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(回答先: ずいぶんと都合の良い「債券」があるものだ。 その名も「退職手当債」 【週刊ダイヤモンド 2006/06/2】 投稿者 hou 日時 2007 年 1 月 17 日 12:11:56)
http://www.kochinews.co.jp/rensai05/05aegu05.htm
借金で支払うしか…
財政難で干上がりそうな自治体に、新たな難題が刻々と迫っている。2007年問題。戦後の第一次ベビーブームの時に生まれた「団塊の世代」が、07(平成19)年ごろから一斉に退職し始める。自治体はただでさえ歳出に占める人件費の割合が大きいのに、さらに多額の退職金の支払いに追われる。その財源をどうするか。担当者は戦々恐々としている。
“投薬”を請う
「死んでから投薬されても仕方がない。今、薬が必要なんです」
昨年夏、県庁3階の市町村振興課。須崎市の石川強・総務課長は、市財政の窮状ぶりをそう例えて訴えた。
「死ぬ」とは穏やかでないが、これは財政再建団体への転落を意味している。そして「薬」とは、退職手当債(退手債)のことだ。
退手債とは、自治体が退職金の財源に充てるため発行する特例債。国の許可が必要で、行革の取り組みを進めるなど発行要件は厳しい。須崎市は16年度の勧奨退職者18人の退職金に充てるため、退手債の発行を県を通じて国に要望した。
当初は同市も減債基金を取り崩すことを検討した。だが、そうすると同基金は底を突き、17年度の退職予定者3人の退職金は、17年度当初予算へ計上できなくなる。何より基金が枯渇すれば市政運営への影響は甚大。それを回避するには、何としても退手債を認めてもらわねばならない。
県は「格段の配慮を」という意見を添えて国に伝えた。笹岡豊徳市長も霞が関の総務省を2度訪問。「やるべきことはやるから、何とか認めてほしい」と、ぎりぎりの折衝を続けた。
職員の給与カット▽退職者不補充▽お手盛りと批判される退職時の特別昇給廃止▽自主財源確保へ滞納税徴収の専門機構設置――。数々の取り組みをアピールした結果、今年3月、ようやく退手債4億6800万円という“投薬”の許可が下りた。少なくとも平成に入り、県内では初めてのことだ。
“対症療法”
退手債の償還に地方交付税措置はない。同市は銀行から借りた4億6800万円を、今後10年間かけて元利とも全額返済しなければならない。
「それでも、退手債のおかげで各種基金が10億円程度確保できた。今後5年間はこれで乗り切れる…。いや、何としても乗り切らないといけない」と市の財政担当者。
しかし、今後も退職者は毎年10人前後で推移し、26年度にピークの17人となる。退職金を上乗せする勧奨退職は「もう実施する体力がない」(笹岡市長)ところまで追い込まれている。退手債発行も1回きりと国に念押しされた。そもそも毎年、一般財源から退職金に充てる同市のような対策は“対症療法”のようなものだ。
これに対して、安芸市は退職手当基金を設けているが、思うようにはたまらず残高はわずか5400万円。「基金へは年度末に剰余金があれば積み立ててきた程度で、計画性がなかった。(退職金)問題を先送りしてきたといわれても仕方ない」と市職員が明かす。
県内の町村は退職金対策として、県市町村総合事務組合に負担金を納付し、同組合が給付する仕組みを取っている。こちらも退職者の増加とともに組合財政が悪化し、退職金の支出が負担金収入を上回る状況も出てきた。
15年度から勧奨退職を実施した町村からは、「特別負担金」も徴収している。だが同組合は、「それでも基金は残り少ない。町村合併で役場の合理化が進み、退職者が増えれば支払えるかどうか分からない」と危機感を隠さない。
長期的な視野に立って退職金を備えてこなかった市部では、今後この問題が一気に噴き出すことは間違いない。
退職金問題が「これから」とすれば、ある広域事務組合で「今まさに」休日給が払えない状況が起きている。消防活動という直接、住民の生命財産にかかわる分野だ。
【写真説明】須崎市が銀行から借り入れた退職手当債の借用書の控え。金額欄に「468000000円也」とある(同市役所)
(2005年8月22日付・朝刊)