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不二家のように業績が長期低落している老舗企業は多いが、ほとんどは銀行によって延命されながら没落してゆく。池田信夫
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投稿者 TORA 日時 2007 年 1 月 16 日 14:02:32: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu136.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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不二家のように業績が長期低落している老舗企業は多いが、
ほとんどは銀行によって延命されながら没落してゆく。池田信夫

2007年1月16日 火曜日

◆ソフトな予算制約 1月15日 池田信夫blog
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/bd8f9d27224d975da039c93df6070b14

不二家の社長が辞任を発表した。だれもが思い出すのは、5年前の雪印の事件だろう。あのときも社長が辞め、スーパーから商品が撤去されて、雪印は倒産寸前まで行ったが、その後どうなったかはあまり聞かない。実は、今では雪印のROE(株主資本利益率)は14.8%と東証の平均をはるかに上回り、その株価は事件前の水準に戻っているのだ。

柳川範之『法と企業行動の経済分析』は、雪印の事業再生の過程をあとづけ、破局的な事件がかえって思い切ったリストラを可能にし、本業に特化することによって資本効率が向上したことを指摘している。Fukuda-Koibuchiは、長銀の破綻後の取引先を追跡し、資産の厳格な査定によって多くの企業が破綻したが、新生銀行に債権が引き継がれた企業の株価は大きく上がったことを示している。これに比べると他の銀行の取引先は、破綻も少なかったが、業績の向上も起こらなかった。

不二家のように業績が長期低落している老舗企業は多いが、ほとんどは銀行によって延命されながら没落してゆく。このような現象を、コルナイは「ソフトな予算制約」(SBC)と名づけた。SBCは社会主義国の市場経済化に際して起こる生産性低下の最大の原因であり、その対策は金融仲介機関を分権化して予算制約を「ハード化」することだ。「日本型社会主義」からの脱却にあたってもSBCが最大の問題であり、90年代の不良債権問題はそれを克服して金融機関を分権化するチャンスだったが、大蔵省の官製粉飾決算と日銀の超緩和政策による銀行救済で、日本はチャンスを逃してしまった。

いまだにケインズ的な財政・金融政策を求める人々(自称「リフレ派」を含む)は、「構造改革は景気がよくなってからやればよい」というが、業績がよくなってから人員整理を行う経営者がいたら教えてほしいものだ。Jensenも指摘するように、資本主義は効率が低下した企業の予算制約をハード化することによって経営者を不採算事業からの撤退に追い込む「自動退出装置」なのである。今回の事件も、慢性的な赤字に悩む不二家にとってはblessing in disguiseかもしれない。

金融機関の分権化

ここでDewatripont-Maskinが「直接金融」といわないでdecentralizationという言葉を使っているのは、債務者に多額の長期資金を融資する(銀行のような)仲介機関ではなく、少額の短期資金を貸す(ベンチャーキャピタルのような)仲介機関を考えているからです。

ややこしい話を飛ばして結論だけいうと、長期的に債務を返済させる銀行のような仲介機関の場合には、少しでも債権が回収できる可能性がある限り追い貸しを行って融資を回収しようとするインセンティヴがありますが、短期で貸すVCの場合には早めに「損切り」することが合理的になります。つまり株式ベースの短期資金にすることで、SBCを避けることができるわけです。

事実、アメリカのITバブルが崩壊したときは、多くのVCが巨額の損失をこうむりましたが、その期に損失を計上して終わりで、日本みたいにいつまでも尾を引きませんでした。


◆オリックスの宮内義彦会長こそ怪しげな外資の水先案内人だった。彼こそトロイの木馬なのだ。 2004年8月30日 株式日記
http://www.asyura2.com/0406/hasan36/msg/471.html

「人間力」の衰退 内橋克人

「ご破算主義」の本質について指摘すべき第二の点は次の通りです。
既得権にあぐらをかくことは許さない。ゼロから再出発して公平な競争の出発点にすべてのレース参加者を並ばせるべきこと。これは確かに望まれる企業間競争の鉄則です。

私は「競争セクター」と「共生セクター」の併存する「多元的経済社会」が二一世紀のあるべき姿だ、と主張してきました。分断、対立、競争が原理の競争セクターもときには必要でしょう。けれども、同時に連帯、参画、協同が原理の共生セクターが足腰強く育つ社会でなければ、私たちの二一世紀は極めてミゼラブルなものになってしまうだろう、といいつづけてきたのです。その後者、すなわち共生セクターを鼻の先で一笑に付しているのが、ほかならぬ彼らです。

これはすでに書いたところですが、私がもっとも嫌悪するのは「自分だけは安全な壁壕(ざんごう)に身をひそめながら、競争こそは善だ、と叫び、適度な失業は経済安定に欠かせない、といい、構造改革に痛みは不可避だ、と説教をたれるエリートたち」です。なぜか、政権にスリ寄る日本の主流派経済学者にこのような人が多すぎる。

(私のコメント)
規制緩和にしろ構造改革にしろ外資にとっては日本経済を乗っ取るための方便であり、小泉首相や竹中大臣が、途中でルールを変えてまで創造的破壊行為をするのはなぜか。昨日まで良かった事が今日からいけないと決められたらプレーヤーはとんでもない被害をもたらす。コンビニにおいても薬の販売が認められるようになりましたが、売れ筋の商品を奪われた商店街の薬屋は大損害だ。

