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第65回
地方税、大半のサラリーマンで倍増
〜メディアが騒がないもう一つの税制改革〜
今年、廃止された定率減税についてはメディアでも大きく取り上げられたが、実はもう一つの大きな税制改革については
ほとんど騒がれていない。
平成19年から地方分権によって、国税(所得税)から地方税(住民税)に3兆円の税源が移譲される。
その結果、所得税と地方税の税率変更が行われたのだ。
これまで地方税の税率は5%、10%、13%の3段階で、おおざっぱにいうと年収300万〜500万円の大半のサラリーマンは
5%の税率が適用されていた。
それが今年6月の納税分から10%に一本化されるため、サラリーマンにとっては地方税が5%から10%へと
“倍増”するのだ。
地方税の増分を所得税で調整
それではあまりにひどいというので、地方税の増税分を所得税で調整することになった。
所得税の税率はこれまで10%、20%、30%、37%の4段階だったが、下にもう1段階追加するなどして、
5%、10%、20%、23%、33%、40%の6段階に増やした。そして、所得税と地方税の合計が変わらないように調整した。
つまり、大半のサラリーマンは地方税が5%から10%に増える代わりに、所得税が10%から5%に減って、
合計15%は変わらないというわけだ。
税率以外にも細かい調整がなされている。例えば基礎控除や配偶者控除だ。現在、この控除額は所得税の場合38万円だが、
地方税では33万円と少ない。単純に地方税の税率を上げ所得税を下げても、控除は地方税の方が少ないので、
課税所得が大きくなってしまう。その負担を抑えるため、控除の調整も来年からできるようになる。
だから、多くの国民の負担に変化はないというのが財務省や国税庁側の見解である。
5月までの「減税」はイリュージョン
この結果、大部分の人にとって、今年の前半は“ぬか喜び”状態が生じる。
なぜかというと、所得税はその年の所得にかかるため、1月から税率が10%から5%に減る。
ところが、地方税は前年の所得にかかり、今年6月から変更になるので、1〜5月の地方税は前年と同じになる。
すなわち、5月までは地方税の税率は変わらず、所得税だけ半減するので、あたかも減税になったような
イリュージョンが生じるわけだ。
「所得が増えた」といい気になっておカネを使っていると、6月になって給与明細を見たときに地方税が倍増して
目をむく事態となるはずだ。だから、「増えた」給料の一部は貯蓄の財源に回した方が賢明だ。
「半年だけでもいい思いができればいいじゃないか」と言う人もいるかもしれないが、そう甘くはない。
長い目で見ると、地方税の引き上げ分は退職時に丸ごと取られることになる。
退職時に取られる地方税が2倍近くになる可能性があるのだから、まるで時限爆弾を抱えるようなものだ。
独身者を狙い撃ちの定率減税廃止
地方税の増税は痛いが、やはりサラリーマンの生活に影響が大きいのは定率減税の廃止の方だ。
夫と専業主婦、子ども2人の標準世帯の場合、所得税・地方税の年間増税額は、年収300万円では700円と小さいが、
年収500万円になると1万7600円、年収700万円では4万1000円となる。
そして、実は最も被害が大きいのは独身者である。独身だと、年収300万円でも増税額は1万7600円、
年収500万円では3万8000円、年収700万円となると7万400円も多く取られる。独身者は覚悟をしておいた方がいいだろう。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/65/index.html