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□【夕刊JanJan】“国賊”作家、ノーベル文学賞を受賞
http://www.janjan.jp/media/0610/0610130695/1.php
【夕刊JanJan】“国賊”作家、ノーベル文学賞を受賞 2006/10/13
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各種の報道によれば、2006年のノーベル文学賞はオルハン・パムク氏(Orhan Pamuk・トルコ)に決まった。(関連サイト:ウィキペディアなど)
【スウェーデン・アカデミーは12日、2006年のノーベル文学賞を、トルコの作家オルハン・パムク氏(54)に授与すると発表した。授賞理由について、同アカデミーは「生まれ故郷における憂うつな魂の探求を通し、(西洋とイスラム圏の)文化間の衝突や融合の新たな象徴を示した」としている】(中日新聞)
日本語訳のある作品は『私の名は紅(あか)』と『雪』。
オスマン帝国末期のイスタンブルの、細密画師たちの苦悩と葛藤を描いた『私の名は紅(あか)』は、
【作者はこれを単なる「東西対立」のお話にはしていない。イスラム世界の絵画といってもそもそも一様ではなく、各地にそれぞれの様式があり、国の興亡に従って栄えたり廃れたり、影響しあったりしている。
一方、西洋の肖像画は像主を忠実に再現するはずのものだが、トルコの使節としてヴェネツィアに赴いた「エニシテ」は、ある人物の肖像画を見て、容貌が全く似ていないにも関わらず、自分自身であるかのように感じる。これは、肖像画が「個」の表現を通して、人間の普遍的なものを描き出していたからに他ならないだろう。作者の立場は、「ここにいて、混じり合え」というカラのせりふに表れているが、それが一朝一夕に成果を生むとは限らないことは、「コウノトリ」の体験を通して描き出されている。
訳文がこなれていなくてやや読みづらいが、それがあまり気にならないほど、重厚で読み応えがある傑作だ】(猿岩・Amazonカスタマーレビュー)
1990年代初頭のトルコの地方都市を舞台にした『雪』は
【この本は「唯一の政治小説」だそうで、彼のその他の本とはかなり毛色が違います。評価は賛否大きく分かれるようですが、単純に他の作品より読みやすかった・・・ミステリー的要素のためでしょうか。 結末は切ないです。「オリエンタル」な歴史上のトルコではなく、今のトルコの息吹が感じられます】(たま・Amazonカスタマーレビュー)
だそうで、Amazonカスタマーレビューを読むと、どちらも手にとってみたくなる。
オルハン・パムク氏は【実験的な手法の小説で知られる一方、社会的発言も多い。89年、イランのホメイニ師が「悪魔の詩」の著者サルマン・ラシュディ氏に出した死刑宣告に対し、イスラム圏の作家としては初めて非難した。また、欧州連合(EU)が加盟条件の一つとしてトルコに認めるよう求めている第1次世界大戦中のクルド人、アルメニア人大量虐殺について「政府は認めるべきだ」と言及し、国家侮辱罪で起訴されたこともある】(中日新聞)
【昨年2月にスイス紙との会見で「虐殺」のタブー視を批判し、それ以来、トルコの文学・言論界から事実上姿を消していた。「虐殺」を認めた発言は「ノーベル賞狙いのスタンドプレー」と母国で見なされ、マスコミなどから“国賊”同然の扱いを受けて沈黙を余儀なくされた】(読売新聞・13日朝刊)
アルメニア人大虐殺の問題は現在、キプロスとの問題や、言論抑圧の問題とならんで、トルコのEU加盟交渉の障壁ともなっている。(JanJan関連記事:「アルメニア大虐殺」とトルコの憂鬱・三好英明) フランス国民議会下院は12日、1915年に始まったオスマン・トルコ帝国(当時)でおきたアルメニア人大量虐殺を、演説や出版物になかで否定することは犯罪になり罰則を科す、という法案を賛成多数で可決した。
【フランス政府はトルコとの外交関係を損なうとして法案に反対。下院採決では党派を超えて賛否が割れた。法案が上院でも可決されるかどうかは微妙な情勢。
フランスでは既に、当時のアルメニア人殺害を虐殺と認定する法律が2001年に公布されている。これを基に今回の法案は、虐殺を否定した市民に1年の禁固刑または4万5000ユーロ(約675万円)の罰金を科す内容。フランスのアルメニア系市民は約50万人とされ、法案はこうした市民の働き掛けを背景に野党社会党が提出した】(神戸新聞)
【アルメニア人の虐殺は期間は1915年4月15日に開始され、終了したのは明確でなく、1922年頃と言われる。そして、その時までにキリスト教徒のアルメニア人はトルコ領内に存在しなくなった。現在のトルコ政府はこの事実の存在を否定しており、治安維持および敵軍(ロシア軍)のスパイ殲滅および戦闘員を戦死させたことがある、としているだけだ】(アルメニア人の虐殺)
【トルコ側にとっては、この問題は1970年代においてアルメニア過激派がトルコ人に対して行ったテロリズムに端を発する反アルメニア感情とも関係し、現代的な民族問題である。また虐殺の対象となったアルメニア人の居住地域はクルド人が多く居住するクルディスタンの一角でもあり、クルド人問題も無関係ではない。
海外では、日本でこそ関心は薄いものの、欧米ではアルメニア人に対して同情する人々も多く、また各国内にアルメニア・ロビーが存在するため、議会で非難決議を行った国もあって、アルメニア人虐殺はおおむね歴史的事実として認定されている。これに対してトルコ共和国は共和国に対する責任の所在を否認し、真っ向から反論する姿勢を示している。この頑なな否認姿勢のためにトルコ共和国はしばしば国際的非難を浴びており、非難を外圧と感じるトルコ側が態度をより硬化させることにもなっている】(ウィキペディア)
ノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムク氏の作品を手にとってみたくなるが、トルコとEU、そして歴史認識の問題などはこじれそうな雲行きだ。
(片町みどり)
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