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http://www.china.org.cn/japanese/269483.htm
収入格差はなぜ拡大したか? 体制など3要因
中国人民銀行(中央銀行)通貨政策委員会の委員を務める経済学の樊綱教授(中国経済体制改革研究基金会秘書長、国民経済研究所所長、北京大学教授など)はこのほど、ここ数年の収入格差拡大の問題について次のように記した。
ここ数年、収入格差拡大の問題が各方面で注目を集めている。基本的な原因は主に3つある。第一に体制の問題、第二に発展の問題、第三に公共政策の欠陥の問題だ。
第一の体制問題は非常に重要な要因だ。現在、古い体制が残したさまざまな問題が解決されつつある。たとえば腐敗の問題だ。腐敗の基本的な定義は、公権を利用して私利をはかるということだ。中国の伝統的な体制の特徴として、あらゆるものが公権の下におかれてきた。だが市場経済改革によって、本来私権に属すべきであった多くのものが、私権に帰された。公権はますます縮小し、腐敗の監督・処理コストが相対的に減り、腐敗が行われる可能性も減った。こうした意味で、腐敗は改革がもたらした問題ではなく、改革の過程であらわになった問題である。解決の方法は経済体制の改革しかない。これが第一の体制の問題だ。
また別の体制問題として業界の独占がある。一部の企業が資源の開発権を独占していることにより、資源産業や一部の独占産業とその他の競合産業との間で大きな収入格差が生まれている。これは市場経済の実施によりもたらされたものではなく、市場経済以外の要因によるものである。
第二の問題は発展の問題だ。主な問題として、三農(農民、農業、農村)問題、都市・農村の格差問題、地域間格差の問題がある。こうした格差は、経済発展の遅れや発展の過程で生じた問題というべきだ。大量の労働力が農村から都会へ移動しなければ、農民の収入増加は難しく、また移動した大量の出稼ぎ農民労働者が限りある就職口を奪い合うことから、その収入水準の向上も難しい。中国の総労働力のうち約80%は低所得層に属しており、課税水準に満たないものもある。こうした問題は、持続的な発展と十分な雇用の実現を通じてしか根本的に解決されない。社会の収入再分配の方法や税金、補助金などの方法を駆使しても、この80%が平均収入レベルに到達することは難しい。
第三の問題は公共政策に関する問題だ。中央政府から地方政府にまで至る問題であり、たとえば低所得層に対する収入増加の促進や保護、教育や基本的医療サービスの保障などといった問題だ。こうした政策が不十分であれば、特別な支援を必要とする低所得層の人が十分な保障を得られない。これは注意しなくてはならない問題だ。
こうした問題を解決する基本的な手段は、改革を深化させ、改革を積極的に前進させることや、持続的かつ長期的な発展を実現し、より多くの雇用を生み出すことだ。また各方面の公共政策を調整することが必要になる。公共政策改革の調整にかかる時間は相対的に見れば短期的なプロセスかもしれないが、体制改革と経済発展はいずれも長期的なプロセスだ。われわれは長期にわたる準備をしなければならない。
「人民網日本語版」2006年10月27日