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http://rate.livedoor.biz/archives/50267441.htmlより
2006年07月19日毎年数十人の若い娘たちが身内に指令されて自害しているチグリス川上流・人口25万の都市
トルコもイスラム国の1つだが、他のイスラム国ほど戒律が厳しいというイメージはない。女性がお腹(belly)を見せながら踊ることからその名が付いたベリーダンスの本場としても知られる。イスラム教で禁じられているはずの酒も、トルコでは普通に飲める。トルコ政府自体も、中近東の一部ではなく欧州の一部でありたいと考えているようで、EU加盟を目指している。
ところが首都アンカラを過ぎて東へ進むにつれて(つまり、イラクやイランに近づくにつれて)、イスラム色が濃くなる。イラクとの国境近くにはバトマンという県がある。かの有名なチグリス川がこの地を流れ、やがて水勢を増しながらイラクのメソポタミア平原へと注ぎ込む。(バトマンは英語表記ではBatmanと綴るので、正義の味方「バットマン」と紛らわしいわけだが)。
バトマン県と周辺の地域は、首都圏に比べて所得水準が低い。トルコ政府が敷いている世俗主義的なイスラム政策と相容れない保守的なイスラム教徒が大多数を占めている。
この地域の中心地であるバトマン市は、自殺率が不自然に高い。人口25万に対し、過去6年間で自殺した人もしくは未遂に終わった人の数が165人にも達している。しかも、そのうち102人が女性だという事実がこの不自然さをいっそう際立たせている。
最近になってさらに自殺率が増えている。今年に入ってからも、36人の女性が自ら命を絶った。この不自然さには、国連が強い関心を示した。そう、中東をはじめとして、世界中で毎年5000人以上の女性の命が身内の手によって奪われている“名誉の殺人”との関連が疑われたからである。
バトマンと周辺の地域を合わせると、数週間に1回の頻度で、若い女性が自ら命を絶っている。それ以外にも、身内の手によって亡き者にされる若い女性が後を絶たない。
今年6月、この地域に国連から特使が派遣され、実態調査が行なわれた。その結果、何件かは正真正銘の自殺だが、それ以外はすべて“自殺または事故に見せかけた名誉の殺人”であるという結論が出されたのである。
■ 少女デリャの場合
本稿で情報ソースとして参照している英文記事(リンクは下記)には、現在、施設で保護されている17歳の少女デリャの体験が取り上げられている。デリャは、幼いころから修道院に預けられていて、外出時にはベールで肌と顔を隠すように言いつけられていた。
やがて、デリャは修道院を出て学校に通うことを許された。生まれて初めて自由を味わった。これからは、いろんなことを自分で判断して生きていくのだと思った。
少女たちだけを隔離する修道院とは異なり、学校には男子もいる。デリャの身内にすれば、たとえ学校に男子生徒がいようと、修道院で厳しくしつけられたデリャが一家の名誉を汚すようなことをするはずがないと信じ切っていたのかもしれない。
だが、デリャもまた年頃の女の子だった。一人の男子生徒と恋に落ちた。
デリャと男子生徒の恋は地元で噂になり、まもなく彼女の家族の耳に入った。デリャが自分の犯しているリスクに気づいていなかったわけではない。実際、デリャの一族の間でも、名誉の殺人が行なわれたことがあった。デリャの叔母に当たる女性が少年と関係を持ったとして、祖父の手で命を奪われたのである。
デリャの母は、「お父さんがあなたを生かしておかないわ」と彼女に警告した。だがデリャは聞く耳を持たなかった。すると、数多くいる兄弟や叔父たちから「死をもって不名誉を償え」などと指令する携帯メールが続々と届くようになった。多い日は、1日に15通ほど、そういうメールが着信した。
最初は強気なデリャだったが、やがて自分は恥ずべき人間であり、命を奪われてもおかしくないと思うようになった。そして、家族が自分の死を願うなら、この命を自ら絶つほかないと決心した。
デリャは、チグリス川に飛び込んだ。だが、なぜか助かってしまう。次に首をつろうとした。だが、叔父の1人がその場に現れて、ロープを切った。さらに、調理用のナイフで手首を切った。だが、やはり死ねなかった。
結局、デリャは保護施設に救いを求め、今はベールの代わりにTシャツとジーンズという服装で平穏な時を過ごしている。“平穏”とはいえ、家族がまだ自分を捕らえようとして探しているかもしれないという不安がある。だから、デリャというファーストネームしか明かしていない。