日本の国民も小泉首相の「構造改革」と言うものがどのようなものか分かり初めて来ている。メガバンクの統合も国民は望んでいないにもかかわらず進められている。金融庁が銀行を締め上げているからですが、郵政の民営化も国民は望んでいないにもかかわらず小泉首相は進めようとしている。しかし今一番しなければならないのは日本の景気の回復であり、「構造改革」しないと景気が回復しないとは、内橋克人氏によればご破算主義なのだ。


(私のコメント)
池田信夫氏のブログと私の株式日記のブログはgooブログランキング
http://blog.goo.ne.jp/index.php?fid=rankingBlog
で順位を競い合っている最中なのですが、15日のアクセスランキングでは池田氏のブログが9位であり私の株式日記は17位で大分差があるのですが、私のブログはバックアップ用であり本サイトを合計すれば池田氏のブログを上回る。

池田氏と私とではホワイトカラーエグザンプションや構造改革に対する意見が真っ向から対立している。私自身はケインズ的な財政金融政策を求めており、池田氏は典型的な構造改革論者だ。しかし問題は構造改革にあるのではなく、問題なのはその手段や方法だ。私自身も構造改革は行なわなければ社会の進歩発展は止まってしまうから賛成だ。

不二家の例は同属企業の腐敗堕落企業の典型であり、経営陣は総退陣して立て直すか、あるいは他企業に吸収合併されても仕方がない例だ。このような不祥事は景気に関係なく出てくるものであり小泉構造改革とは関係がない。経営陣が腐敗堕落すれば業績が落ちるか不祥事を起こして潰れる。

池田氏がNHK出身であり現在はIT企業の役員であり情報産業であるのに対して、私は銀行出身であり現在は不動産業の既成産業の分野であり経営に関する考え方もズレがある。ITベンチャーのような産業なら直接金融で金を集めて10件投資して1件上手く行けば良いといった投資方法もいいだろう。

しかし電気ガスといった公共的企業や銀行や鉄鋼などのような産業の基礎的な部門に対して、ITベンチャーのような投資は向かない。アメリカの電力会社のエンロンの例を上げるまでもないだろう。アメリカでは停電騒動が年中行事ですが、電力会社を潰すようなバカな真似は誰も賛成はしないだろう。

90年代からの構造改革の標的は金融機関に当てられましたが、経営危機が個別に起きれば問題はなかったのですが、政府はアメリカの言うがままに会計規則を変更して銀行や証券や保険会社を経営危機に追い込んでいった。時価会計もBIS規制もドイツみたいに時間をかけて導入すればいいものを、90年代の不況の時期に強制して日本の金融機関を一斉に追い込んでいった。

このような例は不二家の例とはまったく異なり、不二家の例をもって破局に追い込まないと構造改革が出来ないというのは乱暴な経営論だ。内橋克人氏が言うような御破算主義だ。竹中流の日本中の銀行を全部破局に追い込んで日本の銀行を強引に再編成したのだ。その結果どうなったかと言うと15年に及ぶ日本経済の長期低迷なのだ。

もちろん日本の銀行に問題が無かったわけではなく護送船団方式の経営は間違っている。経営に脱落してもおかしくはない銀行も2,3行あった事は確かで、優良銀行に合併させていけば問題はなかった。ところが竹中金融庁は優良銀行まで資産の厳格査定でUFJまで潰してしまった。次は「みずほ」だと言われていた。

これでは日本経済全体がガタガタになるのは当然であり、日本の銀行全部を破局に追い込んで構造改革しようとした。このような御破算主義は狂気の沙汰であり日本全体が背負い込んだロスは数千兆円にもおよび、日本経済が元に戻るには数十年かかるだろう。アメリカの大不況が回復するには二十年もかかった。だから不二家の例をもって破局まで追い込んで構造改革させる方法というのは間違っているのだ。

ITベンチャー企業ならITバブル崩壊でほとんど潰れても大きな問題にはならなかった。アメリカの当初からのITベンチャー企業で最後まで生き残ったのはマイクロソフトだけであり、他のベンチャーは潰れるか合併で無くなって行った。つまりはあってもなくてもいいような泡のような業界の論理を、公共的な企業にまで当てはめるのは間違っている。

間接金融から直接金融への金融機関の分権化は業界や企業規模を限定すれば間違ってはいない。ベンチャー企業への融資は銀行は向かないし、ベンチャー向けのファンドしか出来ない事だ。逆に電力や鉄鋼などといった重厚長大産業には長期の銀行融資でないと長期の大プロジェヘクトには向かない。

もちろん日本の銀行には様々な問題を抱えていた。私自身も銀行員だったからこんな非効率な経営でいいのかと本店の営業部長にも訴えた事があった。そして日本中の銀行を破局に追い込んだことにより、店舗数も整理されてきたし、給与水準も少し下がり行員数も減った。しかしこのような事は自由競争させれば差が出来て勝ち組と負け組は当然出来る。それを待てばよかったのだ。

池田氏は「業績がよくなってから人員整理を行う経営者がいたら教えてほしいものだ」と言っているが、アメリカ企業には業績がいいのにリストラする企業はいくらでもある。日本企業もNTTも郵政公社も業績は良くても人員整理している。一般企業も定年退職者の補充をしないと言う形のリストラはほとんどの企業が行なっている。だから日本の人員整理のやり方は目立たないが年数がかかる。だから池田氏の指摘は間違っている。

ホワイトカラーエグゼンプションについての考え方もIT企業の池田氏と銀行の実態を知る私とでは見解が異なるが、これは別のところで述べた。


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