っているという。御手洗氏の生真面目に安倍首相を支える姿勢が、功を奏するかどうかは、参院選の結果次第である。
編集委員 安井孝之