デリャは言う。「家族全員に責められ通しの毎日が続き、やがて私は自分が世界一重い罪を犯したのだと感じるようになりました。私には家族の名誉を汚す権利はない。私には生きる権利がないのだと」
■“名誉の自害”の実態
女性が“一家の名誉を汚した”とみなされるのは、婚外で異性と情交した場合に限られない。実に不条理な話だが、本人の意思に反して他人や身内に手篭めにされた場合も名誉を汚したとみなされることがある。さらに、若い男性をちょっと盗み見したり、短いスカートを履いたり、映画を見に行きたがったりするだけでも、一家にとって不名誉とみなされ、命を奪われたり、自害に追い込まれたりすることがある。
欧州の仲間入りを果たすべく画策しているトルコ政府は、“名誉の殺人”をなんとか食い止めようとして、それに類する行為への罰則をますます強化しつつある。
“名誉の殺人”では一家の家長が自ら手を下すこともあるが、その場合、現在のトルコの刑法では、家長自らが終身刑の判決を受けることになる。このため、トルコで名誉の殺人が行なわれるときは、家長が息子の1人を“ヒットマン”に指名することが多い。
その場合、一家から2人の子が消えることになる。1人は一家の名誉を守るために亡き者にされた娘、もう1人は終身刑を受け、一生家に帰ることができないヒットマン役の息子である。彼らは、一家から娘を失うことより、息子を失うことの方がよほど痛いと感じるようだ。
だが、娘だけをこの世から亡き者にし、ほかの家族が誰一人として捕まらずに済む方法がある。前述のデリャの場合がそうであったように、娘にプレッシャをかけて自殺に追い込めばいい・・・というわけである。
デリャの場合は、単に言葉で攻撃されただけだったようだが、もっと“確実性”の高い方法も使われているという。数日間にわたって、不名誉な娘を部屋に閉じ込め、出入口を施錠する。部屋の中の目に付きやすい場所にネコイラズ、ピストル、ロープなどを置いておく。そして、「一家をこの不名誉から解放するには、お前の死があるのみ」云々の言葉を娘に繰り返し聞かせる。
悪循環指数10 ■■■■■■■■■■
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■ Source: http://www.dispatch.com/national-story.php?story=dispatch/
2006/07/16/20060716-A11-00.html
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miccckey at 01:25 │Comments(7) │TrackBack(0)
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この記事へのコメント
1. Posted by ふむ 2006年07月19日 02:57
宗教って怖いねぇ
2. Posted by ごんべ 2006年07月19日 07:05
×EC → ○EU
×首都イスタンブール → ○首都アンカラ or 最大の都市イスタンブール
ですよね?
重箱の隅ですが気になったもので…
3. Posted by rr 2006年07月19日 12:34
日本も大して変わらんと思いますけどね。
会社にいっぱい働かされてうつ病なったり自殺したり。
合法的に追い込んでるという点で一緒でしょう。
会社からすれば「毎日18時間働いたのは本人の意志で、強制はしていない」と言う話で。
明らかな働かせすぎで自殺者が出た会社の社長は終身刑にしたったらいいんですよ。
そしたら絶対過労自殺とか過労鬱病とか減りますって。
4. Posted by miccckey 2006年07月19日 12:53
>ごんべさん
校正ありがとうございます。うっかりしてました。修正しておきました。
5. Posted by がるむ 2006年07月19日 15:13
国も、宗教も、倫理観も違う自分には何も言えないけど…。なんとも言えませんねえ。
単純に思うのですが、そういう社会的概念よりも子供の生死を優先…したりしないのでしょうね(^^; 実際起きてるんだし。
仮に近い将来別の価値観が入ってきてこの倫理観が消滅したら、身内を殺した人達は何を思うんでしょうね。
6. Posted by べが 2006年07月19日 18:02
「生きながら火に焼かれて」という本をまだ読まれていなかったら、是非御一読ください。
自殺どころか、完璧な殺人が行われています。
7. Posted by da 2006年07月25日 18:44
宗教なんてこんなもんです。
倫理観のない人間はもっと駄目だが。
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