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『マネーを生み出す怪物』
G・エドワード・グリフィン著 吉田利子訳より引用します
マンドレーク・メカニズム
実際のFRSの魔術では歯車や鏡や滑車がどんなふうに動いてショーが演じられるのかをここで確認しておきます。これがまた、実に不思議な興味深い仕掛けなのです。そこで魔術師たちが現代の通貨を創出する実際のプロセスに目を向けます。最初は離れたところから全体の動きを眺め、次に傍へ寄って細かい仕掛けを観察してみます。
割引窓口
「割引窓口」というのは銀行用語で、貸し出し窓口のことです。銀行の通貨が足りなくなると「銀行の銀行」であるFRSが貸してくれます。銀行が通貨を借りなければならない理由はいろいろあります。金庫には預金額の1パーセントか2パーセントの現金と8パーセントか9パーセントの証券による支払「準備」しかないので、銀行の営業上の余裕はごく僅かです。そこで預金者の引き出しが異常に増えたり、多額の小切手が一時に決済にまわってきたりすると一時的に資金が足りなくなります。不良債権を掴んで、以前は「資産」だったのに帳簿から取り除かなければならず、「準備」が減少し、それどころかマイナスになることもあります。
最後に、利潤という動機があります。銀行はFRSから借りた通貨を借りたよりも高い金利で貸し出しますから、明らかに得をします。しかし、それはほんの手始めで、銀行がFRSから1ドル借りると、それは1ドルの支払「準備」金になるります。銀行の準備率は10パーセント程度ですので、1ドル借りるごとに9ドル貸せるという勘定になります。算数をしてみます。銀行がFRSから金利8パーセントで100万ドル借りたとします。1年あたりのコストは8万ドル(100万ドル×0.08)になります。銀行にとってこの現金は支払準備金だから、さらに900万ドルを創出して顧客に貸すことができます。銀行が金利11パーセントで貸すと、収益は99万ドル(900万ドル×0.11)になります。ここから銀行のコストと人件費などを差し引くと、純利益はほぼ90万ドルというところでしょう。
言い換えると、銀行は100万ドル借りると1年でほぼ倍に増やすことができます。これが「レバレッジ(梃子の原理)」です。そして忘れてならないのは、このレバレッジの源泉です。全国に流通するマネーサプライが900万ドル増えていることにあります。
公開市場操作
FRSが不換紙幣を創出する方法のなかで、いちばん興味深いのは公開市場での証券売買です。そして注意していただきたいのは、以下に説明することに筋が通ると期待してはいけなません。筋がどうこうではなく、事実はどうかを知るつもりでいていただきたいのです。手品の種は一般市民とは違う恵味で使われている言葉にあります。言葉には用心しなくてはいけません。金融関係者が使う言葉は説明するためにあるのではなく、ごまかすためにあります。このプロセスは見かけは複雑そうですが、そんなに複雑ではありません。ただ、突拍子もないものだというだけです。
準備率
ここまでの話は「準備」率を10パーセント(通貨が10対1で拡大する)として考えてきました。しかし、この数字は恣意的に動かせることを忘れてはなりません。通貨は貴金属の裏付けのない不換紙幣なのですから、実際には何の制約もありません。政治家や通貨の管理者が今はどのくらいの数字が適当と考えるか、というだけのことです。この率を変更すること、それがFRSがマネーサプライに影響を及ぼす第3の方法になります。従って準備率の数字は変動すると考えなくてはいけません。もっと通貨が「必要」だということになれば、この数字は20対1、50対1になって、「準備」なるものはどんどん減るかもしれません。現在のシステムで生み出される不換紙幣の総額には、事実上限度は存在しません。
国の債務がインフレにつながるとは限らない
FRSはどんな額の国の債務でも「貨幣化」することができますし、このプロセスでマネーサプライが増大するのがインフレの第1要因なのですが、それなら連邦政府の債務とインフレは同じ現象の2つの側面だろうと考えたくなります。しかし片方があって片方がないということも充分に考えられます。銀行カルテルは通貨製造権を独占しています。結果として、通貨は借金証書がFRSか商業銀行によって「貨幣化」されたときにだけ生まれます。個人や企業、民間組織が国債を購入するときには、稼いで貯めた通貨で支払わなければなりません。言い換えれば、すでにある資金を使うのですから新たな通貨は創出されません。従って国債を銀行システムのなかで消化すればインフレに繋がりますが、民間部門で消化すればインフレにはなりません。
連邦政府の債務が記録的なテンポでふくれあがった1980年代に、アメリカが高インフレを回避できた大きな理由はそこにあります。国債の利回りを高く設定しましたので、外国人を含めた民問投資家は国債に魅カを感じました。殆どの国債はすでに存在したドルで買われたので、新たなマネーが創出されることはあまりなかったのです。もちろん、これはせいぜいで一時的な解決策に過ぎません。当時の国債は次々に満期を迎えて、元金に金利分をプラスした新たな国債に置き換えられています。いつかはこのプロセスにも終わりがきて、FRSは80年代のすべての債券を買い戻さなければならなくなるでしょう。そのとき、過去に投資された民問の通貨がそのうえ金利分が新たに創出された不換紙幣に置き換わります。そうなったとき、わたしたちはインフレとはどんなものなのか、身にしみて感じるでしょう。
