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□アジア大会 アラブ初開催 風習に戸惑い [産経新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061202-00000005-san-int
アジア大会 アラブ初開催 風習に戸惑い
■足の先まで覆う水着/持ち込みキムチ没収
【ドーハ=古沢一彦】第15回アジア競技大会は1日、カタールの首都ドーハのハリファ競技場で開会式を行い、15日間の大会が開幕。20年ぶりに復帰したイラクを含め史上最多の45カ国・地域から約1万人が参加。新競技のチェスとトライアスロンを加え過去最多の39競技が実施される。日本選手団は約900人。レスリング女子の五輪金メダリスト、吉田沙保里(綜合警備保障)が旗手を務めて入場行進。アラブ圏で初の大会でもある。敬虔(けいけん)なイスラム教国での開催とあって、女子サッカーではヨルダン選手が肌を隠してプレーした。韓国選手団はキムチの持ち込みを断られ「パワーが出ない」と頭を抱えた。風習の違いを感じながらの大会ともなる。
開会式の前日に行われたサッカー女子の日本対ヨルダン戦。試合は日本が13−0で快勝した。だが、目を奪われたのは相手の服装だった。短パンのユニホーム姿はふだんの試合と変わらないが、途中交代したGKを含め3選手が「ヒジャーブ」と呼ばれるスカーフで頭を覆っていた。
イスラム教では、女性が夫や家族以外に顔を見せるのは厳禁。近年は戒律もゆるくなってきたが、ドーハでは黒い衣装をすっぽりとかぶり、目だけを出す「ニカーブ」や、目の部分も網で隠した「ブルカ」姿の女性が夜、街中でショッピングしている姿を見かけることがある。ヨルダンの一部の選手も教えをきちんと守り、顔は出しても髪は隠したというわけである。
もっと厳しいのは、肌の露出も制限されていること。体の線すら、ゆったりした服で隠すことが求められている。だからこれまでイスラム教国家の女性選手の参加は、射撃など肌を出さない服で競技が可能なものが主だった。
ところが今回はカタールから、2人の女性が競泳に参加する。国内では賛否両論あったといわれるが、ハマド首長が抵抗を押し切り、参加を後押ししたとか。とはいえ、水着は足先まですっぽり覆うタイプという。記録は望めそうもないものの、カタール女性スポーツ委員会のアニサ・ヒトミ委員長は「まずは参加することが大事だ」。競泳にはバーレーン、シリア、パキスタンからも女性が参加する。
一方、参加する選手が困惑しているのは食事だ。飲酒の厳禁は当然だが、みりんもアルコールが含まれているとして使用ができない。「汚れた生き物」と考えられている豚肉も口にできない。カップラーメンも豚肉が入っていれば、見つかると取り上げられてしまう。
戒律だけでなく衛生上の観点からも、選手村に食料の持ち込みは制限されており、韓国選手団はキムチを大量に運び込もうとしたところを没収されて「パワーが出ない」とぼやいていた。
バイキング方式の選手村の食堂は各国料理が用意され、本場ものとはやや違うキムチも常備。日本そばが出る日もある。ただ、アラブ料理なども多く、口に合うかは選手それぞれ。競泳の北島康介(日本コカ・コーラ)は「まあ…。食べていますけど」と言葉を濁した。
不自由もあるが、ドーハの街中の治安は悪くない。人口の4分の3を占めるインドなどからの出稼ぎ外国人は、強制退去を恐れ罪を犯すことは少ないという。カタール人も富裕層が多い上に、イスラム教では犯罪に厳罰が適用される影響もあるようだ。
選手村にモスク(礼拝堂)があるのはもちろん、どの競技場にも礼拝所が設置され、イスラム教徒はひざまずきながら、メッカに向かって頭を下げている。
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【用語解説】カタール
アラビア半島の一部でペルシャ湾に突き出た半島。面積1万1437平方キロメートル(秋田県に相当)、人口81万3000人(高知県に相当)。首都はドーハ。大部分が砂漠で、高温多湿。公用語はアラビア語でイスラム教徒が大半。君主制で首長が全権掌握。イラク戦争では米中央軍の前戦司令部が設置された。石油、天然ガスが主資源。最近では世界最大級といわれる北部の液化天然ガスが注目を浴びている。通貨はカタール・リヤル(1ドル=3・6リヤル)。
(産経新聞) - 12月2日8時0分更新