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http://www.rian-japan.com/news/details.php?p=420&more=1
経済解説員ニーナ・クリコワ執筆
2006年は、ロシアの株式市場にとって非常に良好に終った年であった。しかしそれでも、高い成長テンポと投資家からのロシア株への大量需要を記録しながらも、市場は、成長過程にある市場が持つ特有の諸問題を抱える典型的な発展途上の市場であることもまた事実だ。
ロシアの株式市場は、近年目覚ましい成長を記録している。2006年には、RTS(ロシアの主要50社の株価で形成されるロシア株式市場の主要指数)は、1125ポイントから1852ポイントまで上昇した(06年12月26日現在)。つまり約65%の上昇だ。12月半ばのデータではその時価総額は、9400億ドルに達し、これは年初の92%増だ。
この傾向は、ロシアの株式投資環境が徐々に改善されており、企業、とりわけ国営資本が入っている企業、例えば、「ガスプロム」や「ロシア統一電力会社」と言った企業の透明性が高まったことが理由に挙げられる。外国からのロシアへの資金の流入も実際に伸びている。財務省の予想によると、2006年のロシアへの外国の直接投資額は230-250億ドルに達すると見ている。因みに、2005年はこの数値はわずか130億ドルに過ぎなかった。どうやら、投資家は、2006年のロシアと債権者パリクラブが、213億ドルの上る負債残高をロシアが完全に償還することで議定書が結ばれたこと、そして、ロシアで06年7月から最後の外貨規制が撤廃されてこと、を肯定的に評価しているようだ。
株式市場への肯定的な影響としては、国内のマクロ経済が安定したこと、祖国の通貨(ルーブル)が強くなったこと、そして、消費購買力が高まったことも上げられる。ロシア経済発展省の暫定予測によれば2006年通年のGDPの成長は6,8-6,9%増としている。その結果、格付けの世界的大手会社のFitchとStandard & Poor’sの見方によると、ロシア国家は、最も高いローン返済能力があるとして、レーティングは「A」格よりわずかに1ランク劣っているだけとの格付けをしている。
世界市場でのIPO(新規株式公開)もロシアの立場は強まっている。ロシア企業は益々モスクワ市場のみならず国際市場でも自社株を公開する動きが活発化している。その結果、ロシアの株式市場は、徐々に、貯蓄から投資という本来の主要マクロ経済機能を果たし始めるようになり、主要企業にとって実際の資金調達の場所になりつつある。2006年で最も大規模なIPOは、ロンドンとモスクワで株式上場したロシア国営石油企業「ロスネフチ」だ。株式発行によりロスネフは、自社株14,8%を公開させ104億ドルを調達した。
しかし同時に、ロシア株式市場の動きは、他国市場からも強く影響を受ける。例えば、アメリカの連邦準備委員会あるいはヨーロッパ中央銀行が公定金利を引き上げるという声明を出せば、ロシアを含むすべての発展途上の市場のヴォラティりティー(流動による変化率)が極端に高まる。このようなことは2006年にロシア株式市場は1月から5月まで51%上昇したが、5月にはすべての若い市場で連鎖的に調整が起こり約25%下落した。その結果外国投資家の懸念が台頭し形成過程にある市場から資金が流出した。若いロシアの市場もこの流出から逃れることはできなかった。数ヶ月過程後には再び上昇が見られたが、ロシアの株式市場の上昇は発展過程の市場での全体的な上昇に過ぎなかった。
さらに、原料価格、とりわけ石油と金属の価格もロシアの株式市場に大きな影響を与え続けている。ロシア経済は、すべての経済分野、中でも採掘会社の財政状態と株価評価に影響を与える輸出による収入の結果に強く依存している。これらはロシアの株式市場がまだ不安定要因を抱えていることにもなる。
秋に石油価格が下落しロシア株式相場に調整が起こった時、投資家は資金の一部を石油資産から他部門に移行させた。一般産業、通信、消費セクターの株式への関心が高まったが、それは市場での投資の分散を促進させ、全体として経済にとっては肯定的な結果をもたらした。
いずれにせよ、すべてこれらは、ロシアの株式市場は発展過程にあるemerging marketの範疇に入ることを意味している。そして、脆弱さと短期の投機的な資金に依存していることが特徴である。
現在まで、ロシアでは株式に投資している市民は非常に少ない。ロシアの株式市場の参加者の約半分はグローバルトレンドで市場を見ている外国の投機筋である。しかしロシア人も所得は増え、貯蓄形態も組織的になり、状況は徐々に変わりつつある。大都市では、株式投資を始め、IPOに参加する市民も現れている。上述の「ロスネフチ」の株式公開は、ロシアで始めての「国民的」IPOと呼ばれた。このIPOでは一部は個人投資家にも販売され、その購入額は6億ドルに達した。
しかし、発展途上とは言え、全体的には2006年のロシアの株式市場は順調に発展していると言って良い。財務当局は、2007年も良好に発展し、それは新規公開株の今後の提案やロシア市民のみならず外国人投資家の参入にも下支えされるだろうと予測している。株式の一般公開の中で最も期待できるのは、国営資本の入ったロシアの大銀行、ズベルバンク(貯蓄銀行)とヴェネシトルグバンク(外国貿易銀行)の株式公開だ。最近設立された統合航空機製造企業も2007-2008年にかけて株式公開する準備をしている。
石油ガスセクターは、今後もまだ長期に亘り投資家の関心を引き付けることになろう。しかし、アナリストは、2007年は「2番目の梯団」に位置する株、つまり「青いトランプ」ではない株が、ガスプロムやロスネフチ、ズベルバンク、ヴェネシトルグバンクと言った第一梯団の株に負けず劣らず収益性を上げる可能性があると予測している。具体的には、最も魅力的なセクターとしては、電力エネルギー(「ロシア統一電力会社」傘下の複数の卸売り発電会社の株式公開が予定されている)、冶金(恐らくマグニトゴルスク冶金コンビナートのIPOと最近統合した「ロシア・アルミニウム」の株式の市場公開)、さらに通信、銀行そして小売りを挙げることができるとしている。