こちらはコインの裏側ですが、FRSには連邦政府が債務を増やさなくても通貨をつくりだす方法があります。たとえばマネーサプライの急増が1929年の株価暴落に繋がったのですが、このときのマネーサプライ増加は国家の借金返済が進んで債務が減少しているときに起こりました。1920年から30年にかけて、連邦政府の財政は毎年黒字で、発行される国債も比較的少なかった。マネーサプライ増加による大規模なインフレは、FRSの割引窓口で商業銀行の融資を「支払準備」に換えたこと、FRSが銀行の引受手形(銀行が引き受けた期限付為替手形)を購入したことから起こったのです。
今では、選択肢はもっと増えています。1980年の通貨管理法で、FRSは外国政府の借用証書を含め文字どおりあらゆる債務証書を貨幣化することが可能になりました。この法律制定の狙いは明らかに、アメリカの銀行から融資を受けたが金利払いも難しい外国政府の救済でした。FRSがほとんど価値のない外国政府の国債と引き換えに、不換祇幣であるアメリカ・ドルをつくりだして渡す場合、経路は多少長くなりややこしくなりますが、結果としてはアメリカ財務省証券を購入したときと同じです。新たに創出された通貨が外国政府の手に入り、それがアメリカの銀行に戻ってきて支払準備になります。
最終的には追加融資という形で(9倍になって)アメリカのマネー・プールに逆流してきます。コストはまたも購買力の減少という形でアメリカ市民が負担することになります。従ってマネーサプライの増加とその結果としてのインフレは、いまでは連邦政府が赤字にならなくても起こります。誰かがアメリカ・ドルを借りようとするかぎり、カルテルはその人たちの債務証書を購入してドルを創出できるし、それによってマネーサプライを拡大しつづけることができます。ところで、そもそもFRSが生まれた理由の1つは、議会が税を徴収していると市民に悟られずに財政資金を手に入れるためだったことを忘れてはなりません。この搾取にアメリカ人が驚くほど無関心なのは、マンドレーク・メカニズムの仕組みがまったくわかっていないからでしょう。おかげで、銀行カルテルと政治家にとって好都合な連携に変化が起こりそうな兆しは今でも殆どありません。
FRSが民間の債務証書や外国政府の国債と引き換えに不換紙幣を創出しているといっても、現実問題としてFRSの最大の関心事は議会に財政資金を提供しつづけることにあるはずです。考えてみれば、これはとんでもない事実です。わたしたちのマネーサプライは、少なくとも今のところは国家債務と緒びついていますから、国家債務が返済されれば通貨は消失する。国家債務が大幅に削減されるだけでも、経済は大打撃を受けるだろう。そこでFRSが存在している限りアメリカ人は借金をすることになります。しなければならないのです。国際化が進行する現在の政治環境のなかで、外国政府の国債購入は加速しています。アメリカのマネーサプライの基盤として、自国だけでなく外国の債務の比率がますます増える傾向にあります。ですから外国政府の債務も、たとえ返済できるとしても返済されてはならないのです。
不必要な税
連邦政府はいまの歳出レベルを維持しながらでも課税しなくても機能していけます。これは驚くべきことではありませんが。政府はFRSを通じて国債を貨幣化するだけで、必要な資金を手に入れられますそれどころか、いま政府が支出している通貨のほとんどはそうやって得たものなのです。国税庁廃止、けっこうじゃないかと思われるなら、債務の貨幣化によって起こるインフレも税にほかならない、ということを思い出すべきです。しかもこの税は隠されていて、大半のアメリカ人はその仕組みを理解していないので、おおっぴらな課税より政治的には人気が高いのです。
モノポリーゲーム
インフレは言ってみれば銀行家が際限なく通貨を持っていて配分できるモノポリー・ゲームのようなものです。サイコロを振るたびに、銀行家はテーブルの下から通貨として使われるチップをごそっと取り出す。銀行家もゲームにプレイヤーとして参加していれば、現実の世界ではそうなのですが、結局はすべての通貨を巻き上げるでしょう。しかし当面は銀行家がどんどん供給する通貨が溢れてプレイヤーたちを呑み込みます。通貨が増えれば増えるほど、通貨一単位の相対的な価値は下がり、資産価格は上昇する。このゲームがモノポリー(独占)と呼ばれるのには理由があります。最後には一人が全部の資産を独り占めにし、残りは全員破産するからです。別にかまいはしないでしょう、所詮ゲームです。残念ながら、実世界はゲームではありません。わたしたちの生活が、衣食住がかかっています。勝者が一人しかいなければ、わたしたちの生活には大きな影響が及びますし、その勝者が通貨を創造することですべてを独占するならば、ますます大きな影響が出ます。
ソーシャル・プランの道具
