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(回答先: <政府発表のブラック・ユーモア>景気拡大「いざなぎ」に並ぶ57か月、月例報告判断へ(読売新聞) 投稿者 gataro 日時 2006 年 10 月 08 日 09:40:03)
http://www.janjan.jp/government/0610/0610062350/1.php
「いざなぎ景気超え」は補選向け大本営発表 2006/10/08
日銀が2日発表した9月の短観は、DI(業況判断指数)が、大企業製造業でプラス24(6月比3ポイント改善)。これをもって、朝日新聞は「景気の堅調さが確認された形だ」としています(※編集部注)。また、6日の夜7時のNHKニュースは「いざなぎ景気を超える勢い」と報じました。
「ほんまかいな、衆院補選、沖縄県知事選を前にした、大本営発表ではないか?」というのが私の素直な感想です。
実際、よく見ると、大企業・非製造業のDIは、横ばいのプラス20中。小企業の製造業がプラス6(1ポイント悪化)、非製造業がマイナス8(2ポイント悪化)。
大企業の製造業は、円安が追い風となっているし、原油高を製品への価格転嫁ができる(一定程度価格支配力があるため)。また、中小企業からの納品価格を押さえ込んだり、違法請負に見られるような労働力の使い捨てで人件費も押さえ込んでいる。この広島でも、大手企業が東広島などに来てくれてはいるが、雇用の多くは、非正規です。ぼろもうけは当然です。
しかも、非製造業の場合は、円安の追い風はない。むしろ、原材料費の値上がり、それから、内需も依然そうよくはない。だから、改善していないのです。
そして、製造業でも、中小企業はさらに悲惨です。価格支配力がないため、否、大企業に納入価格を押さえ込まれているために、苦しい。ですから従業員に依然、満足にボーナスを払えないところも多い。
たしかに、設備投資は回復している。しかし、これは長年の抑制の反動に過ぎません。また、この広島でも、中小企業は、やむをえず、多少経営が苦しくても、時代に追いつくために設備投資を強いられている側面があります。
そして、考えなくてはいけないのは、労働者の99%は、中小企業で働いているということです。ですから、景気回復を大多数の庶民が実感できないのは当然です。1%だけ良くて、99%は悪いという状況を「回復」と呼ぶことが正当なのか、大いに疑問です。朝日新聞の報道の仕方は無責任だと思います。
消費も最近堅調といわれていますが、これは、例えば長年抑えていたものをやむをえず増やしたということに過ぎない、一種の「循環」に過ぎません。私自身を振り返っても、パソコンを、LAN接続用の周辺機器がなくなったのでまだ十分使えるのにやむなく手取り給料の3分の2を投じて買い換えています。
昔のように給料がどんどん上がる時代なら、多少の出費も「景気づけ」ですが、今は「痛すぎ」なだけです。
ですから、依然、消費者金融に頼る人は増え、生活保護も増えている。「ワーキングプア」と景気回復が両立するというのは冷静に考えれば悪い冗談です。
そして、「景気回復」だけは喧伝されて、「じゃあ、増税しても大丈夫」といった頓珍漢な議論がまかり通ったり、人々も、「生活が苦しいのは自己責任」と思い込んでしまう。そして、鬱積した不満は政府に向かわずに、公務員を叩いたり、ジェンダーバッシングをしたりして、余計に新自由主義、国家主義、憲法「改正」の流れを後押しています。
今年に入り、今まで自民党による公務員バッシングやジェンダーバッシング、亀井さん・綿貫さんらの「抵抗勢力」叩きなどで溜飲を下げて自民党を支持していたようなフリーター、ニートなどの若い男性にも、「ボランティア義務付け」(安倍総理の公約)や「徴農」(自民党右派の女性リーダー・稲田朋美代議士)、「待ち組」(猪口邦子前国務大臣)など、バッシングが煽られています。
しかし、状況を冷静に見れば、簡単なことです。先ほども述べたように、景気は多くの企業で悪いのですから、自己責任でもなんでもない。
輸出好調の背景の円安は、なぜ起きたかといえば、今年春まで続いた異常な金融緩和の余韻です。しかし、これは、結局国内での貸出があまり伸びなかったので、余ったお金が海外へ流出したということであり、『悪い円安』ではないかとおもうのです。
やはり根本的には、お金の偏在が問題です。お金の流れが、投機へ向かって、実態にあまり向かっていない。それは、家計や中小企業が苦しいということが大きいのではないか。一方で、資産所得への課税が先進国でも異常に甘い(10%の分離課税。先進国では所得税最高税率が低くても、総合課税させるので日本よりもはるかに実質的には税率は高い)。
対策としては、減らしすぎた公共投資の回復(最近10年間で、GDP統計で42兆円から24兆円に減らされましたが、せめて30兆円に)がまず考えられます。
安倍総理のように、6000億円のせこい法人税減税をするくらいなら、むしろ、年間5兆円くらいは、赤字の中小企業に手厚い設備投資補助金を出すなどの工夫をすべきです。財源は、80兆円以上の外貨準備を担保にすればよい。
もちろん、社会保障も、投機利得などへの累進課税の強化などを税源としつつ、充実させていく。高齢者切捨てなど論外です。民主党の小沢さんも提起しているように、やはり、終身雇用と年功序列を復活させるべきでしょう。そして、男女ともに安心して働けるような環境を整備することです。猪口さんのような、小手先の「男女共同参画」「少子化対策」でなんとかなる話ではありません。
今の経済政策を続けていれば、年収300万円以下などと言う勤労者がさらに激増していくことは間違いありません。そしてその結果、ますます、内需ではなく外需への企業の依存は強まっていくでしょう。
外需大企業と一部金融資本だけが儲かるようなゆがんだ政策を改めなければなりません。そのことを、民主党をはじめ野党は、補選、沖縄県知事選、そして来年の地方選挙・参院選を前にはっきりと打ち出さねばなりません。
関連サイト
http://www.mof.go.jp/
財務省
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html
内閣府(GDP統計HP)
(さとうしゅういち)
◇
※編集部注:
http://www.asahi.com/business/update/1002/058.html
日銀短観、景況感堅調3ポイント上昇 ゼロ金利解除後初(朝日新聞Web)より