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実質実効為替レートは80年代の水準、これが景気を支えているのは事実=大田経済財政担当相
[東京 6日 ロイター] 大田弘子経済財政担当相は6日午後、「実質実効為替レートは1980年代の水準に下がっており、これが景気を支えているのは事実だ」と述べた。ただ今回の景気回復の要因については、企業が過剰設備などを解消し、収益体質を向上させたことや米国、アジア経済が好調だったことを挙げた。
衆院予算委員会で民主党の枝野幸男議員の質問に答えた。
〔クロスマーケット〕新興国のドル離れ強まる、G7での通貨協議は限界
<東京市場 6日>
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日経平均 |国債先物12月限| 国債282回債 |ドル/円(14:05) |
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16,406.39円 | 134.63円 | 1.705% | 117.99/02円 |
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- 42.94円 | +0.19円 | -0.015% | 117.74/77円 |
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注:日経平均、国債先物、現物の価格は14時07分時点の値。
下段は前日終値比。為替は前日NY終値。
森 佳子編集委員
[東京 6日 ロイター] 新興国が「ドル離れ」の動きを強めている。新興国の外貨
準備約3兆ドルのうち、ドルの占める比率は1997年末の7割から今年3月末には6割
まで低下した。国際不均衡拡大や米政権の政策に対する不信感が背景と見られる。新興国
は今後一段と世界の資金フローへの影響力を強めることが予想され、通貨や不均衡問題を
協議する場として、新興国抜きの7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)のフレームワ
ークはもはや実効性を欠いているのが実情だ。
<世界の金融市場で存在感増す新興国>
IMFによれば、先進国の外貨準備保有高は3月末時点で1兆2922億ドル、新興国
の同保有高は3兆0553億ドルだ。1990年代前半までは世界の外貨準備を先進国と
ほぼ均等に2分していた新興国は、今や世界の外貨準備の70%以上を保有している。通
貨構成では先進国のドル比率が2000年以降平均72%と安定しているのに対し、新興
国のドル比率は1997年末の72.33%から3月末の60.38%へと低下した。特
に2001年末から2002年末にかけては5%ポイント減となった。
新興国のドル離れについて「9.11及びそれ以降の米国の対応に対する不信感の表れ
ではないか。特に単独行動や先制攻撃を正当化したブッシュ・ドクトリンについては、ロ
シアや産油国の反発を招いていた」と東海東京証券チーフエコノミストの斉藤満氏は語る。
「米国は石油と金融を通して自らの覇権を維持するという戦略を貫いてきたが、今後はア
ジア及びユーラシア大陸にいっそう気を配っていく必要があるだろう」と同氏は続ける。
新興国の外貨準備が急ピッチで積み上がった原因は国際不均衡の拡大だ。米国が巨額の
貿易赤字を垂れ流す一方で、新興国の黒字は拡大し、黒字が原因となった自国通貨高圧力
を抑えるため、為替市場で自国通貨売り/ドル買い介入を実施。介入後のドル資金は外貨
準備となる。
不均衡問題について、9月にシンガポールG7会合に出席したポールソン米財務長官は
「主要国と中国は国際的な不均衡を是正する責任を共有する」と述べ、ドイツ連銀のウェ
ーバー総裁は、中国に対して人民元相場の柔軟性拡大を求めたG7声明を繰り返し引き合
いに出している。
<国際不均衡で債権・債務関係が複雑化>
だが、不均衡問題はG7の合意を新興国に押し付けるというこれまでのスタイルでは解
決が困難であり、また矛先を中国だけに向けても、現状にそぐわないものとなっている。
「1980年代は債務者がアメリカ、債権者が日本という一対一の関係だった。だから
こそプラザ合意が実現できた。現在も債務者は依然としてアメリカだが、債権者は日本、
中国、他のアジア諸国、OPEC諸国、ロシアと複数になっている」とブックフィールド
キャピタル取締役副社長の田中泰輔氏は語る。
IMFは拡大する米経常赤字などの不均衡問題に取り組むために「多国間協議の枠組み」
を新設し、同協議には日米欧(EU)と中国、サウジアラビアが参加する。だが、同協
議が年末にまとめる予定だった報告書は来春に延期されるなど、対応策を巡り諸国間の調
整が暗礁に乗り上げているもようだ。「対応策が出たとしても、多国間で合意する政策に
どれほど強制力をもたせるかが焦点となる」(関係筋)という。
不均衡を巡る環境も変わってきた。1980年代は債権・債務残高を縮小して国際均衡
を回復しようという考え方が主流だったが、今は「お互いに依存しあって債権・債務を両
建てで膨らませながら国際経済が動くシステムになっている。このシステムは脆弱とも言
えるが、これまでは持ちこたえてきた」と田中氏は指摘する。
背景には米国が1990年代に推進してきた金融のグローバリゼーションがある。「こ
れにより資金融通面で米国は自らに好都合なネットワークを構築した」(田中氏)という。
他方「グローバリゼーションの中で、アジア諸国は国内需要を掘り起こしたり、充足し
たりするよりも、輸出品を供給することを優先したため、域内では莫大な余剰資金が発生
した」(同氏)。
アジア諸国では、余剰資金を投じる流動性に富んだ債券市場が存在しなかったため、資
金はアメリカの債券市場に向かい、結果として新興国の外貨準備のドル比率は低下したと
はいえ、6割を保持している。
<今後は新興国で外貨準備の矛盾が高まる可能性も>
債権国と債務国の相互依存関係は、低インフレ、低金利を前提としてきた。しかし、今
後は新興国の給与水準が上がり、生産コストが上昇してインフレの芽が出てくることが予
想される。新興国でインフレが発生し、国際的な資金フローが滞った時点で、現行のシス
テムは壁に突き当たるだろうと田中氏は予想する。
「中国は10%成長の国であるので、短期金利が10%になっても良いはずであり、経
済発展とともに人民元相場も1ドル=7元台から5元台の方向に上昇するのが自然な流れ
だ」(邦銀トレーダー)という。「そうなると、国内金利よりも低金利のドル資産を保有
することや為替リスクも無視できなくなり、外貨準備の矛盾は大きくなる」(田中氏)。
ただし、中国は目下のところ金利の引き上げは人民元への投機圧力を高めるとして、ベ
ンチマークとなる短期金利(インターバンク・レート7日物)を2.39%と低水準に抑
えている。一方「中国は先月から介入額を減らして、穏やかな人民元高を容認しながら、
国内のインフレ圧力を制御する政策に転換したもよう」(信金中央金庫総合研究所上席研
究員の黒岩達也氏)であり、外貨準備をむやみに増やさない姿勢を見せている。
両建てで債権・債務が膨張する現状の国際金融システムは、金利面からも、量的側面か
らも、いずれ制約をうけることになるだろう。