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オーガニック専門スーパー・ホールフーズマーケットホーム
http://www.wholefoods.com/
Whole Foods Market Inc. (WFMI)株価
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=WFMI&t=my
http://www.dei.or.jp/opinion/column061012.html
アメリカにみるオーガニック市場の隆盛と日本市場への示唆
横井 のり枝
財団法人流通経済研究所 研究員
欧米ではオーガニックが流行っている。正確には流行に終わらず、一般化してきている。
米国のオーガニック専門スーパー・ホールフーズマーケット(以下ホールフーズ)は、創業時からオーガニックを通して健康、安全、環境を訴えつづけ、現在は175店舗を展開、2005年度の売上高は47億ドル、前年比23.6%の成長率をみせ、2010年には現在の売上の約2倍にあたる120億ドルの達成を見込むほどである。オーガニック食品は一般の食品に比べて価格が2割ほど高い。だが、売れる。世界No.1小売業でもある米国小売業ウォルマートが、徹底した低コスト戦略による低価格販売で消費者に受け入れられ、進出した街の競合小売店の多くが売上減少や閉店の憂き目にあっている中、ホールフーズはオーガニックという付加価値差別化戦略で挑み、成功した小売業として高く評価されている。
米国でオーガニックが受け入れられているのは、消費者の高い健康、安全意識からである。高所得者を中心とした層は、「ロハス」に代表されるように健康的で環境にも優しいオーガニック食品を好んでいる。近年、この志向は高所得者から中所得者層へと広がっている。
このような傾向をうけ、米国の老舗スーパーが続々とホールフーズを模倣した実験店舗を開発し、オーガニック商品拡充をはじめた。ウォルマートもオーガニック商品の販売を強化し、いまやオーガニック市場のリーダーにならんとする勢いでもある。これらはオーガニックという「哲学」を広めようというより、高所得者層をターゲットとしたい、高く売れるブランドを手にしたいという「戦略」に起因する部分も大きいだろう。しかし大手小売業参入によるメリットも大きい。たとえば、オーガニック取引の整備である。ウォルマートはオーガニック綿製の衣類を販売しているのだが、その綿花栽培農家と5年契約の直取引をしている。このウォルマートが牽引したことにより、他の小売業も農家との直取引に移行した。これにより、需要の変動から作物を安価で買い取られることもあった農家は、契約農家として安心して栽培できるようになった。また、大量生産が可能になったことから、消費者にはこれまでのオーガニック商品よりも安価で提供できるようになったのである。一方、追い上げられるホールフーズも安穏としていられない。需要増大による調達先の競争激化で、品質の確保が困難になるかもしれない。それゆえ、地元農家や小規模オーガニック栽培農家の育成を真剣に考慮している。ニッチ市場を制したホールフーズは今、他の小売業に負けない新たな差別化を模索している。
高く売れるからといって、オーガニックを一時的な商売道具とするのは短絡的である。しかし、大手参入により製販の取引が整備され、地元の中小農家の将来を含めた議論がされる米国に、日本が学ぶべきことは多いだろう。日本にもオーガニックの波が押し寄せてきている。日本でオーガニック市場が広がるには、消費者への「オーガニック」啓蒙とともに、この点も課題のひとつになるだろう。