『アメリカン・アフェアーズ』1946年1月号に、当時ニューヨーク連銀会長だったビアズリー・ラムルが書いた記事が掲載されました。ラムルは第二次世界大戦中に源泉徴収制度を考案した人物ですから、連邦所得税の性質と目的について執筆するのにはまさに適任だったでしょう。ラムルのテーマは記事の見出しによく表れています。「歳入のための税収は時代遅れ」記事の前書きで、雑誌の編集者がラムルの見解を以下のように要約しています。ラムルは、中央銀行制度のコントロールと不換貨幣(金の裏付けがない貨幣)により、ついに主権国家政府は通貨の心配から解放され、歳出を目的とする課税の必要がなくなった、と述べています。したがって税制はすべて、社会的・経済的影響という観点から論じられるべきものになります。
ラムルの説明によれば、今や政府が欲しい通貨はいくらでもFRSが無から創出できるのですから、税には2つの目的しか残ってません。1つは物価上昇を抑えることです。ラムルは次のように主張します。「人はポケットにマネーがあれば商品やサービスを購入し、そのために価格が上昇する。解決策は、税によって人のポケットからマネーを取り上げて政府に使わせることだ」、と。これもまた物価上昇につながるはずですが、ラムルはそれには言及しません。彼は自分の理論をこう説明します。「政府が使うドルは、それを受け取った人々の購買力になります。政府が税としてドルを徴収すれば、人々ヘそのドルを使えないので、販売されている物品の購入には使われなくなる。従って税は財政および通貨政策の運用という面で最も重要な道具である。」
富の再分配
ラムルによりますと、税のもう一つの目的はある階層の市民から別の階層へと富を再分配することです。これは常に社会正義あるいは平等の名において行われていますが、実際の目的は自由市場を抑制し、上に立つプランナーが社会を統制することにあります。ラムルは言います。「連邦税の第二の目的は、ほうっておけば経済力によってのみ決まる富と所得の分配をより平等にすることだ。この目的に役立つ税は累進所得税、累進資産税、贈与税である。これらの税がどうあるべきかは、富と所得の再分配に関する公共政策に左右される。これらの税についての議論は、歳入源としてではなく、アメリカ人の生活にどのような影響を及ぼすかという観点からなされるべきである。」
この2つの社会制約がともに作用しますと、一方だけの場合とは比べものにならないほど精妙な、経済的・社会的市民生活をコントロールするメカニズムができあがります。その後、ソーシャル・プランナーたちがラムルの青写真を捨てるかと思える有望な徴侯がありました。議会でもFRSでも、歳出を削減して国家債務とインフレを抑制すべきだという主張がよく聞かれるようになったのですが、これは口先だけでした。あいかわらず莫大な連邦政府の財政資金がマンドレーク・メカニズムを通じて生み出され、政府のコストは税収を大幅に上回り、ラムルの処方隻が幅を利かせています。
拡大は縮小を生む
マンドレーク・メカニズムがマネーサプライを拡大させているのは事実ですが、このプロセスは逆回転する場合もあります。FRSが債券その他の債務証書を購入すると通貨が創出されるように、これらの証書を売却すれば通貨は消えます。債務証書が売却されると通貨はFRSに戻ってきて、商業銀行システムを通じてマネーが創出されたのと同じ波及効果が働き、通貨は経済から引き上げられます。しかもFRSが意図的にマネーサプライを縮小しなくても、市民が借金を重ねなくなり債務を減らすと、同じ結果が起こり得ますし、実際にしばしば起こっています。人に借金を勧めることはできても、無理やり借金をさせることはできません。いくら低金利で融資してもらえるといっても、その影響を相殺してしまう心理的要因もたくさんあります。不景気、市民生活の秩序混乱のおそれ、戦争の不安、政治情勢の混沌などはほんの一例です。FRSが経済に大量の通貨を注ぎ込もうとしても、市民がそれを拒絶すればその効果は打ち消されます。そうなると、古い債務が返済されても新しい貸出先は見つからず、消費者債務と企業債務全体の縮小となります。
結論 現代の通貨は金融界と政界の魔術師が作りあげた壮大な幻想です。私たちは不換紙幣の時代に生きています。歴史上、不換紙幣を採用した国家はすべて、そのために経済的に破綻したというのが厳粛な事実です。しかも現在の通貨制度には、私たちがこの暗い先例に倣わずにすむと思える要素は何もありません。是正策は1つだけです、議会はまだFRSを廃止する権限を持っています。
【参考】
植草は分母改ざん要求が受け入れられないと訴える希少な存在です。
http://www.asyura2.com/0610/senkyo27/msg/509.html
不良債権の評価はそのまま預金の評価になりますね。アメリカのように国債の10倍の信用の創造効果はあげていないにも関わらず、、というか2倍にも満たない??郵政は信用の創造はしないし。やはり専門家の言うところのマイナスの乗数効果が出ているので、積み立ての縮小はそのまま総量規制になりますので、インタゲしておいて株価は小泉就任時と同じ??みたいなハット・トリックになるんでしょう。
要はみんな幕を下ろしたがっている??
やっぱ、ユダヤとその仲間達はイスラエルに押し込んで、鉄壁で囲いしてしまえばいいのだ。