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□イタリアの分離壁 [JANJAN]
http://www.janjan.jp/world/0611/0610263508/1.php
イタリアの分離壁 2006/11/02
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【パドゥアIPS=ステファニア・ミラン、9月5日】
「ストップ・ザ・ウォール(Stop the Wall)」と謳っているのは、パドゥア市のアネリ通りにある移民居住区に建てられた高さ3メートルの金属製パネルに貼られたポスターだ。
何枚も貼られたこのポスターが功を奏したのかもしれない。北イタリアの工業都市のこの壁は今月末には長さ80メートルにも達する見込みだが、それで打ち止めだという。
現状ではそれほど長くはないが、しかし移民が暮らす荒れ放題の建物と周辺の住宅街、ショッピングセンター、ビジネス街とを分離するには十分である。壁は居住区の片側に建っており、残り三方は仕切られているだけだ。
4階建ての緑色の建物には、主にモロッコやナイジェリアからの移民700人余が暮らす。居住区の入口は、警察が監視の目を怠らない検問所となっている。
「黒人にアパートを貸してくれるところなどない」と、移民居住区に暮らすナイジェリア人のアルフォンサス・イロー氏はIPSの取材に応えて言った。「アネリ通り以外では住まいなどなかなかみつからない」
彼は居住区の28平米のアパートに妻と2人の子どもと暮らす。家賃は月500〜1000ユーロ(640〜1280ドル)と、こうした場所にしては通常の相場よりはるかに高い。
いつもと変わりない先週の午後のひととき、およそ80人がにぎやかに音楽の流れる中庭で肉を焼きながら座っている。それを遠くから10人余の警官が見守っていた。
移民居住区はきれいでも快適でもない。大半のアパートには暖房もない。階段の赤黒い壁には名前が殴り書きされている。至る所にゴミが置かれたままだ。
「パドゥア・ブロンクス」の名で知られるようになったアネリ通りは「移民差別と薬物や売春の象徴」だと言うのは、中道左派の地方当局の移民政策の責任者ダニエラ・ルフィーニ氏である。
居住区は暴力もブロンクス並みに横行し、7月末に起きた敵対する犯罪集団間の乱闘で、地元住民の怒りはかつてなく高まり、壁建設の要求も強まった。
「薬物売人によって取り壊されたフェンスを取り替えたばかり。取締りを逃れて売人が逃げ込んでくるので、周辺地域住民と警察から要請があった」とIPSの取材に応えたルフィーニ氏は説明した。
かつては簡単な金網のフェンスだった。新たに設置されたのは高さも厚みもあり、まるでエルサレムのイスラエルによるフェンスや、さらにはグアンタナモのようと、比較した例えも過熱気味である。ドイツの新聞『ズートドイチェ・ツァイトゥング』はベルリンの壁を想起させると伝えた。
新しいフェンスは残るかもしれないが、分離は終わる予定だ。
フェンスに抗議する市民団体が当局に撤去を要求している。左翼団体グローバル・プロジェクトは、「住民の尊厳を無視するもの」と抗議している。
壁は「他の都市の危険なモデル」と、グローバル・プロジェクトは声明で述べている。「壁は地域にすでに存在する人種差別を悪化させるだけである」と訴える。
移民に物資援助や法律相談などの法的支援を行っている団体ラシスモ・ストップ(人種差別撤廃)は、「下から一連の行動を起こして壁を排除する」と脅した。
しかし移民居住区の住民の中には、今のところ新しい壁を歓迎している者もいる。イロー氏は、「結構なことだ。これで麻薬の売人も四六時中出入りするわけにいかなくなる。取締りも強化される」しかしイロー氏はこうも言う。「警察は麻薬取引に関わっていない者たちの保護に十分手を尽くしていない」
居住区は、来年閉鎖される予定だ。6棟ある建物のうち3棟は2005年に立ち退きが完了、327人が自治体によって移転させられた。4棟目の建物はこの10月に、残りの2棟も2007年末までに立ち退きが行われる。
ルフィーニ氏は、「私たちにとって恥ずべきこのスラム街を取り壊すことが私たちの目指すところ。パドゥアには19,000人を超す移民がおり、社会に順調に統合されている。ここに暮らしているのは、ほかに取り得る道が見出せなかった人たちだ。代わりの道を与えようと努めている」と述べた。
パドゥアの人口は205,000人である。市当局によれば、市立病院で生まれる新生児の3人に1人が外国人を親にもつ。県の移民人口は70,000人で、その大半が地元の工場で働く。
ルフィーニ氏は、「アネリ通りの移民と周辺住民は、荒廃した移民居住区に簡単に潜むことのできる犯罪グループからの脅威にさらされている。自治体は移民の移転に尽力しているが、法律がそれを支援していない」と言う。
元大臣2人の名前を採った「ボシ・フィニ法」と呼ばれる現行の移民法は、2004年に右派のベルスコーニ前政権によって制定されたものである。同法は、雇用契約のある移民しか認めず、滞在期間も2年と制限、不法滞在を犯罪と位置づけている。
「働きに来た者の統合ではなく、彼らの管理と搾取に関する法律だ。人間の尊厳の侵害である」とルフィーニ氏は述べている。
援助団体カリタスによれば、移民はイタリアの総人口5,600万人の4.8%を占める。その大半(59%)が工業化の進んだ北部に暮らしている。(原文へ)http://ipsnews.net/news.asp?idnews=34575
翻訳=坪沼悦子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩
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スペイン:モロッコからの移民、後を絶たず
(IPSJapan)
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